20 今日は信長の誕生日・サプライズな大作戦! 其の三
信長が何も言わずに机の前に座った。
美佐子がケーキの箱を机の上に置く。
「では、開けましょうか。じゃん!」
白いクリームに包まれたかわいらしいケーキが姿を現した。
中央には小さなお城の形をした砂糖菓子。
その前にはチョコレートのプレートが置かれていた。そこにはメッセージが添えられていた。
『みさこちゃん お誕生日おめでとう』
秀吉が言った。
「何じゃ、これは・・・」
美佐子もプレートをのぞきこんだ。
「あれ? これ私の名前だわ」
「どういうことじゃ!」
秀吉が美佐子に詰め寄った。
美佐子がプレートと秀吉を交互に見たあとで、ぽんと手を叩いた。
「ああ。注文するとき、自分の名前で予約したから、間違えちゃったのかな」
「間違えただと?」
「はい」
「親方様の名前と間違えるとは何事だ!」
「すいません・・・」
美佐子が申し訳なさそうに信長を見た。
秀吉が信長に言った。
「明智の無礼、親方様どうなさいますか?」
「別に構わん。食べられればそれでよい」
信長はあっさりと答えた。
秀吉は、こんな些細なことなど気にも留めない器の大きさに感心した。
秀吉がケーキを見た。
美佐子がケーキの横に置かれたナイフを手に取った。
嫌な予感が走る。
「じゃあ、切りますね」
「待て!」
秀吉が言った。
「えっ?」
美佐子の手が止まる。
「わしが切る!」
「なんでですか?」
「危険だからじゃ」
「ケーキを切るだけですよ?」
「お前はナイフを持っておる。皆が油断した隙に何をするか分からん」
「ふざけないでくださいよ」
「ダメだ!」
秀吉は美佐子からナイフを奪い取った。
美咲が言った。
「豊臣さあ、何をそんなに警戒しているのよ」
「黙れ!」
秀吉はナイフを握りしめる。




