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旅立ちの時  作者: 美藤蓮花
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道すがら

お雪に会いに出発した鎌ちゃんたち。

空は今にも雨が降りだしそうなほど、黒く分厚い雲が空を覆っていた。


いつ降りだしてもおかしくないのに、不思議と雨は降ってはこない。


鎌ちゃんは空を見上げ、足を早めた。朝早く出発したが、まだもう少し歩かなくてはならなかった。


山は越え、平坦な道を歩いて、少し坂になる道を歩いて行く。


その後ろを鏡山親方と女将さん、そして太郎がついて来る。


湯本のお殿様が取り仕切るこの辺り一帯は、主に田畑が広がり、あちらこちらに寺子屋が存在していた。皆が字が読め、書けるように、皆が学問に触れられるようにした。


また、土俵の備わった小さな神社もある。2年に一度の祭りには、ここで相撲巡業も開かれる。


鏡山親方もここへ何回か来たという。そして、お殿様と酒を酌み交わしたこともあるという。すべては民の皆の為に動く、良いお殿様だと教えてくれた。


父がどんな仕事をしていたのか全く知らなかった鎌ちゃんは親方がそれを知っていることに驚いたのだった。


普段は物腰の柔らかいお殿様だったがまつりごととなるとビシっと仕切っていらっしゃったよ。鎌太郎のお父上は立派なお殿様だったんだぞ。


そうだったんですね。あの頃の私はそんな事も知らないほど世間知らずだったんですね。


うん。でも鎌ちゃんは私から見るとまだまだ世間知らずよ?もっとしっかりしなくちゃね。


そう言って笑っている女将さんはいつもこんな風になんでも言う。


鎌ちゃんはこの女将さんの一言でだいぶんと世間を知ってはいたが、女将さんに言わせるとまだまだ世間知らずだと言う。


大人になるというのはどんなものなんだろう。


鎌ちゃんはまだまだ分からない事がいっぱいあるのであった。



湯本家は意外と遠い。

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