67. パーティに行こう
「えーーと、ではいろいろありましたが、、
優勝はゼノラウト王国の戦士、そしてあの、テレシア騎士団団長!
フミオ ゼン ヤマナ!」
名前を呼ばれ、皇帝陛下に一礼し、観客に手を振る。
ものすごい声援だ。
ヒナコやアユミが叫んでいるが、声は流石に聞こえん、
サムズアップしたらサムズアップで返してきた。
「準優勝は、わがアルカナ帝国の勇者、
ユウキ アル カトウ!」
まあ、魔術師と2刀流が死んだからな、繰り上げなんだろう。
観客の声援がすごい、優勝した俺よりあるんじゃないか?
ユウキが手を振ると、女の子が失神し始めた、、
けっ、チャラ男はてめーじゃねーか。
「そして、特別賞に、、
ヒナコ様!
トモナリ デル ウエダ様!
いらしてください!」
観客席からヒナコがアユミの手を引いてやってくる。
トモナリもデルハルト王に促されて出てくる。
「お二人にはフリード皇太子殿下より、敢闘賞が送られます!」
観客が沸く、
先ほどの魔獣との戦いもあったからであろう。
「トモナリ選手は、なんと! なんと! あの『涙戦士トモナリ』そのご本人です!
大会ではくじ運悪く、一回戦で勇者ユウキに敗れましたが、今日は、歌の中に出てくる必殺の『岩砕突』で巨大な魔獣を倒し、我々を救ってくださりました!!」
「「「「ワァァァア!!」」」」
「トモナリ様ー!」
「トモナリー!」
すごい人気だな、トモナリ、ユウキ以上じゃないか、さすがチャート1位。
本人は訳が分からず「??」といった感じで手を振っている。
こうして帝国闘技大会は閉幕した。
夕刻、皇帝陛下の宮殿で帝国闘技大会の出場者と、各国の国王や重鎮を集めてのパーティが開かれた。
アユミは俺の付き人ということで水色のドレスを着せてもらい参加している。
髪も綺麗にセットしてもらっていた。
おお、かわいいじゃないか。
ヒナコは、うん、いつもの制服もどきだね。
俺は青のシャツにグレーのスラックス、黒のベストという感じだ。
食事はビュッフェ形式、ヒナコはアユミを連れながら周って、いろいろな食べ物をついばんでいる。
俺はワインをいただきながら各国の重鎮と挨拶を交わしていた。
お、うちの王様だ。なんかすごい偉そうな人たちに囲まれて脂汗を流している。
「陛下、おかげさまで勝ちましたよ。」
「おお! フミオ! よくぞ、よくぞ優勝してくれた!」
「はい、ところでこちらの方々は?」
「おお、各国の王たちじゃ、皆ゼノラウトより大きな国ばかりじゃがな。」
「初めまして、フミオ殿、ガルスト王国 国王のガルスト3世です、
ガルストは魔族領に近いのが悩みでしてな、、
あのデーモンを倒した一撃はお見事でした!
あのクラスの上級魔族は私も初めてみましたが、それを瞬殺するとは、、
大陸一の退魔能力を持った、フミオ殿に来ていただけるなら、ゼノラウトよりも良い条件を出しますぞ。
ゼノラウト国と同じ大きさの領地も用意できますぞ。」
なるほど、スカウトか、うちの王様、金品やるから俺をよこせとか言われていて困ってたんだろう。
「ガルスト陛下、お誘い誠にありがとうございます。
ですが、すみません、私はテレシア様の騎士ですので。」
丁重に断り、テレシア王妃の手の甲に口づけし、その場を去る。
ヒナコとアユミに見られていたらしい、俺のほうにやってきて、ヒナコが手の甲を出してきたのには笑った。
アユミも、おそるおそる手を出してくる。
「おまえたちは、こっちだよ。」
素早く二人を抱き寄せ、頬に軽くキスをしてやる。
二人とも両手でほっぺたを押さえ、
「「はにゃ~ 」」
とか言いながら溶けだしたようにくねくねしだした。
面白い生き物みたいだ、、
「ヤマナよ! 見事であったぞ!」
フリード皇太子殿下だ。
「ありがとうございます、殿下、
辛勝でしたがなんとか勝ち抜くことができました。」
「いやいや、1回戦はともかく、あとは完全に実力での完勝であろう!
私も其方を推薦し、出場依頼を取り付けるためにゼノラウトまで行ったかいがあった!
