11. ヤマナさんは無茶をする
「エリスねーちゃん、タオル持ってきたよ!」
「ありがと、そこに置いてね。」
その日の夕方、私はヴィエラ村から避難してきた人たちの受け入れで大忙しだった。孤児院の子たちも手伝ってくれている。
村の人達は疲れ切ってそれぞれに集まって座り込んでいる。
よほど辛い目にあったんだろうな。
特に大人たちは、なんだか怒られた子のようにしょんぼりしている。
女の子が一人、背伸びして窓から外をじっ、と見つめている。
あれは、きっとヴィエラ村の方角だ。
「大丈夫だよ、きっとすぐに帰れるからね。」
そう話しかけると、
「違うの、リュカはリン姉ちゃん待ってるの!」
と答えた。
「リン姉ちゃん?」
「うん、まだ村にいるの!」
「ええ?! 魔獣が出るのに?!」
「大丈夫!!」
「大丈夫なの?」
「うん、りょーしゅさまが助けてくれるって約束してくれたの!
へーたいさんつれて、すごいはやさで、むらに、はしっていったの!」
「 !! 」
ああ、、かみさま、、
ヤマナさんをおまもりください、、、
夜もだいぶ、ふけてきた、ヴィエラ村の人たちはみんな寝ている。
でも、リュカちゃんは真剣な顔で、まだ外を見ていた、、
毛布を持っていって、、
「リュカちゃん、もう遅いから寝ましょう、ね?」
と言うと、
「ヤダ! 待ってるの!」
と返された、、
「きた!!」
「え?!」
窓を開ける。
私にはまだ何も見えない、
と思ったら!
「……ス!」
「…リス!」
声が近づいてくる!
「エリス! どこだ! たのむ!!」
聞こえた! 私を呼んでいる!!
あのひとが、私を呼んでいる! 助けを求めている!
「ここです!!」
教会の扉を開いて叫んだ!
ゴウッ!!!
ヤマナさんが、突風とともに物凄い勢いで教会に飛び込んできた!!
一瞬教会の中を風が吹き荒れる。
「ああ、こんなに血だらけで、、
今ヒールをかけますから、、」
私は涙ぐみながら、ヤマナさんに、、、
「違う! 俺の事はいい!!」
え? 怒られた?
「この子を、リンをたのむ!」
そういって背中の布で包まれた荷物を、、
荷物?
いえ、女の子!!
「頼む! エリスだけが頼りなんだ! 見てやってくれ!
頼む!!
頼むぅっ!!」
ヤマナさんが教会の床に、頭を打ち付けんばかりにお願いしてくる。
顔は、、今にも泣き出しそうだ、、
ひどい、、女の子はあちこち噛まれて手足はボロボロ、お腹も噛まれている。でも、まだ息はある!
「任せて下さい、今度は私が頑張ります!」
そう言って、私は手当てとヒールを始めた。
「大丈夫か! 何か、何か手伝えることはないか?」
治療する私の周りを、自分の止血もせず、うろうろするヤマナさん。
「ヤマナさんは、ご自分の怪我を何とかして下さい!
そんなボロボロなまま、うろうろされると、気が散ります!」
言っちゃった… てへ、
「そ、そうか、、」
と言ってその辺に座って自分で包帯を巻き始めるし、、
あ、包帯がずり落ちた、、あまりの下手さに
「りょーしゅさま、巻いてあげるー」
子供に巻いてもらっているし、、
「りょーしゅさま、リン姉ちゃん助けてくれて、ありがとー」
包帯を巻きながら、女の子がお礼を言ってる。
「リュカと約束したからな!」
ヤマナさんが女の子の頭を撫でながら答えてた。
きっととんでもない戦いだったんだろうなぁ。トモナリ相手に無傷だった、あのヤマナさんが、あんなに血だらけの、ボロボロになっちゃって、、戦って、ボロボロになって、女の子担いで山道を走って、、
本当に、、
ヤマナさんは本当に無茶をする、、
あ、椅子に座ったまま寝ちゃったよ。
爆睡だよ、、、
あとでヒールかけておこっと。




