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「異世界帰りの錬金術師は、祈る彼女と契約関係を交わして――世界を救う。」  作者: Lark224a


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第87話 次の一手。

そうして静岡まで走行し終えた俺達は、再び近くのSAに扉渡りを設定して拠点へと帰還するのだった。そして、正人、祈、リタ、リル、リアの5名で今後の人との関わり方に関する会議を開くのであった。


簡易的に整えられた会議室の空気は張り詰めており、誰もが今回の件を軽く捉えていないことが一目で分かる。俺自身もその中心に立つ以上、曖昧な判断は許されないと理解していた。


「じゃあ、今から第一回、人との関わり方を決めよ!!の会議を開きます。リア、堂島さんたちに起こった襲撃事件の詳細の説明をしてくれ。」


「はい、マスター。」


リアは即座に頷くと、感情を排した淡々とした口調で状況の整理を始める。その声音は一定で揺らぎがなく、だからこそ語られる情報の一つ一つに確かな信頼性を感じさせた。


「まず、事が起こったのは今から一週間前のことです。マスターが堂島さんたち探索班に対して外部探索任務を命じたことから全てが始まります。任務内容は、拠点から西へ四駅ほど進んだ地点に存在するホームセンターへ向かい、生存者の救出を第一目標とするものでした。


しかし、現地に到着した時点でホームセンターは既に陥落しており、生存者の反応は確認出来ませんでした。その為、堂島さんたちは目標を切り替え、施設内に残されていた物資の回収を優先し、任務を完了させた上で拠点への帰還を開始します。」


一度、わずかに間を置く。


ここからが本題であると示すように、空気がわずかに引き締まった。


「問題はその帰還時です。堂島さんたちは拠点へ戻る途中で、人による襲撃を受けました。」


場の空気がさらに重くなる。


「ここで注目すべき点は、襲撃してきた人間達が“偶然遭遇した生存者”とは考えにくいほど、武装と人数の両面で準備が整っていたことです。一般的な生存者集団ではなく、明確な意図を持って待ち構えていた可能性が高いと判断出来ます。


つまり、この襲撃は単なる偶発的なものではなく、事前に情報を得た上で行動していた可能性がある、ということです。」


リアの言葉は静かだが、その一つ一つが重くのしかかる。


「その為、マスターはホームセンターの存在を報告した親子が内通者である可能性を考慮し、現在も小型ドローンによる常時監視を実施しています。しかし、現時点において不審な行動は確認されておらず、明確な証拠は得られていません。


また、敵側がこちらの拠点自体を監視している可能性も想定し、同様にドローンによる周辺警戒を強化していますが、こちらに関しても現在までに異常は確認されていません。」


最後に、結論をまとめるように言葉を整える。


「以上の情報を総合すると、敵は一定の組織性と行動力を有している可能性が高い一方で、その所在や詳細な規模については未だ特定には至っていない、という状況になります。――以上が、今回の事件詳細および、その後の経過報告となります。」


リアの説明が終わる。


整理された情報が頭の中で組み上がっていくが、それと同時に問題の大きさもより明確になっていく。


「ありがとう、リア。それで、今後の展開についてだけど、俺としてはこのままやられっぱなしで終わるつもりはないし、今後の生活を考えても何とかしておきたいと思っているが、敵の拠点の位置が分からない以上、手の出しようがない。」


一度言葉を切り、思考をまとめる。


「リアの能力で敵が拠点としている可能性がある場所の候補を算出してもらったが、それでも数が多すぎて一箇所ずつ調べるのは現実的じゃない。だから、相談だが‥‥何かいい案はないか?正直、俺の頭ではここらが限界だ。」


一人で抱え込み、答えを出そうとしていたはずの自分を思い返しながらも、だが――今は違うと理解している。


俺は素直に頼ることを選び、みんなが頼っていいと言ってくれたからこそ、こうして言葉に出来ているのだと実感しながら、もしあの祈の言葉が無ければ今もなお一人で考え続けていただろうと胸の内で静かに振り返りつつ、全員の反応を待った。

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