7. ヤマナさんは隙が無い
「テレシアよ、、
しっかりとお仕えするのじゃぞ、
ゼノラウト8世はまごう事なき賢王じゃ。
デルハルトは戦には負けたが、ゼノラウトに、あの王に救われたのじゃ、、」
「はい、、陛下、今までの御温情、ありがとうございました。
平民であった私を拾い上げて下さった恩は忘れません、、
陛下にお仕えした5年間、本当に幸せでした、、、、」
こうして私は、デルハルトからゼノラウトに行くことになったの、、
デルハルト陛下は賢王と言ったけど、、
はじめ、ゼノラウト8世陛下は本当に馬鹿なんじゃないかと思った。
戦の最中にデルハルトの陣に一人で入ってきて私の手を握ってくるし、、
どこのキ◯ガイかと思ったけど、陛下や近衛の方々は誰だか分かっていたようで、
固まっていたし。
でも、一目惚れとか言ってもらって悪い気はしなかったわ、
ゼノラウトの召喚戦士、ヤマナさんは苦手、
デルハルトの召喚戦士トモナリくんは怖い見た目だけど、中身は可愛い子供だったの、
侍女のみんなは弟のように可愛がっていたし、、
でも、ヤマナさんはなんか近づき難い、
振る舞いも隙が無いと言うのか、とにかく話かけられない。
何気ないような感じなのに、時折周りを刺すような目で見回す。
王様と私が乗った、王都に向かう馬車を守ってくれているんだろうけど。
マジメさんなのかな?
王都に着いた。
小さくって飾り気はあまり無いけど、白い綺麗な宮殿、
私、今日からここでお仕えするんだぁ、、
宮殿の皆さんはとても親切で、、
え? え? なになに?
なんでこんなドレス着せられるの?
私、侍女なのに!
「おお、テレシア! なんと美しい! 黄金の髪と白い肌がピンクのドレスにますます映えるの。」
王様が褒めてくれる。
「あの、、私はなんの仕事をすれば、、」
「ワシの横に立って、微笑んでくれていれば良いのじゃ、」
王様はお妃様に先立たれ、今は一人らしい、
って、ええ?!
なんで私、玉座の隣に立ってるの??
……重臣や近衛の方に怒られないかと思ったけど、、
なんか私と目を合わせた人は同情した眼差しになっている、、
どういうこと? ねぇ? どういうこと?
おねがい! だれか説明して!
「さて、2年に渡る戦、皆、誠に大儀であった。
ワシの力不足で皆には苦しい思いをさせてすまなんだ、、」
うわ、王様が頭下げたよ!
みんな首を横に振りながらうつむいているよ。
泣いてる人もいる。
「だが! 救国の戦士、ヤマナのおかげでこの国は救われたのじゃ!
ヤマナ、前へ!」
「はっ!」
鋭い声でヤマナさんが出てきて片膝を着く。
「国の皆を代表して礼を言う、また両軍の戦死者ゼロで終戦させたというのは神業としか言いようがない。これからもよろしく頼む。」
「ははっ!」
と答えてヤマナさんが下がる。
ヤマナさんは本当に隙がない。
「戦後処理は任せる、決して引き上げるデルハルトの兵や民をムチ打つような真似はせんようにの、むしろ同盟国の友だと思うて助けてやれ。」
「「ははっ!」」
ああ、、
優しい王様にお仕えする事になってよかった、、
ありがとう、、
数刻後、王様にお部屋に呼ばれたの、
「テレシア、、、」
「ああっ、王様、いけませんわ、、」
思わずカーテンをつかんだら、、
グラッ!!
ドゴーン!
ベッドの天蓋が崩れて、ベッドや家具にあたり、部屋がメチャクチャになったの!!
「ああっ、申し訳ございません、申し訳ございません!」
床に手をついて必死に謝ったわ、、
「テレシア! 怪我はないか!」
初めて見る王様の険しい表情!
「はい、怪我はありません、本当に申し訳ございません、、」
「なぜ謝る、テレシアが無事ならそれで良いのじゃ!」
王様はそう言って抱きしめてくださったの、、
ああ、
私はこの時、、
この優しい王様に一生尽くそうと決めたの、、、
「ではこのデルハルト側の最前線の砦は、、」
俺は宮殿の中の会議室で、与えられた領地と砦の防衛に関し、軍部の関係者と打ち合わせを行なっていた。
急に衛兵たちが慌ただしく動きはじめる。
「?? 騒がしいな、何かあったのか?」
「陛下のベッドが崩壊して、部屋がメチャクチャらしい、
若い妾を手に入れたからって、陛下も頑張り過ぎだよ、
あっはっは!」
……やべぇ、 俺のせいだ、笑えねぇ
翌日、
「ゼノラウトの騎士、フミオ ゼン ヤマナよ、前へ!」
「はっ!」
「此度の其方の働き、誠に見事であった!
爵位と北方の領地と砦を授ける。
軍事的にはこの国の要じゃ!
領民を安心させてやってくれ、よろしく頼むぞ。」
「ははっ!」
その日のうちに、俺はゼノラウト北方出身者で編成された一千の軍を率い、領地へと出発した。
ちなみに、宮殿のゴミ捨て場で見つけたベッドの残骸は、細かくして神殿の孤児院のマキ置き場にこっそり置いてきた。




