89. ゼノーデン平原の戦い 龍王
※文中に残酷な表現が入っています、ご注意ください。
[ フミオさま、召喚魔法使いが動きます!]
「わかった! どこだ?!」
ガルファングを殺し、ガリアを焼き払った奴と、ついに戦える!
[ 敵左軍の後ろ、デルハルト軍に向かっています!!]
「わかった! デルハルト軍に合流すればいいんだな!」
[ いいえ、まっすぐ南へ、敵右軍と左軍の間を抜け、そのあと右へ! 一番早いルートです! ]
まじか?! 敵軍のど真ん中を抜けて行けと!
「わかった、 案内しろ。 あとデルハルトの支援を忘れるな。」
[ はい! フミオさま。 ]
「よし、デメトリオ、ここは任せる!」
「ははっ!」
「トモナリ! ケビン! ギルファング! 行くぞ!!」
「「「応ッ!!」」」
俺はトモナリ、そしてケビンを筆頭とした20名の弟子、ギルファングの獣人部隊50名を引き連れ、敵軍の中央へと突入していった。
[ セルンドさん! 敵の召喚戦士がそちらに向かっています! 気を付けてください! 密集しすぎないように!]
「アユミさん! 了解した!」
デルハルト軍を率いるセルンドが答える。
「全員、気を付けろ!! 敵の攻撃が来る、 確認したら即散開しろ!!」
「「「ははっ!!」」」
タツヤは墜落の時に折れた左腕を三角巾で吊った状態でデルハルト軍を攻めるべく歩いていた。
ヘイスケはゼノラウト本陣、ソウジはヒューレ軍を相手にしている。
「くっそ、、痛ってえな、、あのキ〇ガイ、ぜってー焼き殺してやる、、、」
青海竜の大波を返し、白翼竜の翼を斬って墜落させたヤマナに、タツヤは深い憎悪を抱いていた。
「ああ! 左腕痛ってェ!! 畜生、ぶっぱなしてやる! もうこの辺でいいだろ!!」
「は、はいタツヤ様」
タツヤは詠唱を始め、
「来い! 火炎竜!!!」
≪ギュォァァアア!≫
火炎竜が現れ、極大の火球をデルハルト軍が陣を張っている山に向かって放つ!
ゴッ、、バァァァアアアアアアン!!
山の中腹が炎に包まれる!
「うわぁぁぁあ!」「あつい!あづい!あづ、、、」「ぎゃあぁぁ、、」
セルンドは火炎竜対策のためにあらかじめ兵を散開させていたが、それでも多くの兵が焼かれていく!
デルハルト軍が居る山の真ん中が、赤い炎に包まれ、燃え広がっていく!
「あああ! みんながぁ!!」
「く!! 畜生めぇ!」
トモナリとヤマナが敵陣の間を走りながら叫ぶ!
[ フミオさま! そこを右です!!]
「ここでか?! わかった!」
まだ敵陣の後ろには抜けていない、だがヤマナ達は敵の左軍の横腹に穴を空けて突入する!
[ 敵左軍と敵本陣の間は抜けられません、挟み撃ちに会います。敵左軍の陣中を突破してください! ]
1万の軍勢の中に100に満たない部隊で突っ込めとは無茶を言う、、だがアユミが言うなら信じる!
敵兵が集まってきた!! こちらの数倍の人数だ!
「トモナリ!! フォローする! 百裂斬いけ!!」
「わかった!! 『爆裂豪打百裂斬!!』 ウオオオォォオ!!」
トモナリが前方に対しては極めて強烈な連続技、『爆裂豪打百裂斬』で敵を薙ぎはらっていく!!
トモナリの隙をついて、側面や後方を取ろうとする敵は、トモナリの後ろをフォローしている俺が斬り捨てる!
最強の縦ツートップで敵陣を斬り進み、弟子たちと獣人部隊が後ろから左右を斬り開く!
敵兵がどんどん集まってきた デルハルトの陣が焼かれたことによって、こちらに目が向いたのだろう。 ギュウギュウ詰めになって、進軍すらままならなくなっていく。
「く、このままでは、、」
「チィィイ! どけよテメェらァ!」
弟子たちやギルファングたちが焦り始める。
[ ケビンさん、ギルファングさん、これからとっておきを使います!!]
「「?!」」
[ 行きますよ! 『歩 成 金!!』]
「おお! これは!」「ウオォォォオオオオ!」
ケビン率いる俺の弟子たちと、ギルファング率いる獣人部隊が黄金の気で包まれる!
将棋をベースとした能力を使う、アユミの新しいスキルか?!
[ 一時的なパワーアップです! 敵は1時の方向! 道を切り開いてください! ]
「いくぞ! 先生の道を開け!!」
「「「応ッ!!」」」
「オラァ! テメえらァ!!! 兄貴のかたきィ討つぞォ!!!」
「「「ウ”オ”オ”ーー!! お館様ーーっ!!」」」
俺の弟子たちとギルファング率いる獣人部隊が、圧倒的な力と速さで敵陣を斬り開いていく!!
「アユミ! おまえ大丈夫か? こんな力を使って!!」
[ 大丈夫です! これは私の力はほとんど使っていません! ちょっとだけ皆さんの魔力と肉体を活性化し、潜在能力を引っ張り出して出力を上げただけです! ]
……ちょっとだけというレベルじゃないぞ、これ、、、
アユミ、、恐ろしい子、、、
段々と敵の抵抗が激しくなってくる、それでもケビンとギルファングたちはガツガツ道を切り開いていく。
「来たな!!! あのキチ〇イかぁ!!! 焼き殺してやる!!」
タツヤが自分に向かって突っ込んでくる部隊を見て憎悪を膨らませる!
「ちぃ、、それにしても硬いな、、見えたか? あの青いローブ、奴か?!」
見覚えのある青いローブを視界にとらえた!
杖を横にしてブツブツ言っている!
[ フミオさま! 詠唱が始まりました!! 炎の気も感知しました!]
「くっ、まだ距離があるぞ!!」
奴までの間にはまだまだ幾重にも敵が立ちはだかっている!
[ トモナリさんを『成』らせます! トモナリさん、フミオさまを運んでください! ]
「わかった!!!」
[ 行きますよ、トモナリさん! 『角 成 竜馬!!』 ]
「ウォォォオオオーーー!!」
トモナリの手首、足首、肩、腰から赤金の炎のような気が噴き出す!!
おお、カッコいい!!
「おじちゃん! 乗って!!」
「おう!」
トモナリの鎧の肩当に手をかけ、その背に乗る!
「行くよ!!! ウォォォォオオオオオ!!!」
速い!! 赤金の炎をまとったトモナリが俺を背に乗せたまま、敵兵を薙ぎ払いつつ敵陣を走る!!
黒い靄が現れ始めた!
「ォォォォオオオオオオ!!」
トモナリが敵を薙ぎ払いながら、集まりつつある靄に突撃する!!
そして黒い靄が急速に集まり、
≪ギュァァァァアアアア!≫
巨大な赤い竜、火炎竜が現れ咆哮を上げる!!
[ フミオさま! 今こそ! ]
「ああ! アユミ!!」
[ 『飛! 成! 龍王ーーっ!!!』 ]
アユミが叫び、俺の全身は、輪郭が黄金色をした強烈な白い光に包まれた!!




