90. ゼノーデン平原の戦い 仇討
※文中に残酷な表現が入っています、ご注意ください。
≪ギュァァァァアアアア!≫
召喚された体長20mほどの火炎竜が吠えた!!
「火炎竜!! アイツを焼き殺せ!!!」
タツヤが叫ぶ!!
「ウォォォオオ!!!」
トモナリの背に乗ったヤマナが、白金の龍王の気を放ちながら吠えると、火炎竜は一瞬ひるみ、羽ばたいて後ろへと飛び上がった!
「逃がすな! トモナリ!」
「うん! 『岩砕突!!!』」
トモナリが構えた剣の切っ先から、赤と金の光の筋が後ろに伸び、鋭い円錐形が型どられた!
「ウォォォオオオ!」
トモナリが地面を蹴り、空中へと飛びあがる!!
赤と金の円錐形は、地面から45度の角度で飛び立ち、ロケットのように発射すると、後ろへと飛び退った竜を空中でとらえた!!
ガギャギャギャギャ!!!
岩砕突を竜のうろこに阻まれ、空中で押し続けるトモナリ!
≪ギュア?≫
竜が不思議そうに下を見下ろすと、、
ヤマナの刀が竜の腹に突き刺さっていた!!
≪ギャ? ギャッ! ギャギャッ!!≫
竜が驚いた目でヤマナを見る!
『切上げぇ!!!』
ヤマナはトモナリの背に乗ったまま、左下から右上へと、竜の腹を斬り上げていた!!
そして自分の頭上まで斬り上げると、左手を刀の棟に添え、
「借りるぞ、ケンタ!! 『ライジングドラゴン!!』」
かつて戦ったケンタの、竜気をまとって攻撃する技だ!
ヤマナは白金の龍となって、火炎竜の腹、胸、のどを斬り裂きながら上昇していく!!
≪ギュギャァァァアアア!!≫
腹からのどまで斬り裂かれた火炎竜が苦悶の声を上げる!!
ゴバァ、
火炎竜の傷口から、溶岩のような血が噴き出し、ベアダイン左軍の本陣に降り注いだ!
「ギャァア!」「あづ、あづっうっ、、」「ひぃい、助けて、たすけ、、」
ベアダインの本陣は、あっという間に炎に包まれ、地獄絵図と化す。
「まだだぁ!!!」
下から上へ斬りあがり、さらに火炎竜の頭上高く飛び上がったヤマナは、
『兜割りぃ!!』
巨大な竜の頭の脳天に、落下しながら斬り付ける!
ゴガッ!
竜の頭の真ん中が、V の字にひしゃげ、中身が噴き出る!!
≪グ、ギュゥゥ……ゥ…ッ…≫
空中で火炎竜はくぐもった音を出し、炎となって燃え尽きた。
ズウゥン!
赤金の気をまとったトモナリがタツヤの目の前に降り立つ。
「ひぃ、、ひぃぃ、、なんだ、こいつら、、」
いきなり空から降ってきた、身長2mの筋肉質な大男に行く手を阻まれ、這うように逃げるタツヤ。
ゴン!
地面を這うように逃げていたタツヤが、誰かの膝にぶつかってひっくり返る。
「どこへ行くんだ? おい。」
白金の気をまとったヤマナだ。
「ひっ、ぎゃっ、おっ『黄土竜』!!」
ゴバッ!!
ヤマナとタツヤの間に、岩石でできた亀の甲羅のような盾が地中から現れた!
「ぬぅん!」
トモナリが後ろからタツヤを斬ろうと剣を振るう!
ガギン!!
こちらも岩石の盾で阻まれた!
「ひ、ひひ、こ、この間に、、詠唱を、、」
「おい、トモナリ、岩砕くの得意だろ、、」
「うん、『岩砕突!!』」
トモナリが岩でできた盾を何枚も砕きながらタツヤに突撃する!!
「ひぃ! 黄土竜、出て来いよ! あいつらを潰せ!!」
地面が揺れ、地中から家ほどもある甲羅を背負った、巨大な岩の竜が現れる!
≪グゥゥーーム、、≫
太いうなり声をあげ、黄土竜がゆっくり足をあげて、ヤマナの居たところに下ろす!
ズウウウゥゥーーン、
すさまじい地響きが起こり、周りの兵士たちがよろける。
『岩波ぃ!!』
ヤマナが黄土竜の甲羅に、下段からの突きを入れた!
岩を砕く波の力を持たせた剣は、甲羅に刺さり、その内部を水の力で破壊する!
ブシュゥゥーー!
甲羅の隙間や目や鼻から水を噴き出して黄土竜の動きが止まった。
『岩砕突ぃ!!』
グバァア!
