77. ヤマナとエリスの披露宴
ゼノラウトの王都にある迎賓館にはヤマナとエリスの披露宴に出席するために、ゼノラウト領内の領主や各国からの貴賓が集まっていた。
迎賓館の中庭では、貴賓たちが挨拶を交わしたり、紅茶を飲んだりして楽しんでいる。
その中で、ギルファングはゼノラウトの南の地方の領主である兄のガルファングの警備についていた。
「ギルさま!!」
ギルファングの元に少女が走り寄る。
「ん? どうした? お嬢ちゃん。」
「ギルさま! うわぁーーん!!」
少女がギルファングの足に抱きついて号泣する。
訳が分からず困惑するギルファング。
「ギルぅ、おまえも隅に置けんナぁ」
ニヤニヤしながらガルファングが紅茶を飲む。
紅茶1、ブランデー9の特製紅茶だ。
どうやらギルファングの事をつまみにしているらしい。
「す、すみません、、娘のリリアがご迷惑を、、」
「ああ、あんたァ確かデルハルトの、」
「はい、ツェルペの領主、セルンドと申します、ガルファング殿。」
「ギルの事なら構わんよ、こいつ女っ気なくってなァ やっとモテ期が来たか、はっはっはァ
おォ、紅茶どうだい?」
ガルファングがテーブルに着くようセルンドに勧める。
ティーポットから紅茶を注ぎセルンドに出す。
「は、はい、ありがとうございます、
うっ、ごふっ!」
ほぼブランデーの紅茶にむせるセルンド。
「すみません、ギルファングさん、私はセルンドと申します、デルハルトの南で領主を務めさせていただいております。
我が領内の多くの人々を助けていただいたこと、そして娘のリリアを助けていただいたこと、本当にありがとうございました。」
セルンドがギルファングに向かって深々と頭を下げる。
「そうかぁ、お嬢ちゃんあんときの、、大きくなったなあ、」
そう言ってギルファングは、足にしがみつきながらグシュグシュいっているリリアの頭を撫でる。
「リリアはずっと恩人のギルファングさんに会いたがっていました。
ガルファングさん、お願いがあります、あなたの領地と私のツェルペで友好都市の条約を結ばせていただけませんか?
貿易もですが、人材の交流も図ることができればと。ツェルペの人々は、ゼノラウトの獣人部隊へご恩をお返ししたいと思っているものが数多くおります。」
「辛気臭いのや堅苦しいのはヤだぜェ、でも友好都市はいいかもな、町が潤うのはいいことだ。」
「はい! ありがとうございます! また草案を送らせていただきますのでよろしくお願いします。」
「ああ、 おい、ギル! 今日は俺の警備はいいから、お嬢ちゃんに王宮内を案内してやりな。西の花畑が見ごろだろうよ。」
「あ、兄貴、 わかった、行ってくる、 リリア、行こうか?」
そう言って片膝をつき、リリアの涙をぬぐってやるギルファング。
「はい!」
リリアはしっかりとギルファングの手を握り、ついていった。
披露宴の日、夕暮れ時から多くの人々が王宮前に集まってきた。
テレシア騎士団団長でテリクスの領主ヤマナとその奥さんを一目見ようとして、だ。
「ヤマナ様、王宮前の広場に多くの人が集まっており、収拾がつかないような状態になっております、、」
衛兵の一人がヤマナとエリスの控室にきて報告する。
「ん? そうか、少し顔を出せばいいか? 陛下はなんと?」
「は、はい、ヤマナに頼んでまいれと、、」
「ああ、許可はあるということか、 エリス、いいか?」
「はい、あなた。」
「じゃあ行くか。」
王宮の門と鉄柵の前には多くの市民たちが集まっていた。
王宮の奥からテレシア騎士団の旗を掲げた衛兵たちが50名ほど走り出してきて、鉄柵の内側に横一列に整列する!
そして、後ろから一組の男女が腕を組んでゆっくり歩いてきた。
ヤマナとエリスだ。
ヤマナは白いジャケットに白いスラックス、腰のベルトにはフィオナを差している。
肩と袖には金色の刺繍が入っており、髪は短く切りそろえている。
エリスは肩を大きく出した純白のドレスに、白い長い手袋、髪は栗色の髪の毛を後ろでアップさせるように編み込み、背中へと流している。
ゆっくりと門の前まで歩いてきた二人は、市民に向かって深々と礼をする。
「エリスさまーー!」
「ヤマナ様ー!!」
「団長ーー!」
市民が歓声を上げる。
一礼した二人は、またゆっくりと宮殿のほうへ戻っていった。
日は沈み、披露宴が始まった。
アユミとシェリーはドレスを着て参加している、ロイスもズボンにYシャツ、蝶ネクタイの可愛らしい格好だ。ヒナコは、いつもの制服を着ている。4人は一緒の席で運ばれる王宮の料理を黙々と食べていた。
ヤマナ達は一段高くなった正面のメインテーブルに座って、参加者のお祝いの言葉を受けていた。
「ヤマナ団長、おめでとうございます!」
「おお、シュルト! ありがとう! ん? お隣は奥さんか?」
「いえ! 婚約者のジュエリです!」
「はじめまして、ヤマナ様。」
「奇麗な方じゃないか、大事にしろよ。」
「はい!!」
そして披露宴は進んでいった。




