9. 魔獣討伐
「魔獣?」
「はい、テリクス北方の山の中のヴィエラ村という小さな村が昨晩、魔獣に襲われたとのことです。」
とある日の午前中、俺は砦の執務室で、副官のデメトリオから報告を受けていた。
この世界の魔獣というのがよくわからないが、そんなに頻繁に人が襲われるものなのか?
「森や山の中ならともかく、村まで入ってくる事はほとんどありませんね。村を囲む柵も有ったようですし、それを超えて人を襲うのは珍しいです。」
被害と魔獣の規模は?
「10戸ほどの小さな村ですが、2家族やられたようです。1mほどの魔獣が2体、目撃されています。」
村民はどうしている? 避難したのか?
「いえ、家に閉じこもっているようです。すぐに討伐隊を派遣しますか?」
「もちろんだ、俺も行こう。」
討伐隊は弓兵3名、槍兵3名、歩兵4名これを1隊とし、合計3隊の30名で編成した。俺は2mほどの槍を手に、腰には刃渡り60cmほどの剣、30cmほどのナイフを2本という武装で行く。
まずは襲われたというヴィエラ村へ。草原のなかを流れる小川沿いに5kmほど歩くと森に着き、そこから渓流沿いの道を昇っていく。2時間ほどで山の中にあるヴィエラ村に到着した。
見回ってみると、木で出来た柵の、壊れかけたところをこじ開けて村へ進入したようだ。襲われた家を調べてみる。窓から進入したようで窓枠に黒い毛と、泥が付いていた。
でかいな、、本当に体長1mなのか?
かなり大き目の窓枠を無理やり通ったような跡がある。
部屋の中は、、 酷い有様だった。遺体は食べられてしまったのか、残っていなかったが、血だまりと破れた服や細かい肉片が残っている場所が、4箇所あった。いろんなもので叩き、投げつけて抵抗したのだろう、家具が壊れ、散乱していた。もう一軒も似たような状況だった。
聞くと、一昨夜、昨夜と、連続で一軒ずつ襲われたとのことだった。この食欲、1mが2頭じゃないな、それ以上いる。それも窓枠いっぱいの太さのでかいやつもいる、このままいけば、今晩も間違いなく他の家が襲われる、そう判断し、すぐに住民を避難させることにした。
日が沈む前にはテリクスに着きたい。先頭に1隊、真ん中に1隊、最後方に1隊、村民達を挟む様な形で守りながらテリクスに急ぐ。空は夕焼け色に染まっていたが、なんとかテリクスの町に入ることが出来た。
テリクスに到着して一安心していたら、小さな女の子が話しかけてきた。。
「あのね、リン姉ちゃんがいないの、」
!!
「リン姉ちゃんって?」
俺は焦りを隠して、女の子に優しく問いかける。
「うん、お隣のリン姉ちゃん、パパと一緒に今日も山に仕事に行ったの。」
マズイ!!
「……なぜ言わなかった、、」
険しい顔で大人達の方を向く。
「ひぃ、す、すぐに逃げたかったんじゃ! あの者達を待ちたくなかったんじゃ!」
「避難していない村民は、あと二人で間違いないんだな?」
「は、、はい、まちがいありません、、」
「よく教えてくれたね、ありがとう。お名前は?」
「リュカ!」
「よし、リュカちゃん、リン姉ちゃんは僕に任せて、必ず助けてくるから!」
リュカに飴をひとつあげてから、、
兵たちに向かって叫ぶ!!
「一刻を争うゆえ、この場で有志を募る!
命令ではない! 自分の意志で決めてくれ!
目的は、取り残された村民の救出!!
魔獣との夜間戦闘も有り得る危険な任務だ、
志あるものは、
俺と来い!!! 」
20名ほどの勇士と供に村へと走る。副官のデメトリオには村民たちを教会へ送ることと、100名ほど集めて後詰をするよう頼んだ。
1時間半ほどで到着し、聞いていた家に向かう、襲われた様子はないが、誰もいない。
まだ帰ってきていないのか?
それとも、、
「きゃぁっ!」
村の外から悲鳴が聞こえた。




