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異世界に転移したらハーレムが出来た、ちょっと俺大丈夫かな?  作者: 乙賛


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第18話 女神

フィアが動いてはくれているが、いまだコアは手元に届かない。

だが、近日中にマシューの捕縛とともに手に入る予定なので、おとなしく待っていることにする。


もう一つの軍部からのコアを実際に見た人からの情報だが、此方はあっさり見つかった。

例のグレアムさんが過去何度もダンジョンを攻略していて、実際にコアを見つけて破壊したこともあるらしい。

そこで俺はグレアムさんを訪ねることにした。



「おお、勇者様。わざわざおいで頂き申し訳ありませんなぁ」

グレアムの軍部の執務室を訪ねると、先日話に聞いた書類の山はすでに宰相府へ移動されたのかすっきりとしていた。


「結構片付いたんですね。この間の話だと足の踏み場もないかと心配してたんですよ」

「ははは、あの書類どもは全部宰相閣下が引き受けてくださいましたよ、その後の報告書類もあちらに届くようにしたのでご覧の通り快適ですな」

書類仕事を宰相府に丸投げっていいのか?と思ったが、今日の本題ではないのでスルーしておくことにした。


「今日お時間を頂いたのは、ダンジョンのコアについて話を聞きたいと思ったためです。

 我々は勇者とされていますが、ダンジョンに入った経験もなく当然コアについても何も知りません。

 攻略にあたり、そのあたりの情報を実際に攻略された方から直接伺いたいのです」

「なるほど、さすが勇者様ですな、力に慢心せず情報収集に力を入れるとは。

 私の所に来られたのは正解と思いますぞ。おそらく現存する攻略経験者の中で最もコアに触れたことのあるのが私ですからな」


「それは助かりますね、複数の場所の情報を得る必要があると考えていたので非常にありがたいです。

 では早速ですが、コアは最下層にあると聞いたのですが、どのような状態で存在しているのでしょう?」

「まず、最下層にあるということが誤りですな。もちろん上層にあることはなかったですが、最下層の手前などに存在したこともあります。

 多くの場合、そのダンジョンで最も強力な魔物がコアを守護しているので、コアはその魔物の出現場所にあるという方が正しいですな。

 そしてコアですが、その守護者たる魔物のいる部屋の奥に安置されています。

 壁がこう祭壇のように刳り貫かれて、そこに直に置かれていましたな。そこいらに石が転がっているかのように無造作にです。

 もちろんコアは非常に目立つのでそこいらの石と間違うようなことはないですが、私の感想としてはあまり大事に扱われてはいないと思いましたな。」


「なるほど、参考になります。それでコアとはいったいどのようなものなのでしょう?」

「そうですな大体大人の頭程度の大きさをしており、奇麗な玉の形をしています。

 色は定まっておらず、これまでも赤や青、緑やら黄色、金色のものもありましたな」


「その色の違いは何からくると思いましたか?」

「そうですなぁ、あまりそういったことは考えたことはないのですが、そのダンジョンに現れる魔物どもの属性と関連しているような気がしますな

 ダンジョンに現れる魔物どもは、基本的に同じ属性の者がほとんどです。

 稀に異なる属性の魔物が現れることもありましたが、ダンジョンに属性があると考える方がしっくりきますな」


「つまりコアの色は属性を示しているということですか?」

「そうですな、ただ具体的にどの属性がどの色かまでは覚えておりません。

 そのあたりは魔法省の奴らにでも聞かれれば、何か研究しているのではないですかな?」


「わかりました。あとコアの破壊方法なんですが、実際にどうやって破壊されてんですか?」

「ああ、それは簡単です。こうぐっと握りつぶしたものです。

 さすがに見つけた場所で握りつぶすとダンジョンが崩壊して生き埋めになるので、外に出てからやりましたがな」


「…はあ、握りつぶす、ですか。グレアムさんの握力ってどのぐらいあるんですか?」

「当然日々鍛錬しておりますからな、並の騎士などでは相手にならない程度には鍛えておりますぞ。

 そうですなぁ、騎士の鎧程度であれば軽く握りつぶせますな。本気でやれば鉄の球ぐらいなら握りつぶす程度は出来るでしょうな」


「騎士の鎧に、鉄の球ですか…あはは、グレアムさんの握力はとんでもないんですね」

「そのための日々の鍛錬ですからな。どうです勇者様も一緒に鍛練をしませんかな?

 なあに、私がみっちり鍛えれば鉄の球などすぐに握りつぶせるようになりますぞ、はっはっはっ」


「いえ、この間も言った通り訓練計画があるので、申し訳ないですが」

「ああ、そうでしたな。まあお時間が出来たり、筋肉を鍛えたいという思いに眠れなくなった場合などはいつでもお声がけください」


「は、はあ、ありがとうございます。そのようなことがあった時にはぜひお願いします」

筋肉を鍛えたいという思いってなんだ?しかもそれで眠れなくなるってどういう状況なんだ?

