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すっぴん召喚のヤマナさん  作者: 座敷犬昼寝中
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68. フミオの部屋

 パーティの翌日、帰国の旅の準備をするために、町へ買い物に出かけた。 着替えも必要だし、食料や嗜好品、お土産も買わなければ。 ヒナコとアユミと3人で談笑しながら、商店が左右に並ぶ小道を歩く。



「ぁ、、あゆみちゃん、、、」


「! シェリーちゃん、、」


 見ると、アユミとおなじぐらいの10歳ちょっとぐらいの歳の女の子と、小さな男の子おそらく弟、が手をつないで立っていた。

 アユミと知り合いらしい。

 二人ともフードをかぶっていて顔以外はよく見えない。

 ボロボロなところを見ると、この子たちもストリートチルドレンなんだろう、、


「どうしたんだい? アユミ」


 アユミがじっ、と俺のことを見てくる。

 なんとなく言いたいことはわかるが、、

 俺が言ってはダメだ。


「言葉に出さなければ、わからないよ?」


「!!

 フ、フミオ様、おねがいします!

 この子たちを助けてあげてください!

 シェリーちゃんは何度か私に食べ物を分けてくれました!

 弟のロイスちゃんもいい子で、、」


 アユミは俺のコートに縋り付いて、必死で訴える。


「いま食べ物があればいいのかい? それとも?」

 

 ハッ、として

 アユミはシェリーのほうを向く


「シェリーちゃん、一緒に来て! ゼノラウトに行こう!

 この人はフミオ様、

 ゼノラウトのテリクスというところの領主さまなの!

 わたしがお願いするから! だから!」


 一生懸命話すアユミ、だけどシェリーはいきなりのことで戸惑っている。


「よくいった、アユミ

 だがその前にまずメシ食わんと頭もまわらんだろう。連れてきなさい。

 ちょっと早いけど、お昼にしよう。」


 そういって一旦宿に戻ることにした。




「おかみさん、すまんね、アユミの友達らしいんだ。」

 俺はらんぷ亭の厨房を借りて、かゆを作っていた。

 

 ヒナコとアユミは、俺の部屋でシェリーとロイスの体を拭いてやっている。

 服はアユミのものを何枚か買ってあったのでそれを着せるらしい。


「いいってことよ!

 帝国闘技大会の優勝者さまが泊ったってことで、うちの評判はうなぎのぼりさね。

 もう、一年先まで予約が埋まっちまったよ。


 しかもあんた、あのテレシア騎士団の団長なんだって?

『救国の英雄、王女テレシア』や『涙戦士トモナリ』の物語は、あたしも大好きなのさ。」


「予約が埋まったのはこまったな、俺が帝都に来たとき、どこに泊まればいいんだい?」


「あんたの部屋は、見学用にしてあって予約不可さ。 『らんぷ亭』の目玉だね。

 あんたが来るときは見学不可にしてそこに泊まってもらうさ。」


「そりゃ商売がうまいや、あとでドアに名前書いといていいかい?」


「もちろんさね! あんたの部屋だからね。」


「「あっはっは!」」




「よし、お昼にしようか!」


 鍋と器をもって部屋にはいる。

 今回は食いしん坊用に、野菜、干し肉、干し魚のトッピングを山盛りにした皿を用意した。


「ありがとうございます、うぅ、ぅ、ぅ」

 シェリーがポロポロ泣き出した。


「まずは食べなさい、話はそれからだ。」

  

 シェリーがふーふーしながらロイスに食べさせようとする。


「わたしがロイスちゃんに食べさせてあげる、

 シェリーちゃんはまず自分が食べて。」

 アユミがかわろうとしたが、ロイスは


「じぶんでたべれるよ!」

 と言ってガツガツ食べ始めた。


「おいしいです、う、ぅ」

 シェリーも食べ始めた。

 食べながらポロポロ泣き出したのはアユミと同じか。



「今、気づいたんだが、その耳は、、」

 

 はっとした感じでシェリーが固まる

「はい、エルフです、、、」


 帝都では亜人の迫害もあると聞いた。


「お、うちの領地の副官のデメトリオもエルフでな、優秀な奴だ。」


「エルフが、、いるんですか?」


「ああ、いるよ、安心しな。

 うちではエルフだろうが獣人だろうがやる気があるなら重宝するよ。

 テレシア騎士団の物語は知っているかい?

 ドワーフ隊や獣人隊が活躍する話。」


「うん! しってるよ!」

 ロイスが答える。


「その中に出てくるテリクス軍を率いている副官がデメトリオだよ。

 まあ、いまは食え、テリクスに行ったら会えるよ。」


「はい、ありがとうございます。」


 すこし元気が出たようでよかった。

 ロイスはアユミにおかわりをよそってもらっている。

 トッピングも山盛りだ!



「じゃあ改めて自己紹介だ、

 おれは フミオ ゼン ヤマナ。

 ゼノラウト王国の召喚戦士で、テリクス市を中心とした地域の領主をやっている。

 テレシア騎士団の団長でもある。

 武器はそこそこ使えるが、槍と剣が中心だ。」


「ダーリン、そこそこどころじゃないじゃん。

 ダーリンは帝国闘技大会の優勝者なんだよ☆」


 シェリーとロイスがびっくりしたような顔で俺を見る。


「で、わたしは、ヒナコ☆

 国には属してないただのヒナコ、


 あ、でももうすぐ ヒナコ ゼン ヤマナに

 ぐふ、ぐふふ、、」


 あ、なんか変なこと言ってあっちの世界に行っちゃった、、


「こ、こほん、武器は、イーグル、

 さらにイーグルの武器はバルカン、空対空サイドワインダー、あとは空対地バンカーバスターとかもあるよ☆」


 ……恐ろしすぎるわ、、反応弾とか持っていないだろうな?

 子供たちはポカーンとしているが、、


「いーぐる?」

 

「まあ、わかんなくていいけど、、

 俺達のいた世界での、ほぼ最強の近代兵器だ。」


 頼むからこれ以上、イージス艦の娘とか、出てくるなよ、、



「わたしは、エルフのシェリーといいます。」

「ロイスだよ!」


「わたしたちのエルフの国は、アルストア大陸の西方にある大きな島にありました。

 6年前、ロイスの生まれたあとすぐ、さらに西の大陸にいる魔族から大規模侵攻をうけ、このアルストア大陸に逃げてきました。

 海を渡って、逃げられたものは少なかったと聞きます、、

 私たちの父と母は、魔族と戦って島と森を守るために残りました。

 一緒に逃げた方とこの帝都まで来たのですが、先月、その方も、はやり病で亡くなって、、」


 シェリーがポロポロ泣きながら話してくれた。


 ガルスト王の話にもあったように、魔族侵攻はもはや対岸の火事では済まされないのだろう。



「じゃあ、食ったところで、買い物に行くぞ!

 シェリーとロイスの服も買わんとな。

 20日分のおやつも忘れるなよ。」


 シェリーとアユミが仲良く手をつなぎながら歩いている。

 二人とも可愛らしい顔をしているので、気をつけねば。

 絶対に俺の目の前から離れないよう言い含めておく。


 ロイスはヒナコに背負われている。

 ときどき「キーン」とか言いながら走っている。


 ……街中でソニックブームだすなよ?



 明日には郊外でゼノラウト王の一行と、デルハルト王の一行が合流し、帰国の途に就く計画になっている。

 もちろん俺はゼノラウトの護衛任務もある。

 旅の準備はしっかりしておかないとな。

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