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ノール皇国第六十六部隊騎士団物語

 

  

「んあ?」


 ここはドコだ?

 俺はさっきまで、普通に通学していたはずなんだが、、。


「わっわ!」


 声の方を向く。

 俺が尻餅ついて見る先に、変な陰陽師が持つような札を掲げる、見るも麗しい黒髪の少女がいた。


「あ、貴方は、、まさか、、」


「まさかって、俺はさっきまで学校に行く途中だったんだが。

 これは一体全体どういったこと何だかぁ、ちょっと聞いてもいいかぁ?」


「えと、えと、、、ご、ごめんなさいぃ!!!」


「うん、まあ、貴方が原因という事はわかったよ、それでぇ?」


 そういえば、なんだが。

 さっきから隅の方で、遮蔽物に隠れてこちらをチラチラ見ている、桃色っぽいブラウンヘアの少女がいるのだが、アレはどういった生物だ?


「にゃっにゃ☆」


 俺が視線を向けると、小声でそのような音声が響く。


「うぅ、、ルヘルちゃん、、」


 助けを求めるような瞳をその、なんというか、可笑しな少女に向ける少女。

 あと別に大きく可笑しくはないが、ちょっとコスプレみたいなフリフリ衣装を着ている、猫耳の形を模した帽子も被ってる。

 俺はまあ特に気にしてないけど、向こうは凄く興味深い視線を現在進行形で向けてくる、なんで隠れるようにしているのだろうか?


「彼女はルヘルと言うのか、まあ、それはいいとして、状況説明を頼めないだろうか?」


「そのですね、大変申し訳ないのですけどぇ、、」


「少女は」


 突然、声が上から響く。

 上には普遍的な天井以外に何も無いけど、そこからしているのは確実。

 息継ぎのようなのを一つして続く。


「その類稀に美しい相貌を、酷くうろたえた顔にしている」


 何か台本を音読するみたいな棒読み声が、ハスキーでボーイッシュな音色で響く。


「ミリアちゃん、、なにしてるの?」


 少女は上に尋ねる、まるで天井裏にその人物がいるみたいだ。


「天井裏にその人はいるのかな?」


「え、ええ」


「はっはアナウンスじゃないんだ。それってまるで忍者みたいだ」


 冗談みたいな突っ込みは、続く言葉に流される。


「少年は、突然の不可解に頭を悩ませながらも、彼女の儚げな容姿に見蕩れてしまう」


「そ、そうなんですかぁ!?」


「いや、それは、どうだろうか」


「そして、この事態を弱みに、何かしら少女を脅せないかと、暗い発想を抱えながらも、己の自制心を総動員して事無きを得ている、今ココ」


「えぇ、、ぅっ、、、、」


 警戒心を抱いたみたいに引くように後ずさられた、ちょっとショックを受けないこともない。


「一応言っておくけど、そんな事は考えてないからね」


「さて、少年の思考は高速で現在の状況を推理する、とりあえず少女に悪意は感じられず、なにやらコレには大きな事情があると判断したのでしたマル」


「ミリアちゃんっ、、遊んでないでぇ、出てきてよぉ!」


 少女は天井裏に呼びかけるのに夢中だ。

 俺は隣の人物に話しかける。


「ちょっと聞きたいのだけど」


「はい! にゃ☆!」


「自分は、どうしてこんな場所にいるのか」


「うーん、、、分かんないにゃぁ~♪」


 なんか猫みたいな子だと思っていたら、今さら遅ればせながら語尾の所為だと気づいた、結構混乱してるようだ。


「やあぁ!」


 何時の間にか、先程の天井裏からの声の主っぽい人が降りてきていた。

 珍しい事に橙色っぽい鮮やかな緋色の髪の毛をしている。

 快活な表情でニッと笑い、マフラーを靡かせる、その部分だけが忍者っぽいなと思った。

 あと帯剣してるね、しかも紅のメカメカしいブレードみたいなカッコいい装飾のされた奴。


「指を突き合せてモジモジしている少女よ、彼には状況説明したのかねぇ?

