間章 1
間章では過去にふれて行きます。
“彼”は複雑な思いで“それ”を見ていた。
実験コード〈ホムンクルス〉
“それ”は大きな水槽の中に浮いていた。
「感想は?」
と、白衣を着た女性が“彼”に話しかける。
しかし“彼”は水槽の中に浮く“それ”を見つめたまま返事をしない。
「〈自分〉が作られるのをリアルタイムで見るのはどんな気分?」
と、白衣の女性が再度問いかける。
女性は優しく微笑んでいたが、微笑んでいる理由は想像できるものではなかった。
「こんなモノを作ってどうする気ですか?」
“彼”が非難するような口調で白衣の女性問う。
「少なくとも、これであなたは不死身になったわ」
白衣の女性は思わず、引き裂けるような笑みを浮かべた。
「…なかなか不愉快ですよ?」
と“彼”は顔をしかめた。
ここは彼女の研究所。
そして“彼”が産まれた場所。
その研究所からたいして離れていない廃屋の地下。
床に複雑精緻な魔法円がいくつも描かれている。 召還用ではなく、身を守るもの。
そのうち1番大きな魔法円の真ん中で、ある宝石が割られた。
綺麗に4つに割られた宝石は美しいダイヤモンド。
しかし、そのダイヤモンドの中心は、まるで病魔に犯されているかのように黒い。
4つに割られ、黒い断面から煙りが上がっている。
それを見守っているのは大勢の魔術師たち。そして、魔術師たちは声を揃えて詠唱し始めた。
断面から上がっていた煙りが不意に止まり、ダイヤが不自然に震え、光った。
やがてそれもおさまり、詠唱も完結する。
完成したのだ。
彼らが求めるモノを彼らに与える忌むべき霊装が。
「さぁ…彼らにプレゼントしようじゃないか」
自ら〈サタン〉を名乗る1人の魔術師が呟いた。
「さぁ、楽しい楽しい生き残りゲームの始まりだよ。ChocolateDragonクン…いや、Bloody・white様」
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