8. 城塞都市テリクス
一千の兵と共にゼノラウト北方の領地についた俺は、その中で最大の町、テリクス市に入った。
ここは盆地になっていて、周りの山々より水が集まり、いくつもの小さな川となって盆地中央のテリクス湖に注ぐ。そしてテリクス湖からは大きな川が南のゼノラウト王都に向かって流れている。
テリクス市はこのテリクス湖の東側に面した、直径1㎞ほどの城塞都市だ。水をうまい事引き入れ、堀とし、周りを高い城壁に囲まれている。
北西と北東に山脈を越える道が伸び、北西の道はデルハルト王国そしてその先のアルカナ帝国、北東の道はヒューレ王国へと続いている。
それぞれの道の峠には砦が築かれており、国境を守っている。3つ目の砦はテリクス市にあり、その規模は砦というより城だ。テリクス市の北側にあり、市を守る壁に接して建てられている。
副官としてデメトリオというエルフがついてくれることとなった。やっぱりいるんだね、エルフ、さすが剣と魔法の世界。デメトリオは、ゼノラウトの軍人だ、デルハルトの侵攻前もテリクスで任についていたらしい。
エルフだが、用兵が非常に巧みであることと、長年の貢献により、王国の軍部の中でも高い地位を与えられていた。
ゼノラウトは、優秀な亜人を積極的に登用しているとのことだった。
軍の運用経験や、為政など行ったことのない俺には、非常に頼りになる。デメトリオの助言をもらいつつ、色々進めていく。
まずはテリクスの砦に入り、部隊を再編成、北西と北東の砦に駐屯兵を送る。テリクスにも兵を駐屯させ、有事の際にはどちらの砦にも後詰できるようにする。俺は騎馬50と共に両方の砦を見て回る、やはり北西のデルハルト側の砦の破損が酷い。翌日、駐屯兵とは別に用意していた工兵をそれぞれ砦の修復に向ける。
部隊配置としてはこんなところか、軍事以外にもまだまだやる事はある。まずは領民の状況だ、各村々の情報を集める。
デルハルト軍は恒久統治を考え、それほど酷い略奪や破壊活動は、行なっていないようだった。それでも戦火の名残はあちこちに見え、戦場に近い村などは、悲惨な目にあっていたようだった。家を焼け出された人や戦災孤児となった子達も少なからずいた。こう言った人たちは城壁のあるテリクスの町に来て路上で生活していたわけだが、俺は教会を避難所として解放し、屋根と食事を提供する事にした。
復興支援の為の人出が欲しいと神官長のロドニーに手紙を出す。
10日後、神官のエリスがテリクス復興の為の有志20名を連れて来てくれた。これは涙が出るほど嬉しかった。優秀なヒーラーでもあるエリスは、教会を避難所兼、孤児院兼、病院として切り盛りしてくれた。
……マジで嫁にしてぇ、
「ヤマナさんは、本当にお優しいのですね。避難所を開設して人々をお救いになられて、、」
「この土地はここの人たちの為のものだからな、エリスが来てくれて本当に助かったよ。ありがとう。」
エリスと話ながら、避難所を見て回る。
「私も、、孤児でしたから、、 魔法の素質があったので神殿に拾われたのですが、、
ここではそういった事は関係なく、孤児たちの面倒を見させてほしいのですが、よろしいでしょうか?」
「もちろんさ、わけ隔てなく子供たちを救ってやってほしい。」
「あー、おねーちゃんがカレシ連れてる~」
「ほんとだー!」
わーっ! と言いながら10人ほどの子供たちがエリスに群がってくる。
「カレシー、お菓子ちょうだーい!」
とか俺に言って来たので、、 孤児院の子たちにやろうと思って持って来た飴をポケットから出してやる。
わーっ! と言って子供達が群がって来た。
ひまわりのように開いた小さな手のひらに、一つずつ飴を握らせてやる。
「こら、領主様に失礼でしょ!」
笑いながらエリスが子供達にいう。
俺としては、カレシでいいんだが、、
「「りょーしゅさま、ありがとー!」」
「おねーちゃんの言うこと、よく聞くんだぞ。
出来ればお手伝いしてやってくれ。」
「うんわかった! りょーしゅさま!」
子供達に手を振りながら教会を後にする。
なんかすげー元気もらった!
さて、まだまだやる事はいっぱいあるぞー、
頑張れ! 俺!




