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すっぴん召喚のヤマナさん  作者: 座敷犬昼寝中
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98. 論功行賞

 ゼノラウト東部海岸の戦いが終わってから数日が経ったその日、ゼノラウト王都の宮殿では、ベアダイン軍撃退の論功行賞が行われていた。

 陸から攻めてきたベアダイン軍は国へと引き、降伏したベアダイン海軍の兵たち三千名余りは王都近くの砦で捕虜として捕らえられていた。

 南の国境はハルバルトがしっかりフタをしている。



「デルハルト軍の将セルンド様! ヒューレ軍の将ディーエ様! お進みください!!」

 セルンドとディーエが前に進む。

 一段高いところには左右にデルハルト王、テレシア王妃、ヒューレ王が座っており、中央にはゼノラウト8世が立って2人を迎える。

「セルンド殿、ディーエ殿! 此度の援軍、 誠に感謝する。ゼノラウトの国民を代表して礼を言わせてもらいますぞ。」

 そう言って、感謝状を渡し、硬く握手をする。

「これからもゼノラウトの友でいて下され。」

「「ははっ!!」」

 うやうやしく礼をする、セルンドとディーエ。



「次に、ゼノラウト軍の功労者の表彰に移ります。

 第五の功! 敵召喚戦士を討ち取ったガリアのギルファング! 前へ!」

「はっ!」

 ギルファングが進みでる。

「ギルファングよ、よく頑張った。よくぞ兄の仇を討ち果たした。だが大変なのはこれからじゃぞ。」

「ははっ!! ありがたきお言葉!」

 ギルファングが感謝状と宝剣を受け取る。



「第四の功! 敵召喚戦士を討ち取ったレオル、ルル、シェリー! 前へ!」

「え?」「俺たち?」「レオル兄呼ばれてるよ。」「ルルもだろ。」


「ほら、お前たち3人だよ。」

 ヤマナが後ろから促す。


「3人とも前へ!!」

「「「はい!!」」」

 3人が前に出る。

「うむ、実に可愛らしい子たちじゃ。

じゃが本当に良くやってくれた。ゼノラウト軍を壊滅に追い込みかけた敵をやっつけたのじゃからのう。特にルルちゃん。」

「はい!」

「ワシの甥のシュルトを助けてくれてありがとう、シュルトを助け、敵の迷彩を見破り、トドメまでさしたとか。君のような小さな子に戦わせるのは心苦しいのじゃが、、本当にありがとう。」

 そう言ってゼノラウト王はルルの小さな手を両手で包む。

 3人は1人ずつ感謝状と宝剣を手渡された。



「第三の功! 連合軍の采配をとり勝利に導いた、軍師アユミ!」

「は、はい!!」

 アユミが進みでる。


「軍師?」「軍師だと? あの伝説の?」

 会場がざわつく。


「アユミちゃんや、ありがとう、ワシは信じておったよ。アユミちゃんとヤマナは同じ感じがしたのでな。ゼノーデン平原の戦いに東部海岸の戦い、見事じゃ。」

「陛下から頂いたアズリちゃんのおかげです。」

 青い宝石の杖を愛おしそうに撫でるアユミ。

「うむ、仲良くやっておるようじゃの! 結構、結構。」

 そう言って感謝状を渡す。



「第二の功! ガリアのガルファング! 代理としてギルファング、前へ!」

「はっ!」

 ギルファングが前に出る。

「我が国は大事な人を亡くしてしまった、、ガルファングが、ガリアがその命をかけて食い止めてくれたからこそ、今のゼノラウトが有る。

 あやつは感謝状など興味はないじゃろ、『なんだそれ? ウメェのか?』とか言いそうな、そういう男じゃったよ、、

 じゃから、、ギルファングよ! この場で任命する! ガリアの領主となれ! 兄、ガルファング以上の男になって見せよ!」

「ははっ!!」

 そう言ってゼノラウト王は領主の任命状を渡す。



「第一の功! 王国軍指揮官、シュルト!」

「、、は、い」

 用意されていた椅子に座ってたシュルトが弱々しく返事をする。

 左目の上から巻いた包帯にはいまだ血がにじんでいた。


「立てるか?」

 ヤマナに肩を貸してもらい、シュルトがゆっくりと前に進む。


「シュルトよ、よく頑張った。ベアダインの大軍に立ち向かえたのは、そなたがゼノーデン平原に連合軍を集めたからだ。ワシも鼻が高いぞ。」

「もったいなき、、おことば、、」

「良い、無理して喋らんでも、今日はそなたの功積を讃える日なのだから。」

「は、、」

「よし、下がって休め、養生するのじゃぞ。」

「は、、、」

 ヤマナに抱きかかえられるように下がるシュルト。本来ならまだ安静にしていなければいけないのだろう。

 怪我と高熱でモウロウとしながらも、シュルトの横顔はどこか誇らしげであった。



「これにて論功行賞を終わる!」


 一同がざわめく、

「ヤマナ様は?」「いやどう考えても第一の功だろう、、」「敵指揮官の首も両手の指の数以上取っているし、火炎竜討伐に敵召喚戦士も3名撃破、王都防衛戦ではゼノーデン平原から半日で駆けつけ、たった1人で1万の敵を撃退したのだぞ!」「げせぬ!」