こと鍛練についてはこの先グレアムと意見が合うことはないだろうと思いつつも、社交辞令で返答はしておく。


「とても参考になりました、ありがとうございます」

「この程度のことならいつでも聞いて下され。また何かあれば訪ねてください。

 鍛練ならば他の用事を無視してでもご一緒致しましょう!」

「え、ええ、その時は是非お願いします」


俺は、鍛練に巻き込まれてはたまらないと、慌ててグレアムの部屋を後にした。



鍛練のことを除けば、現場の情報を直接聞けたことは大いに役に立った。

グレアムさんの握力は未知数だが、少なくとも特殊な準備をしなくても破壊自体は可能であることが解った事が大きい。

後は魔法省からの情報待ちになるな。


部屋に戻ると、その日は皆と魔法の訓練を行い特に何事もなく過ごしたのだった。





その夜、その日は俺の睡眠不足解消の日で、寝室には俺一人で寂しく眠っていた。


「やっとひとりになりましたね、ずいぶんと時間が経ちましたが約束通り会いに来ました」

それは夢なのか現なのか、場所は間違いなく寝室なのだが、酷く現実味のない光景がそこにあった。

ベッドに横になる俺の上、つまりベッドと天井の中間にそれは浮かんでいたのだ。

それは一言で言うと女神、いやそれ以外の呼び方が思い当たらないほどそれは神々しく、人には辿り着けない美しさを備えていた。


ただ、服を着ておらず見事な裸体を隠すことなく晒しており、すでに女体には慣れてきていた俺でもあまりの美しさに喉を鳴らすほどだった。

この状況をみんなに見られたら言い訳しようがないな、等と少し現実逃避しかかっていた時、


「あまり時間は許されていませんので手短に伝えます。

 先日貴方に与えた加護は貴方の身を守り味方を増やすためのものです。

 貴方には、この世界の闇に対抗する者として存在としてもらいます。

 だからといって無理に戦えなどというつもりはありません。闇の力が大きくなりつつあるのでバランスを取るために存在してもらうということです。

 私にとってこの世界は観察対象でしかないのです。

 滅んでしまったとしても特に問題はありませんが、せっかくここまで育った世界なのでバランス調整のために貴方に加護を与えました。

 加護は召喚された者にのみ与えることが出来ますが、今回加護を受け入れることのできた魂は貴方だけだったのです。

 

 加護は非常に強力なものです。この先貴方の成長とともに加護も力を増すでしょう。

 その時まであなたがこの世界に存在していれば、改めて会うこともあるでしょう。それでは息災に」


女神らしき人?は話が終わると俺の返事を待つこともなく終了しようとする。


「いやいや、ちょっと待って。

 闇ってなんのこと?俺に結局何をさせたいの?

 なにより、加護って制御不能なの?」


「私の説明で理解できなかったのですか?

 なるほど、異世界の常識とは異なるために貴方は理解できなかったということですね。

 仕方がありません、あらためて説明しましょう。

 まず闇とは、魔王のような存在が属する属性と考えて間違いありません。

 そして貴方に対して特に行動を指定するつもりはありません、貴方の思うが儘に生きなさい。

 最後の加護の制御ですが、不可能です。女神の力をただの人間が制御できるはずがありません。

 これで理解できましたか?