 どうやら、困惑しているように見えるよぉ?」


「ぅぅ、、そのですねぇ」 


 とても言いにくそうに表情を歪められる。

 てか涙目、そんな有様では事情も説明しにくいだろうと感じた。


「ああ、大丈夫だ、落ち着いてからで構わないよ」


「ほぉーほぉー」


 忍者っぽい少女が、顔を大きく左右に揺らしながら、俺を見つつ接近してくる。


「うん? なにかな?」


「その動じない感じ、いいねぇ~、君、何歳?」


 今は状況を最優先で尋ねたいのだが、黒髪の彼女は落ち着いてないみたいだし、ちょっと話すくらいはいいかと思った。


「16だよ」  


「わお! わたしと同い年だぁ! 仲良くしてくれるぅ?」


 彼女は花が開くように微笑み、右手を差し出してくる。


「わたしもわたしもぉ~☆」


 猫っぽい少女も割って入ってきた。


「うん、できる限り努力するよ」


 すこし、というより普通に彼女達の一線越えた勢いに圧倒されて、引き気味にうなずく。


「握手ぅ」


「ああ、そうだったね」


 なんか途轍もなく柔らかくてビックリした、剣道とかやってるみたいな忍者少女っぽかったから驚いた。


「さて、挨拶も済ませたところで、カヨは落ち着いたぁ?」


「うん、、なんとか、、」


「それじゃ、状況説明」


「はい」


 言うところによると、俺は召喚されたらしい、異世界召喚だ、らしい。


「どうやって、そんな事をしたんでしょうか?」


「えと、札術っていう、魔法みたいなのでぇ、、」


 そういえば、今は持ってないけど、初対面時はそれを掲げて硬直していた図を思い出した。


「率直に聞くんですけど、、帰れるんですか? 返してもらえるんでしょうか?」


「、、、ぅぅ、、うえぇ」


 やば、、そう俺が思ったときには、忍者少女が前に出て説明を引き継ぐようにしてくれる。


「困った話ってのは、もう予想してると思う。

 彼女のやったことは、、、そうそうぅ、錬金術の応用である札術召喚って奴でさぁ。

 今のところ、召喚した存在を返す方法が分からないんだよ」


「うぅぅむ、、それは困った感じですね」


 内心かなり困っているので、顎に手を当てて考えるポーズをとってしまう。


「すまんなぁ、、言っておくけど故意じゃないんだ、コレは。

 理論的には零、確立としてもほぼ0%で、召喚されるのは妖精の類なのが当然なんだ。

 それでも偶に、人型のが召喚される、そういう話なんだよ」


 概要はわかった、なんとなく納得もした、まあまず今先決でやる事は。


「あの、大丈夫ですから、落ち着いてください」


「うぇ、、うぇ、、、うえ?」


 後ろで嗚咽していた少女に向けて言う。


「これが事故で、悪意も無いなら、俺は貴方を責めるつもりはありませんから、、ね?」


 なんか思っていたより気障っぽくなった。

 まあ、こういう慰める事には慣れてないからしかたないのか。


「でも、、こんな、、取り返しのつかないことを、、」


「あっはっはぁ! いいじゃんいいじゃん、向こうがいいって言ってんだから、むしろ開き直っちゃえよぉ」


 隣にいた少女が肩を叩いて励ますように言う。


「うーん、よく分からないけどぉー、泣いてると身体にわるいよぉ~?」


 さらに隣にもう一人、猫系女子の子が肩を抱くようにしながら言ってくれる。


「まあ、そういうわけで、そこまで責任を感じる必要はないかんじで、顔を上げてください」


「うぅ、、はいぃ、、」


 まだ涙の残っている、純っぽい瞳を向けられる。


「ふふっ、そんな目で見つめられりゃぁ、殺されたって男は怒れねぇーってっ、、なあ?」 


「はは、そうですねぇ」


「うぅぅ、もうしわけありませんっごめんなさいぃ、、」


 そういう感じで、とりあえず泣き止んでもらった。


「そういえば、名前は? 歳きいといて、聞いてなかったぜ」


「ああ、城崎怜治シロサキレイジ


 俺が名前を言った瞬間、この部屋のドアがノックされたような音がした。


「だぁーれだぁ☆」


 すぐさま飛ぶように、猫少女が俊敏な動きでドアを開けてくれる。


「うん?」


「シロサキレイジ?

