↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
すっぴん召喚のヤマナさん  作者: 座敷犬昼寝中
11/155

10. 稲妻

「ふがいねぇ、

 ふがいねぇよ、俺たち、、」


 猫系の獣人の兵士がジョッキを握り締めながら、ポロポロと涙を流して語る。

 ここはテリクスにある酒場のひとつ、

 周りの者はじっと話を聞いていた。


「しょうがねぇよ、ドット、

 とんでもない魔獣だったんだろ?」

 別の兵士が、涙を流す兵士をなぐさめる。


「3mはある魔獣に、

 俺たち、、、


 すくんで、まったく動けなかったんだ、、

 弓持ってるやつが、矢を射ってたけど、、

 効かないんだよ、全然刺さらないんだよ、、」


「でも領主様は、

 あの方は、、、

 村の人と俺たちをかばうように、

 ずっと、ずっと、

 一番前で、

 たった一人で、、

 魔獣の爪に切り裂かれて血だらけになって、、

 槍もなかなか刺さらなくって、、

 体当たりで何度も吹き飛ばされて、、

 何度も何度も倒されて、、、


 でも下がらないんだよ! あの人は!!


 ボロボロなのに!

 血だらけなのに!

 一歩もひかないんだよ!

 俺たちが後ろにいるから、、

 ううっうっうっ、、」


 兵士が目頭を押さえる。


「また吹っ飛ばされて、、

 倒れた領主様に覆いかぶさるように魔獣が襲いかかって、

 もうダメだと思った。


 でもその時、領主様が叫んだんだ!


 なんて言ったかはわからねぇ、

 だけど立ち上がりざまに抜いた剣は、


 輝いてたんだ!


 襲いかかる魔獣の腕を切りとばし、そのあと、こう、縦に魔獣を切り裂いたんだ!

 切った時、雷が鳴って、物凄い光と音で、夜の山の中が真昼のように一瞬明るくなったんだ!


 後には、まっぷたつになって、焼けこげた魔獣の死体があった、、」


「へぇー、領主様は雷の魔法剣でも持ってるのかい?」


「いや、剣は俺たちのと同じ、支給用の剣を使ってた、

 あれは領主様の、、

 技だと思う。

 剣もボロボロになってもう使えなくなっていたし、、

 ああ、強くなりてぇ、強くなりてぇよ!

 せめてあの方の足手まといにならず、一緒に戦えるぐらいに!」


「まぁ、飲めよ」

 仲間の兵士がもう一杯勧める。


「いや、やめとくよ、、

 明日から早起きして、自主稽古する事にしたんだ。

 いつかあの方の役に立ってみせるよ。」


 そう言って兵士は帰って行った。







「きゃぁっ!」


 ヴィエラ村の外から小さな悲鳴が聞こえた!

 俺は山側の柵にとび登り、見回すと、、


「ぃゃ、やだぁ、、いたぃよぉ、、」


 いた!!

 少女が柵を背に倒れており、3匹の大型犬ほどの黒い魔獣に襲われ、手足を噛まれていた! 魔獣はずんぐりとした熊のような体型で、歯と耳は狼のように尖っていた。2mほどの柵から飛び降りて少女のところへ走る!


「ギャン!!」「ギャガルゥウウ!」「ギャギャンッ!!」

 即座に槍で魔獣の尻、喉、脇を素早く刺し、3匹とも仕留める!


 途端、背後から凄まじい怒気を感じた!


 振り返ると、

 ばかでかい魔獣が吠えて突っ込んでくる!

 しまった、さっきの魔獣の親か?!


 構える間もなく、魔獣の突進で吹き飛ばされる、


 ぐぅ!

 倒れこんでいる暇はない!


 すぐ立ち槍で迎え撃つ、

 2、3発槍をしならせて魔獣を叩く!

 が、ぶ厚い皮に阻まれてきかない!!


 素早く2連突き!


「りゃ、りゃっ!」


 げっ、硬い!

 早い突きじゃ軽くて、穂先がまったく入らない!


 また一撃が来る!

 吹っ飛ばされる、


「ぐぅぅっ!」


 というか半分自分で飛ぶ! 『飛び受け身』でダメージを最小限にする。

 兵士達も集まってきた、が、魔獣を見て固まる。


 横なぎの一撃がまた来る! 皮鎧に爪が引っかかる! そのまま引っ張られ、吹っ飛ばされる。

 バンバン飛び受け身している姿に、さぞや派手にやられているように見えるんだろうなぁ。爪で引っかかれて結構流血してるし。


 今度は一撃をかわしてから腰を据えてドン! と槍を突く!


「りゃぁぁ!」


 よし、刺さった! ってあれ、抜けない!

 しまった、槍を持ってかれた!


 体当たりでまた吹っ飛ぶ。

 ごろごろ転がり、起き上がりざま、右膝を立てて座る形の『立膝たてひざ』で座り、迎撃態勢をとる。


 魔獣が突進してくる!

 俺の前でガバッと大きく立ち上がり、右腕を振りかぶって打ち下ろしてくる!


 そういやこの態勢から敵を迎撃する居合いの技、あったな。腰の剣に手を回し、思わず技名を叫んだ。


稲妻いなづまあぁっ!!』


 立膝から立ち上がりつつ、抜刀! 下から上へ切り上げる!


 バヂンッ!!


 うお! 剣から雷が出た!

 魔獣の腕を切り飛ばし、そしてそのまま縦に切る!


 ドガガァァン!!


 雷光が魔獣を切り裂く!


 やった、か?


 うん、やった、

 よし、フラグはたっていない。

 口から腹を経て股下まで切り裂いて、内側焼かれてちゃんと死んでる、


 リンと父親は?!


 見回すと父親が、リンを抱えながら名を叫んでいる。

 リンの手足は何度も魔獣にかまれ、ひどい状態になっていた

 すぐに手当てしなければ!


 止血、添え木の応急処置はしたが、衰弱が酷い。


 魔獣は父親を踏みつけて抑え、その間に、子魔獣にリンを襲わせていたそうだ。

 狩りを教え込んでいたのか?


 すぐにエリスのところに行って手当てしてもらわねば!

 しかしここからテリクスまでは10km弱ほどある、


 応急手当てをしたリンを布で包み、背負う。

 試してみたいことがあった。


 居合いの『稲妻』を叫んで技を振るった時、稲妻が出た。

 これが俺に与えられた召喚戦士としてのスキルなのだとしたら、

 ならば他の技も、、


 腰を少し落としてタメをつくり、技を振るう気でつぶやく。


かぜ……』

 本来は、距離のある敵に、風を受けた帆船のようにスーーっと近づいて、切り付ける技だ。


 背中の後ろからそよそよと風を感じたかと思うと、、

 次の瞬間、ゴッと吹いてきた!!


 よし!

 リンを背負って走る!


 風に包まれて運んでもらい、

 走る! 走る! 走る!



 なにがなんでも、、



 ぜってーー、助けてやるからな!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
よろしければこちらもどうぞ。 え? 職業ですか? ガテン系ですけど、、
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。