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すっぴん召喚のヤマナさん  作者: 座敷犬昼寝中
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82. ゼノラウトへ!

「急げ! デルハルトのすべての町に知らせろ! 総ての兵、いや戦えるものは準備ができ次第ゼノラウトへ走れ!!

 ベアダイン共和国がゼノラウト、デルハルト、ヒューレに宣戦布告した!

 我が国を救ったヤマナ様は敵の凶刃に傷つき、敵軍はゼノラウトに迫っている!

 陛下はゼノラウトの前線に残られた! 今こそゼノラウトに恩を返す時!!

 急げ! いざ、ゼノラウトへ!!」


 セルンドは3日間不休で馬を走らせてデルハルト王都デルハリアにたどり着き、国内へ檄を飛ばし続けた。 デルハルトの各都市からは部隊が編成され次第、南へ向けて出発していた。

 国内への通達がいきわたったことを確認した後、セルンド自身も、デルハリアとツェルペの軍を率い、南へ取って返す。


「いざ! ゼノラウトへ!」

「「いざ! ゼノラウトへ!」」


 デルハルトの兵たちは、合言葉をかけあい、南へと駆けて行った。




「ヒューレ全軍に出撃命令だ! 

 ベアダイン共和国がゼノラウト、デルハルト、ヒューレに宣戦布告した!

 リカード陛下の友、ヤマナ様がベアダインの凶刃に傷つき、リカード陛下は前線に残られた!

 陛下を一人で戦わせる気か!!!

 全軍、リカード陛下の元へ駆けつけろ!!!

 海沿いの各都市からは軍船、大型の民間船を使って南下しろ!

 内陸の都市からはテリクス経由でゼノラウトへ入れ!!

 海と陸からゼノラウトへ行く!

 走れ! 友たるゼノラウトを救え!」


 ゼノラウトから2日で戻ったディーエが、ヒューレの王都でリカードの剣を掲げ檄を飛ばす! ヒューレの各都市から、部隊が続々と出発する。

 そしてディーエも軍を率い、ゼノラウトのリカードの元へと取って返す。


「友たるゼノラウトへ!!」

「「友たるゼノラウトへ!!」」


 ヒューレの兵たちも、合言葉をかけあい、南へと駆けて行く。




 国境を越え、レガト砦の峠を抜けたデルハルト軍がテリクスへと駆け下りていく!

 国境を越え、ラトリエ砦の峠を抜けたヒューレ軍がテリクスへと駆け下りていく!

 北西のデルハルトからの道、北東のヒューレからの道、

 二つの道はテリクス市街地のすぐ北にある新ヴィエラ村の手前で Y の字に合流して南へと続いていく。


「へーたいさんたち! おつかれさまです!!!」


 新ヴィエラ村でリュカと村民たちがデルハルト軍とヒューレ軍を迎える。

 兵達に、水を飲ませ、食事を与え、塩をなめさせ、足の止まった兵のマッサージを行う。

膝を痛めたり、靴ずれの酷い兵に、ヘレンとリンがヒールをかけ、包帯を巻き、治療を施す。

 そして兵たちは、また立ち上がって走り出す!!!


「いざ! ゼノラウトへ!」

「いざ! ゼノラウトへ!」


「友たるゼノラウトへ!!」

「友たるゼノラウトへ!!」


「いざ! ゼノラウトへ!」

「友たるゼノラウトへ!!」


 2万を超える兵たちが次々と南に駆けていく!

 かつては互いに敵であった軍が混ざり合い、励ましあいながら駆け抜けていく!


「おう、おめ、どっからだ?」

「ん? デルハルトの西の村からだよ、帝国との国境に近いところだよ。あんたは?」

「うらぁヒューレの漁村からだ、これ、え。」

「お、ありがとう、 うまい! 魚の干物か?」

「おう、うらんで作った干物だ。」

「お礼に、これやるよ、食いな。」

「ん、 すっぺーーー」

「はっは、うちの自慢のピクルスだよ、さっぱりしてうまいだろ?」

「すっぺーけど、なんか元気でるわぁ! あんがと。」

「おう!」


 街道には1km置きにテレシア騎士団の旗が立てられており、また10kmおきに水と食料、塩が配られていた。兵たちはメシをほおばりながら走り続ける!


「これ食ってくんろ! はちみつ塗ったパンだ、元気でるでな!」

「お水、お水はいりませんか!」

 ゼノラウトの村や街からも老人や女性、子供達が出て来て、街道を走る兵士たちを支える。


 ヒューレ軍の重い荷車をデルハルト兵が後ろから押す。 デルハルト軍の兵士たちに、ヒューレの兵站へいたん部隊がパンや水や干し魚を配る。


「いざ! ゼノラウトへ!」

「友たるゼノラウトへ!!」


 兵たちは助け合いながら、遠いところは400kmを10日で駆け抜け、ゼノラウト南部の平原へとたどり着いた。

 ヤマナが、ゼノラウトが心から待ち望んだ、3万に近い援軍の到着であった。

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