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すっぴん召喚のヤマナさん  作者: 座敷犬昼寝中
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85. ゼノーデン平原の戦い 開戦

※文中に残酷な表現が入っています、また水に関する描写があります、ご注意ください。

 翌日、、ゼノーデン平原にベアダイン軍が入ってきた。

 平原の北側にはヤマナ率いる6千の軍を先鋒に、そのすぐ後方の山には1万のゼノラウト軍が控えていた。

 ベアダイン側から見れば、2段構えの陣に見える。

 平原の東西にある山には、デルハルト軍、ヒューレ軍が控えていた。



「へえ、つぶしがいがある陣だな、、」

 タツヤがワクワクしながらヤマナ達を見る。


 太陽が天頂にかかるころ、ベアダイン軍は先鋒軍1万が方陣で前に、中軍は2軍に分け東と西に1万ずつ、これも方陣で並ぶ、そして後方には本軍2万が横陣となって構えた。


「さて、行きますかぁ!!」

 先鋒の陣からタツヤが、重装歩兵と共に前に出る。

 500mほど先のヤマナの陣を見て、

「んん? 兵と兵の間をあんなに開けて。火炎竜対策か?

 無駄無駄、やっぱりあれだよなーー、こんなにたくさんいたら、ザバーと行くのがいいよな! 『ファンタジーワールド』のシナリオみたいに!」

 タツヤが杖を両手で握り、、詠唱に入った。


[ フミオさま!! アズリが感知しました! 水の気です!! ]

 アユミが本陣から『以心伝心』でヤマナに伝える!!


 瞬間、ヤマナが騎馬で飛び出す!!

『追い風』も使って一騎で敵陣に向けて駆けていく!!

 そして250m、敵軍との中間点までに来ると馬から飛び降り、愛馬の尻を叩いて馬だけを自陣に返す。


『青海竜!!!』

 詠唱が終わり、、敵陣の前に巨大な蛇のような青い竜が現れた!!


≪キュァァァァァアアアアアアアア!≫


 青い竜は吠え、そして、ベアダイン軍の前の空間からゼノラウト軍に向け水が噴き出してきた!!

 水は大波となって、、ゼノラウト軍へと押し寄せる!!!

 


 ヤマナは迫りくる波に背を向けて、立膝で座った。

 両の手はゆるく握り、膝の上へ置き、そしてそのまま禅を行い、、、

 深い深い精神世界へと入って行く。



 ベアダイン軍の先頭で、タツヤがヤマナを見て大笑いをしていた。

「あっはっは! なんだあいつ、狂ってら!

 走り出てきたと思ったら大波の前に座りやがった!

 青海竜にたっぷり魔力注いだから、短時間ではこの水は消えないよ!

 死ねよ、狂人。」



 山の中腹にあるゼノラウトの本陣からは、眼下で大波がヤマナと先鋒軍を飲み込もうと迫るのが見えた。

「師匠、大丈夫か?」「ししょーー、、」

 レオルとルルが、迫りくる大波にたった一人で背を向けて座るヤマナをみて不安な心を漏らす。

「信じなさい! 私たちがフミオさまを信じないと!」

 アユミがレオルをしかりつける。

「フミオさまは大丈夫、フミオさまは大丈夫、フミオさまはだいじょ……」

 シェリーが両手の指を組んで祈るように唱える。



 大波を見て青ざめる、ゼノラウト先鋒軍のテリクス兵たち。

「た、隊長、一旦引いたほうが、、、」

「バカヤロウ! 団長を信じろ!! 全員、突撃準備!!!

 団長が波を蹴散らし、号令が出たら一気に攻め込む!」

 先頭で額から汗を流しながらハルバルドが叫ぶ!


「しかし、こいつあ、、団長が失敗したら俺たち全滅だぞ。団長を信じるしかねぇな、」

「うん、すごいね、、おじちゃんを信じよう!」

 ギルファングとトモナリが言葉を交わす。

 ヤマナの弟子たちも、自分たちを飲み込むべく迫りくる大波にゴクリとつばを飲み込む。







 ヤマナは精神世界の中、緑が波打つ草原の真ん中で一人立っていた。


「フィオナ、、」

 ヤマナがフィオナの名を呟く、、

『はい、あるじさま。』

 ヤマナの前に白い光が集まると、、そこには真っ白い髪、真っ白い服の少女が立っていた。


 ヤマナはそっと両手を出す。

 剣ダコで節くれだったヤマナの両手のてのひらの上に、フィオナの白い美しい指が添えられる。

 二人は両手を握り合い、互いの魔力を循環させ、増幅させる。


 ヤマナが優しく微笑むと、フィオナもにっこり笑い返す。


「いくぞ!! フィオナ!」

『はい!! あるじさま!』


「 我が伴侶たる精霊の太刀よ! 」

 ヤマナが強い意志をもってフィオナに呼びかける。


『 我があるじたる博施済衆はくしさいしゅう御方おんかたよ! 』

 フィオナが凛とした美しい声でその意志に答える。


「 我は我が民を救うために其方を欲し! 」

『 我はあるじの願いをかなえるべく力を振るわん!! 』

 二人は互いの言葉をつむぎ、


「 今、我らに襲い来る敵の大波に!」

『 今、我らが練り上げた剣技を持って!』


「『 我ら、迫りくる大波を返さん!!!! 』」

 増幅した魔力に、言霊ことだまで意味を持たせる!