 あまり長時間貴方に接すると私ですら加護の力に囚われてしまうのです。

 すでに、影響が出始めていますので他に何かあれば早急に質問なさい」


「ひとまず俺はこれまで通り自由にしていいことは理解した。

 他に聞きたいことは、加護の成長とはなんだ?どうすれば成長するんだ?他のスキルの成長も理屈がよくわからないんだが、それとは違うのか?」


「時間がないというのに…まあいいでしょう…

 まずスキルの成長とは、貴方にわかりやすく説明すると経験をこなすことでその力が増すということです。

 貴方の記憶にある、そのゲームとやらの仕組みが非常に近いでしょう。

 加護についても基本的に成長の仕組みは同じです。

 ただその経験となるものが加護の使用によるものなので好意を持たれる事が、そのまま経験となります。

 好意が増大した状態が維持されることも、好意による行動さえもが経験となるため、貴方に好意を持つものが増えるほどより成長は早くなるでしょう。

 これで理解できましたか?」


「ああ、ありがとう。

 貴方は女神で間違いないんだよね?出来れば御身の名を教えて欲しい」


「我が名はプルミエール、最初の女神である。

 ああ、これだけの時間で囚われるなどとは…貴方はすでに何人かからの好意を受けているのか?」

「ああ、今のところ5人の女の子から大きな好意を寄せてもらっているよ」


「なんということ、想定よりもかなり多い…引っ張られるわけだわ…」

「プルミエール?大丈夫か?」


「名前を呼ばれるだけで、これほどとは…既に用件は済んだ。また機会があれば会うこともあるだろう」

そう言うとプルミエールの姿は一瞬消えかけたが、何故か再び姿を現し俺にキスをし、そして今度こそ消えて行った。




「なんだったんだ、これは?」

俺は思わず呟くが、それに答える者は居ない。

今一つ真意というか、彼女の目的は解らなかったが、どうやら召喚時に俺に加護をくれたのは彼女らしい。

闇やら加護やらの説明をしてくれたが、最後のキスで全てが飛びそうになっている。

それに何やら不穏な感じがしたのは気のせいと思いたい。


ただ、加護がこの先成長するというのは聞き逃せない内容だ。

今でさえ皆の好意が強まり過ぎて非常に後ろめたいのに、これ以上の力に成長するとしたら一体何が起こるのか不安でしかない。

どうやら俺を守るために、味方に対してより俺に好意を持たせるためのものであるようだが、

実際にはハーレム製造機としてしか力を発揮しているとは思えない。


まさか、成長したら性別問わずとかならないだろうな?今日会ったグレアムさんとかには嫌われてないと思うけど…

うわぁ、想像しただけで鳥肌が立ってきた。


一番教えてほしかった加護のコントロールについては、不可能と断言された。

あそこまではっきり言われると逆にすがすがしいくらいで、きっぱりあきらめがつくというものだ。


色々と考えているうちに、いつの間にかまた眠りに落ちていくのであった。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



「くそぉ、勇者どもめ。魔王の眼を寄こせだと、物の価値もわからん馬鹿どもめが。

 あれにどれほどの利用価値があるのかも知らずに簡単に言ってくれるわ。

 魔王の眼、コアこそが我が研究の為には必須のもの、物の価値の分からん小僧共になどくれてやるものか。

 しかし、嫌なところにばかり気が付くガキどもだ。まだ時期は早いが王宮に居る小娘だけでも我が手にする方が良いかもしれんな。

 勇者の力を上回る我が研究、それを儂の意のままに力をふるう人形。まずは一体用意さえすれば誰にも儂の邪魔はできぬだろう。

 見た目も悪くない人形だ、色々楽しみ方もあるだろうて、くっくっくっ」


魔法省の奥ではマシューが国王にすら秘匿している研究室で、己が企みを思い浮かべ一人嫌らしい笑みを浮かべていた。


「そういえば最近王太子の相手をしておらなかったわ、そろそろ薬も切れるだろうし久しぶりに訪ねてみるとしようか

 あ奴が王位を継げば、さらに儂の為に動いてもらう必要もあるでな」

マシューはひとり呟くと、研究室から怪しげな小瓶を一つ袂に隠すと、そのまま研究室を後にした。

それがどういう結果を引き起こすか、まだマシューは知らない。




そもそも、マシューと王太子の関係は数年前にさかのぼる。

当時まだ10歳にもならなかったステファン王太子は、その素直な性格と親譲りの美しい容姿で周りからも大きな期待を受けながらも、健やかに成長していた。

だが母親、王妃の体調がもともと優れずその当時はほとんど寝室から動けないほどの状態であった。

国政に忙しい父や、学校に通いだした姉にかわり、母親が少し元気な時に話し相手になるのがステファン王太子の仕事であった。

いや、仕事というよりもまだ母親に甘えたいステファン王太子にとっては、唯一の楽しみな時間でもあったのだ。


だが、ある日様態が急変した王妃は、そのまま帰らぬ人となってしまった。

まだ幼いステファン王太子は母親の死を受け入れることが出来ず、それまで続けてきた王宮での勉強もすべて取りやめてしまい、

ただ己の無力さを嘆くだけの日々を過ごすようになってしまった。


そこに王太子の相談役のような形でマシューに白羽の矢が立った。

当時のマシューは魔法の研究に没頭しており、魔法省の中でも頭一つ優れた知識を持っていたため、

以前王太子が魔法について興味があると言ったことを覚えていた乳母の言葉から、国王直々に依頼したものだった。


最初のころはマシューも王太子に会う事すらままならなかったが、やがて部屋に招き入れられるようになり、

何時しか王太子はマシューに師事するようになったのだ。

それまでは部屋に閉じこもり誰の言うことも聞かなかった王太子が、マシューの言うことになら素直に従うようになるのを見て国王も安堵したものだった。


だが、それはマシューの人柄や魔法に対する興味ではなく、ただ王太子の判断力を奪い己の傀儡にすることに成功したマシューの陰謀であったのだ。

以前は明るく明晰であった王太子は、物事を深く考えられなくなりマシューの言う事だけを聞くようになってしまったのだが、

母親を失ったショックと、勉強をしなくなった時期が長期に及んだため、周りもそんな事よりも王太子が元気になったことに目を奪われてしまっていた。


そしてその関係は現在も続いている。



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