トモナリが岩砕突きを入れると、水の力で内部がもろくなっていた黄土竜は、大穴をあけて崩れ落ちた。
「奴はどこへ行った?」
「わからない! ちかいとおもう!」
ガタガタガタガタ、、、タツヤは隠れて震えていた、、
……なんなんだよ、なんなんだよ、あいつら! ずるすぎるぞ、、、チート過ぎるだろ! あんな強さ!!
「団長!」
「おう、ギル! 奴を探すのを手伝え! 岩の竜との戦闘中に見失った!」
「了解!」
ヤマナとトモナリ、ギルファングが、荒れ果てた敵本陣跡でタツヤを探す。
[ ……ギルファングさん、、]
「軍師殿! …いるのか? 奴が!」
[ ………… ]
アユミは迷っていた、
今のタツヤは、召喚竜のほとんどを失い、怪我をし、惨めに震えているだけの存在、、
今までいかにひどいことをしてきたといっても、それは戦の中での話、、
ここで自分が居所を教えれば、タツヤは確実に殺される、いわば自分が死刑宣告をするようなものだ、、
いろんな葛藤がアユミの中に渦巻いていた。
「頼む! 頼みます! 軍師殿! 教えてください! おねがいします! 兄貴は、兄貴は俺のあこがれだった! いつもかっこよくって、颯爽としていて、、 俺の目標だったんだ! 兄貴の仇がとれるなら、、俺は死んでもいい!!」
ギルファングがアユミに懇願する。
[ 右の鎧の兵士たちの、、下です、、]
「ありがたい!!」
ギルファングが、倒れた鎧の兵士に駆け寄る!
うつぶせの鎧の襟首に手をかけ、引きはがすように持ち上げる!
「うわぁぁああああ!」
ナイフを構えたタツヤが飛び出す!
ガスッ!
ギルファングの皮鎧の腹にナイフが刺さる!
「あ? なんだそりゃ、そんなもんで殺れると思ってんのか!!」
ナイフは鎧を少しだけ貫通し、ギルファングの腹に刺さっているが、致命傷には程遠かった。
バグン!
真正面からギルファングがタツヤの顔面を殴り付ける!
「てめェが、兄貴を! ガリアを!」
「ひぃいい! 戦争だったんだ! 仕方がなかったんだ! 俺も無理やり戦わせられて!」
「……じゃァ、てめェ、なんで毎回笑ってんだ?」
「え?」
「知ってんだよ! てめェがあの竜で人殺すたびに高笑いしてんのはァ!!」
「違うんだ! あれは違うんだ!」
ドンッ!
ギルファングが蛮刀をタツヤの顔の横に突き立て、青いローブのフードごと地面に縫い付ける。
「行ってみろ、ナニが違うんだ?」
「あれは、そ、そう、笑えって命令されてたんだ! 笑えば士気が上がるって!」
バゴン!
ギルファングがタツヤを殴る。
「ンなわけねェだろ! てめェ!!!」
「ひぃぃ! すみません! ごめんなさい!」
「何をやっている、ギルファング、、」
「だ、団長!!」
「!! あ、あんたがヤマナ団長か! 彼を止めてくださりありがとうございます!! いや、御見それしました! 参りました! 噂通りの強さ! さすが大陸一の戦士!! どうか私をあなたの部下にしてください! お願いします! 同じ日本人でしょ! そうだ、里はどこですか? 私はK県の、、、」
「遊んでんじゃねぇ、ギルファング! さっさと首を取れ! お前に譲ってやるってんだ。俺の気が変わらんうちに早くしろ!」
ヤマナが怒鳴り付ける!
呆然とするタツヤ。
「ははっ!!」
ギルファングが我に返り返事をする。
「……いやだ、いやだ、いやだ、いやだ、、」
ギルファングは、小声で震えながらつぶやくタツヤに馬乗りになり、
「……いやだ、しにたくない、しにたく、、」
素早く蛮刀を引き抜くと首に当て、
「……ひっ、ひぃっ、ひっ、ぃぃ、、」
両手に力を込めた。
「その青いローブ、ガリアへ持っていけ、こいつを倒した証だ。」
「はっ! 団長、了解しました!」
「おじちゃん、、容赦ないね、、」
あたりを警戒しながらトモナリがヤマナに声をかける。
「ああでも言わないと、ギルのやつ、仇なんて討てないだろ、、元々優しすぎるんだ。
だから怒鳴りつけて命令したんだ。
ガリアのためにも、ギルが仇討する必要があるんだよ。」
「そっか、、そうだね。」
[ フミオさま、、]
「アユミ、各軍の撤退支援をお願いしてもよいか? もうすぐ日が暮れる。」
[ 了解しました! フミオさま!]
「あとで本陣に行く。一緒にメシを食おう。」
[ はい! ]
こうして両軍ともにおびただしい犠牲を払った、激戦の二日目が終わった。




