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すっぴん召喚のヤマナさん  作者: 座敷犬昼寝中
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83. ナイトフライト

 ヤマナとエリスが襲われた夜、軍議が終わってからヒナコは一人で宮殿のバルコニーに出ていた。

 襲撃の後、軍議の間もヒナコは一言も発しなかった。

 いつもは、かしましいヒナコが、ヤマナに何も話さなかった。


「ヒナコ、」

 バルコニーに一人立っているヒナコに、ヤマナが声をかける。


「ダーリン、、、来ないで、、」

 ヒナコが答える、


「ダメだ、こんな時は、、一人になるな。」

「だって、、私、ダーリンとエリスを守ると決めてたのに、、」

「大丈夫だ、俺はまだ生きている。」

「大事な、大事な結婚式を!」

「大丈夫だ、お前の責任じゃない。だから、もう自分を責めるな。」

「ダーリン、う、ヒック、うぁぁあぁ。」


「泣くな、ヒナコ。」

 そっと髪を撫でるヤマナ、

「ヒン、ヒン、、だめだよ、ダーリンはエリスのとこにいなきゃ、、」

「大丈夫だ、だからいつもの明るいヒナコになってくれ、でないと俺もヒナコに頼みごとができない、、」

「ずるい、、」

「ああ、すまん、俺は最低だ、、お前たちの好意を利用して、頼って、危険にさらそうとしている、、」

「いいよ、、報酬は、、」

「前払いでいいか?」

 ヒナコをそっと抱きしめる。

「うん、、」

 ヒナコが身を任せる。


「ここからはまじめな話だ、このままでいいから聞いてくれ。」

「うん、」

「ゼノラウトの西の山脈を越えて、帝国に行き、フリード殿下に会いに行ってほしい。行けるか?」

「うん、大丈夫」

「ゼンの神殿で一度言ったが、『空中給油』は使うな、『爆装』もだ、あれはヒナコの魂が削られる。 魔力が減ったら一旦着地して、しっかり休んでしっかり食べて、回復してからまた飛べ、時間がかかってもいい。

 からになってから着陸するな、2割残して休め、いざという時逃げるためだ。」

「うん、わかった」

「なるべく戦闘はするな、無事に帰ってこい、それまで俺も生き残る。」

「うん、」


「頼むぞ、」

 ヤマナがヒナコをギュッと抱きしめる。

「うん、」

 ヒナコがヤマナの胸に顔をうずめて応える。




 ヒュィィィィィィィィ


 数刻後、宮殿の外で、カバンをたすき掛けにしたヒナコがエンジン音を鳴らし始める。カバンの中にはヤマナとゼノラウト王の親書が入っている。

「ダーリン、行ってくるね☆ 帰ってくるまで、頑張って!」

「ああ、頼んだぞ、お前が帰ってくるまでは耐えて見せるさ!」


「すくらんぶる! て~いく、おふ!!!」


 ヒュゴオオオオオオオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ


 ヒナコが轟音を立てて夜の空へと飛び立った。






「ふう、おなかすいた、

 ダーリンにしっかり食べろって、言われたからね、、」

 次の日の昼、ヒナコは着陸して途中の都市に寄り、レストランに入る。


「ええと、ハンバーグランチと、ミートパスタ、あと山盛りサラダとロングバゲットください。」

 ウェイトレスが目を丸くする。

「あの、、さすがに食べきれないかと、、山盛りサラダとロングバゲットはシェア用で、、」

「大丈夫だよ、どんどん持ってきて☆」

「は、はい」


 ウェイトレスが料理を運んでくる。


「おいおい、嬢ちゃん食えるのかよ。」

「太るぜ嬢ちゃん。」

「はっはっは!」

 隣のテーブルで酒を飲んでいた3人組がちょっかいをかけてくる。


 ちょっとムッとしたが、食べなきゃ帝都までの長距離を飛べない。

 無視して黙々と食べるヒナコ。

 すべて食べ終わって、ウェイトレスにお金を渡す。


「おう、すげーな嬢ちゃん!」

「食った分太ったんじゃねーの?」

「わっはっは!」


 ダーリンのためだ、ガマンガマン、


「ひょっとしてカレシ、デブ専?」


 ブヂッ!


「あんたたち、、町の外に出な、、、」

 ゆらりと立つヒナコ、、

 そのとんでもない殺気に、レストランにいた旅の冒険者達は身震いするような戦慄を覚えて椅子から転げ落ちそうになる、

 が、馬鹿どもにはわからない。


 町の外についてくる馬鹿3人、気になってこっそり後をついてくる冒険者たち。


「なんだぁ? 楽しませてくれんのか?」

「カレシのツラ見せてくれんの?」


「…………アンタたちみたいなゲス、ダーリンには会わせらんないね、、」


 ヒュィィィィィィィィ


「なんだ? 何の音だ?」


 ヒュゴオオオオオオオォォォォォォォォォォ!!


 ヒナコが轟音を立てて飛び立つ!