 こっちの世界じゃ変わった、長い名前だ、どうやって呼べばいいかなぁ~」


 ドアから現れたのは、なんというか、凄い人。

 まず目に入ったのは、特徴的な感じの黒い魔女がしているようなトンガリ帽子、そこから流れる煌くようなプラチナブロンド。

 更にそれ以上に個性的な衣装。

 露出度の激しすぎる軍服のような僧侶のような、なんて言えば当て嵌まるか分からないソレを華麗に纏う、同い年くらいの見た目の少女。

 あと、近未来的なデザインの、なんか光線でも出てきそうな銀の短銃を腰に下げていた。


「うん? だれ?」


「まあいいや、直接聞くけど、どうやって呼べばいい?」 


「ああいや、その前に、その人は?」


「隊長!」


 猫の少女が、今入ってきた少女を隊長と呼びつつ抱きつく。

 胸にまとわりつく少女を放そうとしながらも、こちらをちょっと凛とした、透明で穏やかな瞳でじっと見てくる。 


「ああ、アレは隊長だよ。

 それでだけど、シロサキレイジはちょっと長いなぁー、どうやって略すかなぁ~」


「ふむ、お前達が男を連れ込むとは、珍しい事もあるものだな」


「えーと、とりあえずシロサキかレイジで気軽に呼んでくれ。

 それとですね、俺は連れ込まれたとかじゃなくてぇ、、、どう言えばいいかなぁ?」


 俺を召喚した少女にとっては、ナイーブかもしれない問題なので、直接少女に尋ねてみる。


「えと、はい、わたしが直接説明します。

 あのぉ、その、、隊長ぅ、」


 少女はたどたどしく、ことの顛末を話す。 

 隊長と呼ばれている少女は、話にコクコク頷きながら、俺を上から下まで観察していた。


「なるほど、状況は把握した。

 つまりソナタは、事故で外なる世界から召喚されてしまったと、そういう話だな?」


「はい、そうみたいです」


「ふむ、それは困った、とても困った、、、、」


「そうだよねぇ」


「そうだにゃぁ~」


「うぅ、ごめんなさいぃごめんなさいぃ、、、」


 なんだか不思議にそわそわしてきた場で、隊長の少女が手を軽く叩いて言う。


「とりまぁ、召喚獣で、カヨの下僕、そういう話にしておくこと。

 上に秘匿することは不可能と、わたしは判断するわ。

 だったら、私達の完全な支配化にあるとした方が、上も納得する可能性が高い、どうかしら?」


 なんだか、思っていたよりも簡単に状況が安定しない風を匂わせる発言。


「それが最善かなぁ、、」


 緋色の髪をゆさゆさして、快活な顔を似合わない風に難しい物にしている。

 なんだか、深刻な事態に現在進行形で直面しているみたいに。


「うううん、ううううん、うん?」


 あとこっちは、只管に難しい難問と戦ってるような感じだ。

 見ていると、疑問系で見つめ返された。


「よく分からないが、なんか大変な話になりそうなのか?」


「いや、そこまで深刻ではないが、、、。

 なあなあにはできない、そういう問題なのだ。

 そういえば、ソナタの名前を聞いてなかった、名は? 

 わたしはアステだ」


「俺はシロサキレイジ「はいはい!」」


 俺が名前を言うと、茜っぽい髪が全力で跳ね上がって、宣言するように声が上がる。


「さっきから考えてたんだけどぉ決めたぞ!

