第74話 告白。
『世界を統べた覇王と一心同体になった俺は最強の仲間【駒】を揃える』
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新連載です。
神崎さんと堂島さんを上手く説得することに成功した俺たち四人は、二人が出て行った後の部屋に残り、そのまま自然と今後のことについて話を続けていた。
扉が閉まった後の室内には、まだどこか張り詰めた空気の余韻が残っており、完全に気が緩んだとは言えない状態だった。
「うまく説得できたってことよね?」
祈がそう口にすると、その声音には安堵とわずかな緊張が入り混じっており、俺は椅子の背にもたれながら小さく息を吐いた。
「だな。ただ、二人の説得自体はそこまで難しいものじゃない。ここまで俺がやってきたことを見ていれば、協力しないという選択肢はほぼ存在しないだろうしな。」
そう言いながらも、胸の奥には引っかかるものが残っている。
「問題は――あの二人が、俺のことをどこまで秘密に出来るかだ。」
その一言で、わずかに緩んでいた空気が再び引き締まった。
結局のところ、あの力の存在が外に漏れた瞬間、それまで積み上げてきた全ては一瞬で崩れ去ることになる。どれだけ状況を整えたとしても、それだけはどうしようもなく、完全に防ぐ手段が存在しない以上、最後に残るのは“信じる”という選択しかない。
「それはそうだけど‥‥私は、堂島さんなら大丈夫だと思う。あの人はずっといい人だからね。」
祈は迷いのない口調でそう言い切り、その言葉には彼女自身が見てきた時間と人となりへの確信が滲んでいた。
「あーそういえば、俺と出会う前に会ったって言ってたな。それは、この部屋に来る前に絡んできた男子も同じ感じか?」
軽い確認のつもりで投げた言葉だったが、祈はすぐに首を横に振る。
「いや、堂島さんとは役所で初めて出会った。亮太とは、子供のころからの関係で幼馴染って感じだけど、もう安心して、私は正人のものだから。」
その言葉と同時に向けられた視線は真っ直ぐで、冗談や誤魔化しの余地など一切含まれていなかった。
どうやら俺が余計な心配をしていると思ったらしいが、俺としてはそういう意図で聞いたわけではなかったため、わずかに戸惑いが生まれる。
それでも――だからこそ、このまま曖昧に流してしまうべきではないと判断した。
「大丈夫だよ。」
そう言って祈の手を取り、そのまま自然な動作で引き寄せると、彼女の体温がすぐに伝わってきた。
細い指先の感触や、わずかに伝わる緊張が、言葉以上に彼女の内側を物語っている。
「祈が何を思って、何を考えているのかはちゃんと分かっているから、心配しなくていい。ただ――祈にそう思わせてしまったのは、俺の方が悪かったな。」
そう言いながら、俺はゆっくりと仮面に手をかける。
仮面を外し、素顔のまま祈と視線を合わせると、その距離の近さと逃げ場のなさに、言葉の重みが一気に増したように感じられた。
「だから、祈‥‥俺達の関係は契約関係だけど、そのままにしておくべきじゃないというか‥‥この祈がいない間の期間で、ちゃんとした形にしておいた方がいいって思ったんだ。」
言葉を紡ぐたびに、心臓の鼓動が強くなる。普段なら何でもないはずの会話ですら、今は妙に息苦しく感じるほどで、それでも視線だけは逸らさずに祈を見つめ続けた。
そして、最後に覚悟を決める。
「その、だから‥‥俺と付き合ってくれないか?」
ようやく絞り出したその言葉は、不格好で飾り気のない、ただ真っ直ぐな本音だった。
その瞬間、祈の表情がわずかに揺れ、次の瞬間には強く抱き着かれていた。
「もぅ、遅いよ。ずっと、その言葉を待ってたの‥‥私も正人のことが大好きだよ。こんな私で良ければお願いします。」
耳元で囁かれる声は、震えを含みながらも確かな喜びを帯びており、その温もりが腕の中で確かに伝わってくる。
「祈がいいんだよ。」
そう返した言葉は自然と出たものであり、そこに迷いは一切なかった。
互いの距離はそのままゆっくりと縮まっていき、呼吸が重なり合うほどの近さになった時には、もう言葉を必要としない空気がそこにあった。
やがて、その距離は完全に失われ、触れ合った唇の感触が、今この瞬間が現実であることを静かに伝えてくる。
こうして俺と祈は、本当の意味で互いを支え合う関係となり――恋人として、新たな一歩を踏み出したのだった。