「『 なみ返し!! 』」


 二人から発せられる真っ白い光で、精神世界がおおわれた!






 ズズズズズズズズズズズズズズズ、、


「フミオさま!!」

 不気味な音と圧力を発して大波が十メートル程にまで迫っても動かないヤマナに、アユミが思わず叫ぶ!


 今まさにヤマナが大波に飲まれようとした瞬間!

 ヤマナはカッと目を見開き、立膝から左へ180度回転しながら立ち上がり、大波に向かって抜刀!!


「ォオオ!!『なみ返し!!』」


 ヤマナが斬り付けた大波は、斬ったところから白い光に包まれ、左右にあっという間に広がり、、一瞬動きを止めたかと思うと、、今度は敵陣に帰っていく!!


 ゴバァァァァアアアアア!!!!


 ヤマナに返された波は後続の波とぶつかって更に巨大化し、敵陣へと襲い掛かる!!


「なっ! ば、ばかな!!! 青海竜、僕を背に乗せろ!!」

 タツヤは巨大な蛇のような竜の背に乗り、波の上へと逃げる。


「タ、タツヤ様! 助け!」「ひぃ!」「ぎゃぁぁあ!!」「助げべ、、ガボ!」

 次々に巨大な波に飲み込まれる、ベアダイン先鋒軍。


「ばかな! ばかな! ばかな! 召喚魔法にはマジックカウンターは効かないはずだぞ!!」

 タツヤは大波の上に浮きながら、水の中に沈み、後ろへと流されていく兵達を見下ろす。


 タツヤは前方の光のきらめきに一瞬目を細める、

 そこには、

「全軍!! 突撃!!」

 光り輝く剣をこちらに向け、号令をかけるヤマナがいた!


「あいつは!! さっきの狂人! まさかこれはあいつが!!」

 一人取り残されたタツヤに向かって殺到するゼノラウト先鋒軍6千!

 周りの兵はすべて溺れて後方に流され、数分後、青海竜もその水も消えた!


「やばい、やばい、やばい、やばい! 火炎竜は、、間に合わない! 白翼竜!!」

 白い翼のある、馬ほどの大きさの竜を召喚し、その背に乗る!!

 そして後方の陣へと飛んで退こうとする!


『横一文字!!』

 ヤマナの横一文字が飛ぶ!!

 本能でよけようとする白翼竜、だが、横一文字が右の翼を半分ほど切り裂いた!


「うわぁぁぁあああ!」

 最後方の自陣へと墜落するタツヤ、

 白翼竜はタツヤをかばい、地面に激突し、消滅する。




「ち、逃がしたか!! まあいい! アユミ! 指示を!」

[ はい! フミオさま! ]


[ セルンドさん! ディーエさん! 旗を掲げ、先鋒の突撃を!! ]

「「了解! アユミさん!!」」


 アユミが『盤面掌握』を展開後に使えるスキル、『以心伝心』で本陣から指令を伝えると、デルハルト軍が右側の山で一斉に旗を掲げる!

 いきなり自分たちの側面に大群が現れ、混乱する敵左軍1万、これにあたるはセルンドを指揮官としたデルハルト軍1万5千! 山を下り、一気に敵左軍の横腹を攻め、大打撃を与える!


 左側の山では同様にディーエ率いるヒューレ軍1万が旗を掲げ、ときの声を上げ突撃する! これに敵右軍1万も大混乱に陥る。

 



[ トモナリさん、ケビンさん、ギルファングさん、フミオ様と合流を! ]

「「「おうッ!!」」」


[ ハルバルトさん、右手より突撃、敵先鋒軍の左翼は被害が大きいのでここで押し込んでください! ]

「了解! 軍師殿! 」


[ デメトリオさんは左手より前進して牽制、敵先鋒軍の右翼は被害が少ないです、足止めを図ってください! ]

「了解! アユミ殿!」


[ フミオさま! 敵陣中央をあと200m前進! ]

「おお! 前進するぞ!!」

「「「おうッ!!」」」


[ ハルバルトさん! 左へ90度転進! 一気に食い破ってください! ]

「了解!」


[ フミオさま! 8時の方向へ転進! デメトリオさんが足止めしている軍を斜め後方から食い破って下さい!

 150m先に敵指揮官がいます!! ]

「分かった!! 全員転進、俺に続け!!」

「「「おうッ!」」」


 ベアダイン軍の先鋒1万は、ヤマナの『浪返し』により大ダメージを受けた後、アユミの『盤面掌握』による戦場の完全コントロールにより、1時間と持たず壊滅した。 



[ セルンドさん! 敵左軍の防御が整ってきました! 無理せず退き、牽制に移ってください! ]

「了解!」


[ ディーエさん、敵右軍の前から3段目が薄いです! 一度攻撃を仕掛けてみて下さい! 反応が見たいです! ]

「了解! 第2師団前進!」


 夕暮れが空を赤くするころ、、

[ 各隊、順次引いてください、夜営の準備をお願いします。]

「「「了解!!」」」


 3国の連合軍のそれぞれの部隊が、隙なく各陣に引き、夜営の準備に入った。

 連合軍は、開戦初日で敵先鋒軍を壊滅させ、中軍にもダメージを与え、十分な戦果をあげたのだった。

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よろしければこちらもどうぞ。 え? 職業ですか? ガテン系ですけど、、
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