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「異世界帰りの錬金術師は、祈る彼女と契約関係を交わして――世界を救う。」  作者: Lark224a


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第70話 これからの方針。

「これで、よしだ。」


ボロボロになっていた体は元通りに修復され、二人の防具も新品同様の状態へと戻した。あとは、破損していたホムンクルスの心臓――魔道核を埋め込むだけだ。


「――リタ。――リル。――守ってくれ。」


長々と言葉を重ねるつもりはない。


二人に求めるのはただ一つ――”盾”であり、”剣”であり続けること。そして、その役割をこれまで完璧に果たしてきた二人なら、これからも必ず応えてくれると信じている。


だからこそ俺も、二人の主として、胸を張って誇れる存在であり続けると誓う。


その想いを込めて、二人の心臓(魔道核)を静かに埋め込み、魔力を流し込んだ。


やがて――二人の瞼がゆっくりと持ち上がる。


「おはよう‥‥リタ、リル。」


「マスター!!」

「マスター」


次の瞬間、二人は迷いなく俺に抱きついてきた。


「ごめんな、二人共。俺が油断したせいで、余計な負担を背負わせてしまった。」


強く抱きしめながら謝罪を口にするが、二人は首を激しく横に振る。


「そんなことは全然ありません!!私たちホムンクルスは、マスターの願いを叶えるために存在しているんです!!そのためなら、この命だって捨てられます!!」


「私もリタと同じです!!私たちは、マスターのために存在しているんです!!」


その言葉は、予想していたものだった。


だが――それとこれとは話が違う。


二人は“ホムンクルスとしての在り方”で語っているが、俺は“家族を守る側の人間”として考えている。その想いが彼女たちに完全に伝わることはないかもしれないが、それでも構わない。


この出来事を、俺は決して忘れない。


「ありがとう。そう言ってもらえると‥‥俺も助かるよ。」


そうして――四人は再び、誰一人欠けることなくここに揃った。


ここから、もう一度やり直す。



「マスター。一応、確認なのですが‥‥ゾンビの襲撃は完全に対処できたのでしょうか?」


「あぁ、問題ない。拠点も、生存者も無事だ。」


「それはよかったです。」


「あぁ、本当にな。――さて、全員揃ったことだし、これからの方針を話す。」


一度言葉を区切り、全員の視線がこちらに集まるのを確認してから続ける。


「まず、俺達の拠点は最大の問題だった人手不足を解消したことで、次の段階に進めるようになった。そこで必要になるのが――グループの組み分けだ。」


「グループの組み分け?」


「そうだ。今までは俺を中心に全体を回していたが、それだと限界がある。これからは俺以外の人間を中心に、それぞれの役割ごとに動ける体制を作る。そうすることで、俺はゾンビ問題の解決に集中できるようになる。」


それこそが、この世界に来て祈と交わした約束――“ゾンビの対処”へと繋がる一歩だった。


「なるほど。つまり、ここにいる人たちをそれぞれの得意分野ごとに分けて仕事を割り振り、マスターはゾンビ対策に専念するということですね。」


「あぁ、その通りだ。このグループ分けが上手く機能すれば、人が増えても仕事がなくなることはないし、それぞれが苦手な分野を無理に担当する必要もなくなる。結果として、最も効率の良い形で全体を動かせる。」


「確かに合理的な方法だとは思いますが――仮に、全員が外に出ている間に拠点内で対処できない問題が発生した場合はどうしますか?例えば‥‥暴動などが起きた場合です。」


その指摘に、思わず小さく笑みが漏れる。


やはりリルは、この手のリスクに対しての視点が鋭い。


「もちろん、その対策も考えてある。まず一つ目は、俺が信頼できる数名にだけ力の一端を明かし、内部からの監視役として情報を共有してもらうことだ。」


「それで内部の不穏な動きはある程度抑えられるだろうが、問題は外部からの襲撃だ。」


人同士の争いが起きた場合、俺たち抜きでそれに対処するのは難しい。


「だから、拠点には情報特化型のホムンクルスを新たに配置する。そして最終手段として、ゴーレムによる強制制圧を可能にしておくことで、外部からの襲撃にも対応できるようにする。」


「‥‥なるほど。確かにその二つの対策があれば、大きな問題にはなりませんね。流石はマスターです。」


「ありがとう。――というわけで、この方針で進めていく。まずは神崎さんと堂島さんに話を通しに行こう。準備をしてくれ。」


こうして――新たな体制に向けた作戦会議は幕を閉じた。

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