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ChocolateDragon  作者: 珈琲屋
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6

この節は、主に沙也香視点です。

「えっとね…この黒い人が黒江白雪さん」


宜しくお願い致します。


と、黒い人呼ばわりされても動じない白雪が頭を下げた。


「で、この白くてちっこいのがむすび


朝輝に抱っこされている、小さな白い子猫が、気に食わないという感じで鳴いた。


「んで、これがカグー」


朝輝の足元に行儀良くお座りしているのは毛並みの良い黒いラブラドール犬である。


「宜しくお願い致す」


黒ラブのカグーが平然と古風な人語を喋り、会釈なんかしていた。


「お…お願いします」


と沙也香は全員に頭を下げた。


これから一緒に生活して行くメンバーはなんかスゴいな…


朝輝が目覚めてから、2時間程経った。

その2時間はすごく忙しかったし、大変だったのだ。


まず、朝輝は沙也香の家に行くと言い、白雪と沙也香と3人で沙也香の家に向かった。

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

たまたま休みだった銀行員の父と、専業主婦の母。中学生の妹に挨拶を済ませた朝輝。


物腰が柔らかで、礼儀正しい朝輝は沙也香の家族に直ぐに気に入られた。


和やかに会話する父と母と朝輝と、お姉ちゃんの彼氏!?彼氏!?玉の輿!?と騒いでいる妹をドキドキしながら見ていた沙也香であったが…


「それでですね」


朝輝の一言で妹と、元々微動だにしなかった白雪以外全員が凍り付いた。


「娘さん…沙也香さんを僕に下さい」


「「「え…?」」」


理解が追いつかない。

今日までたいして話もしたことなかったのに…


嬉しいとか、恥ずかしいとか、まったく分からない。


朝輝君なりの冗談…なのかな?


妹の騒ぎ声が、何故か遠く感じた。


真面目な父も、優しい母も、固まっていた。


「ちょっと失礼します」


黒江さん。


と朝輝は白雪を呼び寄せ、


「これから“理解して頂きます”。黒江さん、サポートよろしく」


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


沙也香に施した時程の情報量ではなかったが、ある程度自分たちの娘の状況を“理解”した沙也香の家族。


沙也香の父は少しの時間、俯いて思案していたが、


「至らぬ娘ですが、宜しくお願い致します」


マジですかお父さん…


お母さんはハンカチで目元を抑えているし、うるさかった妹もかしこまって思案顔。


ホントに結婚するみたいになってる…


あぁ…私、出来るなら本当に朝輝君と…


「それじゃあ九条沙也香さん、君の荷物を運ぼうか」


立ち上がった朝輝がにっこりして言った。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


「今日からここが九条さんの部屋だよ」


そう言って朝輝が、磨かれた飴色のドアを開けた。


「うわぁ〜!!」


思わず声をあげてしまった沙也香。


沙也香に与えられた部屋は朝輝邸の3階、朝輝の部屋の隣にある部屋であった。

しかし、“部屋”と言っても、普通の家にある一部屋ではなく、いわゆる高級マンションや高級ホテルの“一室”のようなものであった。


広〜いリビングにシステムキッチン、キングサイズよりでっかいベッドのある寝室、ジェットバス機能のついた丸いプールみたいなお風呂、寝室の隣にはウォークインクローゼットまである。


置いてある家具の1つまで高そうだ。


「じゃあ、詳しいことは黒江さんに聞いてね」


そう言って朝輝は部屋から出ようとしたが、


「あっ…と、朝輝君!」


ん?

と沙也香に呼び止められた朝輝が振り返る。


「ほ、本当にいいの?」


どうして朝輝がここまで良くしてくれるのかわからない。


たくさん話したのだって、今日が初めてだ。

自分のせいで朝輝に迷惑をかけたのに、こんなに良い部屋をあてがってくれて…こんなに良くしてくれて…


「いいって、なにが?」


「こんなに良いお部屋…私にはもったいないよ…それに、私は…」


部屋から出ようとしていた朝輝が、少し俯いている沙也香のもとに歩み寄った。

「九条さん。なんにも気にすることないんだよ?」


優しい優しい朝輝の声と言葉。


優し過ぎて逆に辛い。


「でも…」


「九条さん」


「ひゃッ!?」


唐突に朝輝に手を握られて、思わずビックゥとしてしまった。


朝輝君の手…暖かくて優しい大きな手。


「九条さんは今日から家族だから」


「えっ…?」


「僕達はもう家族だよ」


「朝輝君…」


「さぁ、今日はもう何も心配せずにゆっくり休んだ方がいい」


そう言って朝輝はそっと手を離した。


本音を言えば、もっと朝輝と手を繋いでいたかった沙也香であった。


沙也香の手には、まだ朝輝の手の暖かい感触が残っている。

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

部屋から出、ドアをそっと閉めた朝輝はその場でしばし立ち止まっていた。


見なくとも、自分の手が震えているのがわかる。


触れるべきじゃなかった、自分は九条沙也香に触れてはいけなかった。


自分が触れたら…壊してしまうかもしれないから。


「そう…九条さんは何も心配しなくていいんだよ…何も」


今度こそ絶対に守り抜く。

今度こそ絶対に過ちを起こさない。

絶対に傷つけない。 絶対に誰にも傷つけさせない。


真堂朝輝は固く誓う。


彼女との出会いは神の与えた罰。


そして贖罪のチャンス。




執筆が遅くて申し訳ありませんm(_ _)m

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