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傍若無人の絶対強者との人間関係

 


「リアリ」


 携帯に、いきなりの出頭要請染みた文章が送られてきた。

 指定地到着時刻は、メールの送信時刻から見て、約一分後に規定されていた。


「おい」 


 俺がそれを見たのが、着信後とほぼ同時。

 食堂で飯を食っていたのに、そられを放置。

 直ぐに全力で走った事により、ギリギリというよりピンポイントで間に合い、事無きを得た今だ。


「聞いてんのか、パン食ってないで、迅速に呼び出した理由を言え」


 ちなみに、拒めば私設の軍規約により俺は殺されるらしい、軍法会議はないのかと、可笑しな方向で突っ込んじまった。

 さて、有言実行を座右の銘に掲げるコイツのこと、幾ら行きたくなくても俺は行かざるを得なかったろうよ。


「おお、いい所にエンカウンしたな、トウジ、パン買ってこい」


「お前が今食ってるのはなんだ、だいたい、俺はパシリなんかしねぇーぞ」


「足りないのだ、口答えは好かん」


「くだらねぇー用事で呼び出すな、俺は帰るからな」


「なんだ、その態度はトウジ、ぶっ飛ばされたいのか?」


 ああ、どうしよ、一瞬迷ったが、俺はキッパリ断った。

 一瞬後は頭を足で踏みつけられて、完全制圧された。


「おいおいトウジ、世界の覇者である私に、反抗するってどういうことだぁ?」


「冗談だよ冗談、偶には反抗された方が刺激になるとかなんとか、言っていただろうが」


「おおそうだったな、トウジの忠意を感じれなくて悪かった」


「ああ」


 見て分かるとおり、コイツは異常者だ。

 財閥の令嬢、それが副次的なステータスに値する奴なんて俺は知らん。

 分かり易い異常要素としては見た目。

 男勝りなんてレベルじゃない、女傑とか女丈夫って言葉よりも上位の言語の開発を望む。

 あと異常を決定付けるのが、ありえないくらいの身体能力に尽きる。

 絶対暴力の化身みたいな奴だ、正直に掛け値なしに人間かどうか疑わしい。

 ホントこれは冗談でなくマジな話なので、科学調査でもNSAに頼みたい、地球外知的生命体としてだ。

 あと性質の悪い意味で、些細な小技もそつなくな感じでこなせるタイプ。

 天才かどうか知らんが、少なくとも秀才タイプって奴、憎たらしい話だ。


「帰るぞトウジ、荷物を持て」


「へいへい」


「返事が悪いぃ!!!」


 馬鹿力で背中を叩かれてひっくり返る俺。

 てかだいたい、お前が荷物を持つべきだろ、筋力的に考えて。

 女の子ぶっているのだとしたら、戦慄に値する。


「ドヤ」


「はあ?」


「ああ。

 お前は、わたしに完全に支配されている、この状況に関してだよ」


「別にどうでもいい」


「諦めがいいな、従順だとつまらんと、先刻お前自身が思い出したばかりだろお?」


「今のが反抗だ、分からんか」


「はっはぁ! これは一本とられたなぁ~」


 言いながら帰路を行く奴、その後姿を怨敵のように見る俺がいた。

 少し後ろを俺が憑いて行く図だ、まんま殺人者のような瞳と暗い雰囲気を漂わせているのはご愛嬌だろう。


「今日は、トウジの家に泊まるか」


「拒否権を発動する」


「そんな意見が通ると、トウジは本当に思っているのか?」


「思ってないが、なにか?」


「そうか、ただ言ってみたかっただけか、トウジもまだまだ子供っぽい、悟りきれていないなぁー」


「ああ、そうなんだろうよ」


 そして、本当に、家までのこのこ付いてきやがった、、。


「狭い部屋だな」


「お前はデカイからな」


「はは、それは禁句に値するなぁー」


 プロレスでテンカウントを取られた。

 骨が折れそう、てか折れたかしれん。


「お前の、性欲を発散する為に用いる媒体は、どこにあるのだ?」


「明け透けすぎんだろ貴様、てか、んなモン見つけてどうすんだ!」


「なに、興味があった、ただそれだけだ。

 オマケで、知れればそれをネタにした罵倒をし易くなると思ってな」


「ふ、教えんよ」


 死ぬ一歩手前まで追い詰められた、このサド侯爵の生まれ変わりが。


「はっはぁ、トウジらしい、軟弱な感じだな」


 パソコンの二次元画像を指差す、これ以外にもその他色々。

 そんなに趣味に偏りがあるか知らんが、その中でも馬鹿にできそうな奴、それを俺の目の前でニヤニヤしながら晒す構図。

 それを俺の目の前で、これでもかぁ!と晒し者にして、一体全体お前に何の益があるのかと。

 コイツに馬鹿にされる構図は何度も経験しているが、まったく慣れる気がせん、一度もだ、ホント死にたくなるね。


「これは酷くエグイ感じだな、ドロドロねちゃねちゃ系と見る。

 こういうのはどの辺が、お前の琴線に触れたのだ? 言ってみよ」


 コイツの執拗な、粘着質とも言える言動、コレに留まらない果てない傍若無人。

 もうコイツが行う、およそ関連関係するだけで、ありとあらゆる虫唾が走るね。

 森羅万象って壮大なワードを使いたくなる、つまり全部という意味である。

 範疇で含まる一切、存在を感じる、もちろん言動等には更に上位で、どこまでも虫唾が走るのだ。


「あー退屈だ、トウジは詰まらん奴だ。

