間章2
間章ではちょっとずつ過去に触れて行きます。
イギリス、ロンドン 国際魔術連盟本部〈四天使の間〉
その部屋は、四角い黒御影石のテーブルと、4つの椅子しかない部屋であった。
そのうち3つは使用されているが、1つだけは座る者がない。
「あらあら、そういえばもうすぐに〈ウリエル〉ちゃんが帰ってくるんじゃなかったかしら?」
その椅子の1つに座っている、30歳前後くらいの穏やかそうな女性がおっとりと言った。
彼女は青いゆったりとしたドレス風の服を着て、長い豊かな栗色の髪に白い百合の花を挿していた。
彼女が動くたびに、青い生地がまるで美しい水面のように波立つ。
「うむ…この1年で〈ウリエル〉も大きく成長したじゃろう」
青い服の女性〈ガブリエル〉の言葉に、白いローブを纏い、それに不釣り合いな赤いワニ皮の靴を履いた老人が言った。
「はッ!!案外変わってねぇかもな。俺は昔のままのアイツが好きだぜ。そう思わねえか?」
白い老人〈ミカエル〉の言葉に、緑色のシャツとジーンズ。そしてベルトにジャラジャラとチェーンを付けた金髪の若者が椅子の背もたれに寄りかかって言う。
「〈ラファエル〉、彼には成長してもらわねばならんのじゃ」
「わぁかってるって、だからアイツを死刑にすんのを3人して必死で止めたんだろう?やつはまだまだ成長するからな。なぁ〈ガブリエル〉、あんたもそう思わねえか?」
「そうねぇ、彼はまだまだ成長真っ盛りだものねぇ。ちゃんと食べてちゃんと運動してるかしらねぇ〈ウリエル〉ちゃん」
母のような気持ちで彼を見守っている〈ガブリエル〉であった。
「あやつのことは、儂とて心配じゃ」
「なぁ、ちょっくらアイツんち行っちゃダメか?すぐ帰って来るからよ。誰か1回くらいは見に行ってやったほうがいいよなぁ。そう思わねえか?」
椅子から立ち上がりかけた〈ラファエル〉を〈ミカエル〉が制止する。
「それはだめじゃ。我々四天使が同時に2人も連盟本部を離れてはならぬ」
トスンと椅子に座り直した〈ラファエル〉が、
「わぁかってるって。言ってみただけだ」
と〈ミカエル〉に向かって手をヒラヒラさせた。
「どうせ来月中にもここに顔を出しにくるじゃろうしのう」
今日もこの3人の天使たちはここに座してもう1人の復帰を待っていた。
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