 レイジって呼ぶことにしよぉ! 三文字だ!」


「ああ、それじゃレイジと呼んでくれ」


「レイジか、あいわかった。

 それと、カヨ」


「ああ、はい、、」


 そういえば彼女は、先程から変わらず、ずっとすまなそうな顔をしている、心根がとても優しいのだろう。

 そんな黒髪の少女は、おっかなビックリな、例えるなら親に怒られると怯える子供のように身構える。


「今回の件に、責任は感じているか?」


「はっはい!」


「それでは、彼の処遇を出来うる限り厚遇するために、なんでもするな?」


 それは隊長と呼べる、軍隊組織とかにおける上官の迫力、有無を言わさない感があった。


「もっもちろん! わたしが出来る事はなんでもします! やりたいですぅ!」


 隊長を見つつ言い、俺にも視線を向けてくれる。

 俺は曖昧に頷いておいた。 


「うん、ならばよい。

 この件は、最大限穏便に済むように努力する、みなも努力してくれ」


「おお、もちろんだぜ!」


「にゃー☆ なんでもするぅ!」


「はっはい!」


 なんか一致団結して、俺の為に何かいろいろ尽くしてくれるような彼女達。

 俺も何か一言いっておこうかな。 


「ありがとう皆さん、そうしてくれると、俺としても凄く助かります」


「何言ってるんだ! 迷惑掛けたんだから! これくらい当然だぁ!」


「にゃー☆にゃー☆ そうだにゃー!」


「うぅ、迷惑掛けた分、かならず償いますぅ、、」


「まあカヨ、その意気は加害者として、とても素晴らしい。

 でも彼にとって、そこまで貴方が卑屈になると、逆に困らせてしまうかもしれないよ」


 その発言に俺も同意して、彼女はまた何度も何度も、頭を深く深く下げて謝罪を口にしてきた。

 なんというかこれは、あれだろう、彼女の生来の性質なのだ。

 だから、あまり俺も深く考えないことにして、次からは彼女をもっと軽く受け止めるよう努めようと思った、それが彼女のためにもなりそうな気がした。 


 場が多少なりとも落ち着くのを待ったかのようなタイミングで、隊長の少女が言う。


「よし、そういうわけだな、うん。

 それでだ、言うのが遅れた、すまないのだが私は上からの召集命令を受けているのだ。

 ここに来たのも、それを伝える為だった」


 登場からここまで、彼女が若干ソワソワしてたのはそういう訳か。


「おお了解。

 そして急ぎなのか? 隊長?」


「正直、今から駆け足で向かいたい所だ。

 まあ、走ればどうとでもなる、多少遅れても大丈夫でもある」


「うーん、それじゃ、隊長。

 ここは私に任せて、先に行け」


 彼女はニッと歯を見せて笑って、親指まで立ててみせていた。


「うん? 何か変な、、含みがあるような、、、。」


 急いでいるらしいが、隊長はじっとジトォーと、少女の言動を最大級の興味関心ごとのように眺める。

 そんな熱のような視線に恥ずかしくなったのか分からないが、ニコッとした後、彼女は魔女のような低い笑い声を上げる。


「ふっ、ふふふふ、考えても無駄なこと、わたしとは何時もこんなもんよぉ♪」


「そう、だったなぁ、ホントにまあ、何時ものこと、突っ込まない」


「にゃはっはっはぁー、いつ見ても二人はおもしろいニャー☆」


「見世物じゃないぞ、ルヘル副隊長」


「いやいやぁ~、これはお金がとれる漫才だと、」


 そこで隊長の少女は手で制する、もう行かないとダメという、そういう意思表示だろう。


「それでは、、行ってくるから。

 さっきも言ったが、私はこの件を最大限穏便に済むように努力する。

 レイジも、信じれない所もあるかもしれないが、そう思っていてくれると、無闇な事が起き難くなるかも知れないから、頼む。

 上にもそう働きかけるつもりだ、皆もくれぐれも努力してくれ」


 この場にいる全員、無言でうんうん頷く。

 俺は特に、目をじっと見られた。

 その合わせられた真剣な瞳の輝きに、何か胸が打たれた。

 この子は信用できる、そう思わせる暴力的なカリスマ性がソレにはあるようだった。


「以上。わたしは司令部に呼び出されているので、失礼する、でわ」


 そのまま身体全体を跳ね上げるようにして、部屋を飛び出して行こうとする。 

 優雅に銀の長髪を靡かせ、そのまま踵を翻そうとした彼女。

 しかし、その動作を停止し、まるで逆再生のような精密さで元の場所に戻ってきた。


「ああ、あと。

 これはもしもの話で、私だけかもしれないが、一応言っておくことにする」


 何かシリアスな声音に、みんな何事かと、耳を澄ませている。


「付け加えるが、これはそもそもがない、あっても白紙、そして私だけが行くかもしれないが、そういう話なのだが、、。

 これより何日か、敵国の諜報結果次第では、ここ、都市を離れる可能性が、あるやもしれぬ。

 それだけだ、準備と覚悟とその他いろいろ、心得ておいてくれ、それじゃ」


 言い捨てるような感じで、先刻と同様のダイナミックな動作で消えていく。


「え? マジでぇ!、、マジでぇ!!! ちょっと!」


「、、行っちゃったにゃー」


「ヤバイぜ、まさか、ねぇ。

 こんな時に”そういう事”が、ピンポイントで起きなくてもいいだろうさぁー」


 二人は深刻な感じに唸っている。


「なにが起こるのかな? 

 面倒なことには、できればならないで欲しいけど?」


 隣のカヨさん。

 俺を召喚して、ずっと俯いてたが、今は多少落ち着いてる感じだったので話を振ってみる。


「うぅ、、どうなるのかなぁ、、?

