僕の幻想魔的VRゲームプレイ録
目が見えないのは大いなる苦痛だろうか?
いや、ゲームの世界さえあれば、そんなこと関係ないね。
僕はゲームを起動する。
大いなるお城と魔法の学校。
コンセプトやテーマなんて何もない、ただオンラインで幻想的な空間だけが広がっているだけ。
「ゲームしたい人、この指止まれぇ!」
蒼い帽子の知らない人、魔女のコスチュームを着こなす細身の女を見つけた。
全体チャットで呼びかけて、だいたいこの場にいる67%が参加を表明。
「魔法を使わないで、一番高い所に居続けた人が勝ち!
空間カスタマイズ機能オン! 私の世界にようこそ! よーいドン!」
するとこの場所全体に、小物や建物がエクストラに付け加わる形で、無尽蔵なほどに付加された。
途端ごちゃごちゃと混沌とした感じになったが、これはこれで面白い。
というより、一番上と思える場所が何処か、分かり難いほど沢山ある。
実際に頂点と思える場所から眺めて、試行錯誤してみないといけないね、まあゲームとしては面白い。
とりあえず上と信じれる場所、その方に自力で行ってみよう。
タンタンタンタン、大きく跳ねるようなスキップで、魔法学校の螺旋の非常階段を駆け上がる。
「ようよう、ヘイボーイ待ちな」
誰だろう、今日は知らない人ばかりに出会うな。
紫色のドレスのような衣装に身を包み、特徴的な杖で床を突っつきながら僕に併走する。
ちょっと男勝りな語り口調で、変声前の微妙な色の声、だが見た目は可憐な少女だ。
「あの後方の巨大な空間、町みたいな場所には、なぜ誰も行かないのか知っているかい?」
後方というより横を見る、確かにそこには、広大な空間。
幻想的だが、ここに比べれば比較的まともな町の景色が広がっている。
だがアレは影だ、少しでも学園等を仕切るフェンスを飛び越えてソコに向かうと、空間に食われ死ぬ、そういう場所。
つまり偽物、ハリボテのようなモノで、というよりただの画像、行って何事か遊ぶことも出来ないデッドスペースなのだ。
「そうだったのかい、飛んで行こうとしたけど、助かったよ、感謝する、ありがとう」
まあ、今は飛べないんだけどね。
「飛べるよ、ほら」
普通に螺旋階段から抜け出し、空間を縦横無尽に浮遊する、どうやら彼女はこのゲームに参加していないようだ。
ならなんで、僕と併走してたのかねと思った。
屋上についた。
まあ屋上といっても、傍から見ていて気づいていたが、増築されて屋上とは言えない。
そも屋上標高ラインでは、校庭に突如現れた、聳える大樹の頂点よりも下に位置する。
僕は屋上から大樹に乗り移った、内部構造の分からない場所よりも、ただ上るだけの木の方が楽そうだったから。
その後は木上で乱戦になった、勝敗はつかなかった。
「逆鬼ごっこやりたい人、この指止まれぇ!」
今回はメジャーな遊びだったから、全体の80%以上が参加を表明した。
「一定空間内のプレイヤーの人口密度から割り出される適正な鬼の数を算出! でやるよぉ! ではスタートぉ!」
鬼だ、僕が、逃げなくては。
こういう場合はごちゃごちゃした場所に限る、学園内がそれに当たる。
あれは学校という姿をしただけの、別の大いなるナニかだ。
内部は奥になればなるほど、学園からはかけ離れる性質でもあるのか、といった感じ。
例えば、典型的な住宅が扉一枚開けた向こうに、突如広がったりする。
その他、よく知る有名なテレビ局や芸能ビルとか、色々な内部構造が混沌とミックスしたかのような迷路と化す。
内部構造を完璧に把握している奴がいるのかどうか、無駄に広大無辺である。
ちなみに、中心の中心は国会の議事堂っぽい感じである。
「やあ鬼さん、こちら」
いやいや貴方も鬼でしょう。
白と銀で煌き眩しい感じの衣装、帽子も白っぽい水色、割と特徴的なスタイル。
こういう闇に溶け込めない系統の色彩は、あまりチョイスしたがる人がいない、希少なタイプの、あと知らない人。
「あと30秒ほどで、怒涛の鬼じゃない人が、此処に流れ込んで来ますね」
そうですね。
というより、真剣に廊下を最大戦速で突っ走る僕に大して、相当に余裕で併走してくるね。
廊下と言ってもただの廊下じゃないのに。
障害物が溢れてちょこまかと、機動センスみたいなのが試されるような場所なのだ。
能天気なテンションと声音、陽気気味に話しかけてくる。
「どうせなら、共同戦線張りません? 分散するのも手でですけど、ここで会ったがナニかの縁」
ふむ、熟練した腕を感じるし、オーケーである。
そこで、後方から溢れる気配、それと同程度の大きな騒音。
鬼とそれ以外の壮絶な戦いが始まった。
ああもちろん、これは物理で殴るが許されている、学園内のありとあらゆるモノが武器になる。
僕は細長い看板を広い、彼女は主に自動販売機を投げたり振り回したりしていた。




