ルヘスとの上下の恋人関係
「あ、またルヘスが変な事を書いてるぞ」
哀れな少女である、苛めてやろう。
「おーい、ルヘスぅ!!」
「なによ」
「おら、お前の矮小な自尊心を挫きに来てやったぞ」
「帰って、嫌い」
とか言いながら、ドアを完全には閉めようとしない、隙間から睨み付けてくるだけ。
「悪い悪い、冗談さ」
「入るの? 入らないの?」
「入るに決まってんだろ、お前の家は俺の家みたいなもんだろが」
「なんて傲慢なひと、信じられない」
頬を紅潮させる可愛い子ちゃんだ、まあコイツは俺の事が大好きだからな、仕方ないのだろう俺の一挙手一投足の観察に余念が無い。
「小説書いてたろ、それも自己の思想つぅーか考えをひけらかす感じのぉ」
「わ、私の自由でしょ、それにどうして知ってるのぉ!」
「どうでもいいだろ、そんなこと、偶々だよ運みたいな」
「このぉ! こいつぅ!」
唇を噛み締めて悔しがっている、ハッキングとか、コイツが席を外してる間にとか、推理してるんだろかね。
「くっはっは、お前って本当に思想が浅いよなぁ」
「どうでもいいでしょぉ、思想の自由よぉ」
開き直ってムスッとする、ソッポ向いて怒りながらも、微妙に涙目になっている。
コイツは自分を良く知っている、だから、もうこうなったら開き直って、自分の弱さや浅はかさを盛大に演出して見せて、可愛がってもらおうとする、そういう所は評価できる。
「愛いやつめぇ」
「やめて、貴方のこと、好きじゃない」
「だったらどうして、傍にいたがるんだ? 好きなんだろがぁ、素直になれ。
お前程度じゃ、そういう強情さを貫き通せるほど、純粋に強くないんだからさ、実際のところよぉ」
手懐けて、屈服させて、俺に全てを任せようとする。
彼女は内心不服だろうが、俺はそこまでしてくれないと、彼女に何かしたいと心の底から思えない。
弱い奴は媚びへつらって、強者におもねらないとやっていけない、彼女との関係性は俺に弱肉強食の真理みたいなのを痛感させてくれるのだ。
「うぅ、こんな弱い私は、やだよぉ」
「嫌なら変える努力をしろ、と、言いたい所だが、できない女にできない事を言うのは主義じゃないから一言いってやる」
「うぅ」
「諦めろ」
ぽたぽた、少女は涙を流す、それに酔ってる節もあるが、悪くない表情である、屈辱に適度に歪んだ頬、それを撫でる。
「どうだ」
「苛めないでよぉ、うぅぅ」
ごしごし目頭を擦って熱くさせている。
俺はなんだか堪らない勝利の余韻に浸る、彼女よりも俺が圧倒的に優れている事を実感する。
まあ良い関係なんじゃないかと。
彼女は俺に苛められて嬉しくて、それを糧にできるし、俺も同様だ、SMの典型、模範にしたいくらいの良関係だ。
「さて、帰ろうかな」
「うぅ、、」
「どうした? なにか、言いたそう、というより、物欲しそうな顔してるがぁ?」
分かっている、コイツは求めているのだ、いろいろと。
帰って欲しくない、もっと傍に居たい、それに何より、あの熱く激しい交わり、性愛すらどうしようもないレベルで求めているんだろうよ。
「帰られないでぇ、、」
「どうしようかねぇ~」
「なんでもっ、なんでもするからさぁ?」
「なんでもか、そうだな、まずは紅茶とお菓子でも出してもらおか」
その一言で、そそくさと動き出す彼女は、まるで小動物のようで可愛らしい。
俺の為に、俺を求めて、ちょこまかと世話しなく動き回り尽して、世話焼いてくれるのはいい感じだと思う。
熱い交わりのあと。
「これからも俺の為に尽すんだぞ? そうすれば優しくしてやる、もっと愛しても、やるよ」
「うぅぅ、はいぃ、、尽します、貴方のために、なんでもします」
蕩けたような表情、可愛いとしかいいようがないね。
俺は少女を抱きしめて、その存在を愛おしい者として、確かに認識していた。