 ああぁ! レイジさんは、大丈夫だと思いますぅ、、わたしが、絶対に、なんとかしますからぁっ、、」


 縋るような瞳。

 でもそれは、相手を労わる大きな意志が感じられた。 

 それは隊長アステのような凛々しい感じとは、毛色も何もかも異なるが、とても真摯で誠実な瞳。


「ありがとう。 カヨさんが誠実な人でよかった」


「うぅ、お礼なんてぇぇ、、、。

 わたし、ぜったいレイジさんを、その、困らせないように頑張りますからぁ、、」


 俺は、何か具体的に俺が彼女を信じている事を示せないか、ちょっと考えた。

 だが思考しても、一向に何も閃かない。

 今は伝えるのを諦めて、のちのち何か良い手段がないか、もっと考えてみよう。


「うーん、隊長もいなくなったし、どっか行くか?

 腹とか減ってないか? レイジ? 場所変えよおぜ」


「うんうん☆ 腹が減ったら戦はできないよぉー☆」


「ああ、確かに、それはいいな。

 ちょうど何か食べたい所だったよ」


 そんな感じで、場所を変える事になった。

 廊下を歩き、キョロキョロ辺りを観察してて思ったのだが。

 ここ、思っていたよりも、酷く現実的というか何というか、、、。

 うーむ、なぜ、なんでこう思うのだろうか? 

 そう思ったからには、そこには明確な理由があるはずだ、、。


 そうか、分かった、俺は合点がいった。


 いま回りにいる彼女達の存在である。

 この辺りの違和感の正体は、その原因のすべては。

 なぜ彼女達が原因に足りえるのか、それは簡単だ。

 彼女達の服装からキャラクターといった、それら諸要素、ほとんど全てがソレそのもの。

 それらは率直に、酷く現実味に欠けている、分かり易く言えばとてもコスプレとかっソレぽい。

 それはまあ、俺が生きる現代なら、ギリギリのギリギリで、それでもちょっと厳しいが、”ありうる”レベルだ。

 だけどこんな典型的な、真の本格中世ファンタジーと言っても差し支えない、この眼前の全てに対して彼女達は明らかに異質だ。

 それは異物にも思えてしまうほどで、異端的な強烈な色彩の違いを現在進行形で発しているのである。


「なんだ? わたしの顔に、何かついてるぅ?」


「いや、別に、じろじろ見てすまない、ただ、元いた世界と違ってな」


「ふーん、あいまいやな。

 それに、レイジは私たちを見てたように、思うけどなぁー、、」


 怪しげに俺を見る視線を気にしつつ、廊下の窓から見える風景を改めて見る。

 中世の時代背景を体現したような、そんな景色を見る。

 彼女達を見る、照合、合う点がない、とは言わないが、やはり決定的な差異を感じるのだ。

 これは何だろうか、どうしようもなく落ち着かない。

 前の世界では絶対になかった、そのような確証すら覚える、強制的に感覚を増やされたかのような、そんな錯覚すら覚えるほどの認識。


「その感覚は、しょうがない」


「うん? なんだ?」


「ああいい、ただ感覚的に分かってからぁ、なぁ、?

 でも、おかしいな。

 異世界から来たなら、私たちと似たようなモンだと思うんだけどなぁー」


 何か深い考え事をするように俯きながら歩く、意味深な彼女だ。

 彼女達は、幻想的で且つファンタジー的な存在だ。

 だから生きる世界も、もっと似非中世というか、俺のいた時代の技術で再現したような、前衛芸術のような現代っぽさがある場所、そうなんだと無意識で思っているし、いたのだろう。

 そこでなら、彼女達の存在もしっかり当て嵌まる、ピッタリピースのように彼女達は合う、シンクロ率100%で合っていると思うのだ。

 つまり、前の世界でよくあった、剣と魔法のファンタジー世界とかだ。

 でも、この殺伐とした空気感、圧倒的なとすら感じる現実の圧。

 とてもそんな生温い雰囲気、世界観とは思えない。


「はあ、これは一筋縄では、いかないだろうな」


「おお!」


「うん?」


「レイジ、独り言とか、、そっそんな素晴らしいスキル持ちとはぁ、恐ろしい子だぜぇ、、」


「にゃーも☆! 一人でにゃーにゃー言ってるにゃぁーよぉー☆」


「みんな、色々な個性っ、じゃなかった、スキル持ってて羨ましいなぁ」


 うーん、この世界は、やはりいろいろと変だ、局所的には特に。

 俺はそんな事を思いつつ、歩き、彼女達を含めてこの世界を興味深く思っていた。


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