 そうだな、ゲームでもするか」


「なんだ?」


 相手したくないが、その後の末路を条件反射で予測できたので、骨髄反射で相槌していた。


「ゲームといえばゲームだろう、ほれ、コントローラを持て」


「リアリ、お前が、こういうマトモな事を趣向するのは珍しいな、どんな裏がある?」


「用心深いな、評価するぞ。

 だが安心しろ、ただ、勝ったら相手に命令できる、負けたら相手の言う事を聞く、それだけで済む、トウジ好みの凄くクリーンな内容だ」


「罰ゲームか褒賞か知らんが、それは無しにしろ」


「しょうがない奴だ、ならば私が負けた時だけ、対価の天秤を同位にせず大盤振る舞いとする。

 わたしに勝てたらわたしをお前にやるとか、どうだね、面白くないだろうか?」


「面白くないなぁー、もらった瞬間捨てるだけだから、他のものくれないかぁ?」


「はっはぁ、面白いが、少し気に食わんなそれは」


 おいやめろ! コイツぅっっ!!


「おらおら、これがええんか?ええんか?」


 変な声を出しかけ、押し殺して呻かざるを得ない、てか何処触ってんだぁオイ殺すぞ!


「どうなのだ? ほれほれ。

 何か言ってくれないと寂しくて寂しくて、もっともっと、弄りたくなるぞ? クッキッキッキッキ」


 精神の掛け値なし、羞恥心とか劣等感とかが溢れて可笑しくなる一歩手前、まんまストレスとかの耐性の限界値レベル。

 そんな屈辱的な事をされた、いや、されている。

 この、コイツが俺を馬鹿にする構図、それが永遠に続きそうな人生に、なんか絶望感が半端ないわけだが。

 ホントにホントに、この場で首でも掻き切りたくなる衝動を抑えるので、心労が一線越えていた。


「まだまだ、これから、それぇ」


 だというのに、新たな魔の手でも閃いたか、俺を引っくり返して上から押さえつけ邪嗤する奴。

 現在進行形で俺の精神力とか自制心が、致命な事象の為に大半と言わず総動員されてるっつーに、、。

 コイツはどうやらまだまだ地獄を続けたいらしい、度し難いにもほどがある。

 それは目を見れば分かる、ツーカーっぽいそういう関係ゆえに成せる無駄に洗練された高等読心術だ。

 はあ、コイツなんかと腐れ縁で、多少なりともお互いを知り合っているなんて、一方的に拒否断絶したい、ただただ只管に悲しく残念すぎる話だ。


「なんだその眼は?」


 そりゃ心底から、心情的な領域に特に働きかけるような、得も言えない酷い目に合わされて、相手を睨まない奴なんていないだろうが。


「トウジは気づいてないかもしれないから、言っておいてやろう、ありがたく思えよ。

 それは嗜虐心のある人間の心を、悪戯にソソってしまうようなモノだぞ? それも相当なレベルでな」


「はあ、お前が喜びそうな目をしてたけわけか、初耳だ」


「今している目つきを続けるという事は、トウジは苛められたいのか?」


「俺にそんな意図はない」


「なるほどツンデレか、まあ、お前の性癖を含めて、そこら辺はしっかり把握しているってのぉ、長い付き合いだからな」


「おいコラ、俺の眼を良く見てみろ。何が映ってるよぉ?」


 俺は最大限の憎悪と殺意を込めて、目の前の女を凝視する。 


「私が善人で良かったな、しっかりと、ただ反抗心のある活きの良い目にしか見えていないぞ」


 舌なめずりしている所から判断して、ちょっとなにか、誤ったかもしれん。


「さて、反省させるのに多少古典的だが、子供に帰らせて素直にさせるという意で、お尻ペンペン百回など、どうだろうか? 

 まあ、疑問系で聞いたわけだが、わたしは既に心を決めている、いやでもやるぞ、ほらやるぞ」 


 おいおい、そんな今時誰もやらないこと、マジに無駄な勇ましさで持って敢行するつもりか?

 いらん蛮勇だな。

 まるでお前の存在そのもののようだ、、まあ言わんけど。

 言ったら更に酷い、いやコレはコレで、既に俺が何回も普通に死ぬレベルだぞ、精神的に。


「おい!やめろぉ!!

 さっきから!そろそろじゃなくても俺が死ぬぞ!


 俺は女とも思えないが女に抱え上げられ、強力な万力のような握力で拘束される。


「人間偶には生まれ変わるというのも、大事だと思わんかね?」


「、、、」


 俺は非現実的な現実に、絶句している。

 ズボンを乱暴にずらされて、俺は半尻を晒される。

 そして、大きく振り上げられる大きな手、コイツの手はしっかりカッチリと、ソレに指向している。


「では、残す言葉はあるか?」


 こいつ、信じられねえ、マジのマジでヤル気だ。 


「さて泣き叫び、私に一生の忠誠を誓う覚悟と準備は?」


「、、、死に晒せ」


 ニヤリと、人間がしそうにない、凄絶な瞳と表情で目の前の女は笑いに嗤う。


「ああぁ、ああ。

 ”今のトウジ”の遺言、しかと受け取ったぞ、”後のトウジ”には責任をもって伝える。

 では、、、さらばだぁ!」


「っっ!!!!」


 その日、俺は殺されて、生まれ変わったんだろうよ。

 コイツに更なる上位の怨念を滾らせる、復讐を誓う鬼、そういう存在にな。

 はたして俺は、何時までコイツの支配の掌に納まってればいいんだ。

 抜け出す道は、今のところ絶無に無い。

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