「「「うわぁぁぁぁああ!!」」」

 馬鹿3人が腰を抜かす!


 遠くでヒナコがUターンし、、至近距離を音速で通り抜ける!


 ドッパアーーーーーーーァン!


「「「ぎゃぁぁぁああああ!!」」」

 ソニックブームを食らった3人組が服をズタズタにされ、吹き飛ばされ、転げまわる!

 ヒナコはそのまま帝都に向かって飛び立っていった。


「おーい、大丈夫か? あんたら?」

 冒険者たちが3人組を助けに来た。


「な、何だったんだ、あの女、、」


「帝国闘技大会に出てた召喚戦士のヒナコだよ、、あんた達、よく命があったな、、」


「「「!!!」」」


「あんた達が馬鹿にしてたカレシ、闘技大会に優勝したヤマナだという話だぞ、、

 テレシア騎士団団長で、勇者ユウキに軽~く勝って、一瞬で上級デーモン4体を斬り、山よりでかい魔獣を一刀で真っ二つにしたらしいぞ。

 俺、知らね、、、」

 

「「「……やべえよ、、どうしよう、テレシア騎士団に殺されるー!!」」」

 自意識過剰な馬鹿3人であった。






 キイィィィィィィィンンンンンンンンンンンン


 帝都アルバードの城壁の外にある草原に、ヒナコが降り立つ。

 そこからは徒歩で外郭の門を抜け、アルバードの宮殿へと走る。


「ゼノラウト、テリクスのフミオ・ゼン・ヤマナの使いで来ましたヒナコです! フリード殿下へのお目通りをお願いします!!」

 ヒナコが帝都の一番内側にある宮殿区画の門番に必死で訴える。


「お前みたいなの、いっぱいいるんだよ、そんなに簡単に皇族に会わせられるわけないだろ!」

「本当なんです! おねがいします!」

「だから! もう帰ろって!」

「あっ!!」

 門番が突き飛ばしてヒナコが後ろに転ぶ。

 突き飛ばした際に小手が顔に当たったのか、ヒナコの口元から血がにじむ。


「お願いします、フリード殿下に!」

 ヒナコは膝をついて懇願する。

「だから!!」

「何事だ! 騒がしい!」

「ユウキ様!!」

 門番が敬礼する。


「ユウキ!!」

「ヒナコ、か? ヒナコ! どうした?!」

「大変なの! ダーリンが、フミオが結婚式で刺客に刺されて! ゼノラウトがベアダインに攻められて!」

「!! それでフリード殿下に会いに来たのか!」

「おねがい! ダーリンから殿下への親書を預かっているの!」

「わかった! 

 ……おまえたち、良かったな、ヒナコがその気なら皆殺しになっていたぞ、、

 ヒナコ、我慢してくれてありがとう。

 着いてきてくれ、案内する。」

「ありがとう!!」


 門番たちはこの女性が帝国闘技大会のヒナコであると知り、後になって震えあがるのだった。



「ヒナコよ、よく来た。ヤマナからの火急の用と聞いた、して要件は?」

「まずはこの親書をお読みください。」

 ヒナコはヤマナとゼノラウト8世の2通の親書を渡す。


「……ヤマナからの親書は、ベアダインから宣戦布告され、3国で立ち向かうゆえ良しなに、といった旨の事が書いてあるな、、

 ゼノラウト王のほうは、どれどれ、、なっ!!

 おい! ヤマナは結婚披露宴でベアダインの刺客に襲われ刺されたとあるが、大丈夫なのか!」

「はい、エリスをかばってとっさに右腕で短刀を受け、負傷しましたが、命に別状はありません。

 一人ならば簡単にかわしたでしょうが、刺客はフミオを刺すために、エリスを狙ったのです。案の定フミオはエリスの盾になって、、、」


「何と卑劣な、、、ん? ここに『力読みの石』の証書があるが、、

 こ、これは間違いなくヤマナのものか?!」

「はい、先日一緒に計りました、、フミオは 『聖騎士』 『精霊使い』 『大神官』 の職業が増えておりました。」

「先日、『いにしえの英雄たちがこの大陸に再臨する』 と神託しんたくがあったがこの事であったか。

 ……ヤマナを死なせるわけにはいかん! ゼノラウトが滅ぼされるなら、ゼノラウトを捨ててでも帝国に来てほしいものだが、ヤマナは引かんだろう、

 わかった! 帝国はヤマナを守るためにあらゆる行動をとるぞ! 」

「ありがとうございます!」


「ヒナコよ、帰るのは1日待ってくれ! 皇帝陛下に上奏し出来る限りの支援を引き出してくる! それをヤマナの元へ持って帰ってくれ!」

「はい!」

「おい! だれか! ヒナコに休むための部屋を与えよ! 食事もだ!」


 ヒナコは食事をとり、その後まる1日、泥のように眠った。

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よろしければこちらもどうぞ。 え? 職業ですか? ガテン系ですけど、、
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