「いやいや、まて、皆の者。」

 ゼノラウト王が口を開く。


「ヤマナを表彰したい気持ちはワシも一緒じゃ、じゃがのう、、

 言っても良いか? ヤマナよ。」

「はい、陛下。」


「ヤマナは『大神官』なのじゃ。」

 一同がさらにざわめく。


「ヤマナ様が!」「各地の伝承にあるこの大陸を救った大神官様!」「魂を採取するために魔族の家畜として存在していた人々を解放した大神官様?!」「魔族を撃退し帝国を建国した初代皇帝『アルバード』の師だった大神官『セントレオン!!』」


 王のカミングアウトに驚愕する一同。


「じゃからのぅ、、、表彰することはできんのじゃ。

 あの『セントレオン』を表彰出来る者など、おらんじゃろう。ワシのような一国の王ごときでは、もうヤマナを表彰することはできんのじゃ。

 ただヤマナは我らを友と呼んでくれる。 ワシも、テレシアも、デルハルト王も、ヒューレ王も、ディーエもセルンドもトモナリも、兵たちも子供達も、皆をヤマナは友だと言ってくれる。

 我らはその言葉に甘えさせてもらい、友に感謝するのみじゃ。


 そして、防衛出来ただけで、戦はまだ終わっておらん!

 皆、気を引き締めるように!

 わかったの、一同。」

「「「ははっ!!」」」






 その頃、ベアダインでは、、

「ひいぃ、た、助けてくれぇ!」

「ジウマ様、お慈悲を!」

「家族は、、家族はお助け下さい!」


「無能どもが、、、

 やれ、」


「ぎゃあああ!!」

「ひいぃ!」

「うわぁーん!」

「キャアア!!」


 ベアダインの指導者、トウセ ジウマの命により、ゼノーデン平原から逃げ出した将校たちが一族郎党、老人から女子供、赤子に至るまで凄惨な処刑を受けていた。



「ジウマ様、伝令です!」

「申せ、、」

「海軍がゼノラウト東部海岸にて全滅しました!」

「何だと!! 一隻も帰ってこなかったのか!」


「は、はい! 海軍は、一旦は1万の兵でゼノラウト王都を包囲したものの、ヤマナ1人に撃退されました! 

 海軍付きの召喚戦士は2名ともヤマナに討ち取られ、ベアダン、ベアジン、ベアデンは敵に制圧され拿捕、ベアルーラは白旗を上げ降伏、グレートベアダインは、、、乗り込んできたヤマナ1人に破壊され大破! 撃沈しました!!」

「!! やつは本当に人なのか? 私は、、いったい何を相手にしているのだ?」



「急報!!」

 側近が駆け込んでくる。

「何だ! 今度は!!」


「帝国軍がベアダインに向け、南下しております!!」

「何だと!!」


「斥候からの伝令文を読み上げます!

 大将はフリード皇太子殿下、10万近い大軍勢です!! 先鋒は勇者ユウキが率いる帝国軍3万!」

「なぜだ!! 賄賂を贈っている帝国の重臣どもは何をやっている!!」

「そ、それが、これは帝国軍の演習だと、演習の詳細な内容は、、、

 こ、これは、、、あ、あ、、、」


「何だ! 見せろ!」

 側近から伝令文をひったくるように取り上げるトウセ ジウマ。


「な、、演習の名目は『大神官ヤマナ率いるアルストア大陸軍 合同演習』だと!!

 参加する軍は、、アルカナ帝国、ガルスト、イシュカ、テイヤマ、シンガット、サンガット、タキア、セイシン、ガンテ、ミヤシロ、フクトー、、そしてパトナ、ヒューレ、デルハルト、ゼノラウト!!!


 バカなバカな! ふざけるな! 大陸の西部、北部、東部、ベアダイン以外のほとんど全ての国々ではないか!!!

 それに『大神官ヤマナ』とは何のことだ!! ふざけるな!」


 激昂するトウセ ジウマ、

 今更ながらに自分が敵に回してしまったものの、計り知れなさに戦慄するのであった。


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よろしければこちらもどうぞ。 え? 職業ですか? ガテン系ですけど、、
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