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「異世界帰りの錬金術師は、祈る彼女と契約関係を交わして――世界を救う。」  作者: Lark224a


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第75話 日常と訓練。

『世界を統べた覇王と一心同体になった俺は最強の仲間【駒】を揃える』

https://ncode.syosetu.com/n9081lw/


新連載です。

「あーー体が痛い。」


ベッドの上で体を起こした瞬間、全身にじわりと鈍い痛みが広がり、思わずそんな声が漏れたのとほぼ同時に、隣からも同じような声が返ってきた。


「ねー体が痛いね。」


祈も同じように体を起こしながら、肩や腰に手を当てて小さく顔をしかめており、その仕草だけで原因は言うまでもなく昨夜の出来事にあるのだと分かるほどで、少しはしゃぎ過ぎた代償がそのまま身体に残っている形だった。


「で、今日は何をするの?」


そう問いかけてくる祈に対して、俺は肩を軽く回しながら痛みの具合を確かめつつ、頭の中で今日の動きを整理しながら言葉を返す。


「そうだな。今日は家に籠って作業でもしようかと思ってる。拠点内の問題は堂島さんや神崎さんに任せておけば大丈夫だろうし、何かトラブルが起きたとしてもリルとリタが上手く対処してくれるはずだし、それにこれだけの人数がいれば細かいところも含めて十分に回せるだろうから、無理に俺が前に出る必要もないだろうしな。」


現状を踏まえても、今は無理に動くよりも内部の準備や調整に時間を使った方が結果的に効率が良く、その判断に間違いはないと確信できる状態だった。


「じゃあ、今日はずっーーと家にいるってことだよね?」


「まぁ、そうなるな。」


そう答えた瞬間、祈の表情がぱっと明るく変わり、その反応の分かりやすさに思わず小さく息を吐きそうになる。


「じゃあ、私の訓練に付き合って欲しい!!」


勢いよくそう言われ、少しだけ間を置いてから問い返す。


「訓練?近接戦か?」


「それもあるけど、クロスボウの射撃訓練もしておきたい。」


その言葉を聞いた瞬間、長期遠征を見据えた上での判断だということがすぐに理解できたため、俺は小さく頷きながら考えをまとめる。


「あーそうだな。長期遠征のことを考えると、祈の訓練も本格的にやるべきか。分かった、今からやるか?」


「うん!!」


迷いのない返事だった。


そうして俺たちはリタとリルに軽く声を掛けて外で訓練をしてくると伝えると、近場のマンションの屋上へと移動し、周囲に人の気配がないことを確認した上で、俺は錬金でいくつかの的を作り出し、それぞれを高さや距離を変えて空中へと配置していくことで、単調にならないよう意図的に難易度を調整した。


「じゃあ、とりあえずホーミング機能は切って、的を狙っていこう。最初はゆっくりでいいから。」


「分かった。」


その一言と同時に、祈の雰囲気が明らかに切り替わるのが分かり、先ほどまでの柔らかい空気は消え、視線は鋭く一点に定まり、呼吸のリズムも自然と整えられていく。


放たれた矢は一発一発が丁寧で、無駄な力みもなく、空中に浮かぶ的へと正確に吸い込まれるように突き刺さっていき、ホーミングを切っているにも関わらず安定して命中している様子からは、これまで積み重ねてきた訓練と実戦の成果が確実に形になっていることが見て取れた。


そして最後の的にも綺麗に矢が突き刺さり、全ての的を問題なく撃ち抜いたところで、祈は小さく息を吐いた。


「どうだった?」


「いいじゃん。全部当たってるし、動作も無駄がないし、この状態なら止まっている的を外すことはほぼないだろうな。」


「うん、この距離ならどんな状態からでも当てられるかな。もっと難しくしてほしい。」


その言葉に応じて、俺は次の段階へと移る。


「分かった。なら、次は的を動かしてみよう。」


指先を軽く動かすと、空中の的がそれぞれ異なる軌道で不規則に動き始め、その速度や方向も一定ではないため、先ほどとは比較にならないほど狙いを定め続ける難易度が上がる。


祈はすぐに次の矢を放つが、動く的に対してはわずかなズレが顕著になり始め、先ほどまでとは違って矢が的の横をかすめて通り過ぎる場面が目立つようになっていった。


「さっきの集中力はどこに行った?精度がどんどん落ちてるぞーー!!もっと集中していけーー!!」


声を掛けながら様子を見るが、動き続ける標的に対する追従はまだ不十分で、やがて最後の矢を放ち終えた祈は大きく息を吐きながら肩を落とした。


「あーもう!!全然ッ!!当たらない!!やっぱり的が動くと精度がぐんと落ちちゃう。」


「止まっている獲物に当てるのは、狙撃手にとっては当たり前で、動いている相手に当てて初めて一人前って言えるんだ。」


そう言うと、祈は少し不満そうにこちらを見上げる。


「分かってるよーー。ってか、そんなこと言うなら正人がやってみてよ。」


その言葉に対して、俺は軽く肩をすくめながらクロスボウを受け取ると、無駄な力を抜いて構え、呼吸を整えながら視線を的へと固定する。


一度深く息を吐いた瞬間、意識が研ぎ澄まされる感覚が訪れ、そのまま躊躇なく引き金を引くと、放たれた矢は流れるように連続して射出され、どの矢も迷いなく動き続ける的の中心を正確に射抜いていき、結果として全ての的が一発ずつで貫かれ、空中で崩れるように消えていった。


「‥‥ふん。これでいいか?」


そう言ってクロスボウを下ろすと、祈は頬を膨らませて抗議の視線を向けてくる。


「むぐ!!正人の意地悪!!」


「ハハハッ!!祈が言い始めたことだろ?ほら、続きをするぞ。ちゃんと練習すれば祈だって出来るようになるからな。」


そう言ってクロスボウを返すと、祈は悔しさを滲ませながらも小さく頷き、その目には確かなやる気が宿っていた。


こうして、俺たちの訓練はそのまま続いていくのだった。

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