父上に紹介したい、こちらへ来てもらえないか。」
そういってパーティ会場内の奥まって一段高くなっているロイヤルボックスに連れていかれた。
ロイヤルボックスでは、アルカナ帝国皇帝陛下にあいさつするために、各国の王や貴族が並んでいたが、、
「すまん、ちょっと通してくれ。」
そう言って殿下が俺を連れていく。
横入りしたようで、なんか気まずいな、、
「おお、フリード、其方の推挙したヤマナか!
このたびは見事な戦いであった!!
決勝のデーモンを倒した技、あれは何であるかの?」
「はっ、皇帝陛下、ありがとうございます。
あれは召喚前の世界で伝えられている退魔の剣技でございます。」
「ほお、召喚戦士はみな、使える可能性があるのか?」
「いえ、、あれはあちらでの20年の修行の中で私が身に着けたものでございます。
一般の召喚戦士は己の真の姿や技ではないため、修行などで新しいスキルを身に着けるのは難しいのではと思います。」
「ほお、召喚戦士のことは気にかかるが、、
それよりあの強力な退魔の力だ。召喚戦士以外でも他に使えるものは増やせないのか?」
「修行すれば可能でしょう、私は私の弟子を信じます。弟子も私を信じてくれています。必ずや伝えて見せましょう、
なあ、ケビン。」
そう言って皇帝の右で警備している親衛隊長のケビンに視線をうつす。
悪い、無茶ぶった、 ケビンはビシッと背をただす。
「話の途中ですみません、そこのケビンは私の一番弟子になります。
いずれは私の技を継いでくれるものと信じております。」
「おお、そうであったか、ケビン、 期待しておるぞ。」
「はっ! 皇帝陛下、もったいなきお言葉、ありがとうございます!」
ケビンがビシッとあいさつする。
「ヤマナよ、今回の戦いは見事であった。
帝国は其方を後押しする、ぜひこの大陸の者たちへの技の継承をお願いしたい。
よろしく頼むぞ。」
「はっ! 皇帝陛下、承知いたしました、ありがとうございます!」
一礼してロイヤルボックスから下がる。
「すみません、お待たせいたしました。」
と言いながら、並んでいた並んでいた各国の王や貴族に礼をして下がる。
「あ、あの! 優勝おめでとうございます!」
そう言って並んでいた一人の若い貴族が手を出してきた。
「ありがとうございます。」
振り返って握手をする。すると他の貴族や王たちも、次々に手を出してきて、祝いの言葉を述べてくれた。
「ありがとうございます、ありがとうございます。」
そう言って全員に礼を言って握手をする。
ヤマナが去った後、その背中を見ながら各国の王や貴族が噂をする。
「なんと腰の低い、あれが短期間に数々の召喚戦士を破り、テレシア騎士団の団長として5千の兵で2万のパトナ・ヒューレ軍を撃破し、帝国闘技大会に優勝したヤマナか。」
「すばらしい人格者という話は本当だな。アルストア大陸東方は戦乱により荒れ果てていたが、彼の統治で周りの地域含め復興しつつあるらしい。」
「民や兵士たちの人望もあるらしいな、彼が率いた兵は鬼神の如きの働きをするらしい。」
「戯曲ではテレシアやトモナリに少し力を貸したという事だが、実際はほとんど彼の働きであったという噂もある。どうやら噂のほうが本当であるようだな。」
「どうだ? お腹いっぱいになったか?」
ヒナコとアユミを見つけてたずねる。
「は、はい! たくさんいただきました!」
「うん! 腹八分ってとこかな☆!」
いや、ヒナコ、おまえ相当食ってたの見たぞ。
「ふう、あいさつ終わったから俺もなんか食おうかな? なんかうまいものあったら教えてくれ。」
「あ、じゃああちらのお肉と、こっちの、、」
「案内してくれよ、アユミ」
そういって右手を出す。
アユミは、ぱあっと明るい顔をして俺の手を握り、
「こっちです! フミオ様!!」
手を引っ張って料理のところへ連れて行ってくれた。
「ふう、食った、パーティもお開きだし、宿へ帰るか!」
「うん☆」「はい、フミオ様!」
らんぷ亭に帰って賞品の目録を確認すると、、優勝賞金として、帝国金貨3千枚、そして宝剣、宝具や素材の類が山ほど書いてあった。まあ、帰国するまでは帝国の金庫に預けてある。持って帰るのが大変だ、、
ヒナコは、敢闘賞として金貨50枚、さらに大型魔獣討伐の褒美として金貨200枚をもらっていた。
「なあ、ヒナコ、テリクスに来ないか?」
「もちろん行くよ☆ 三食昼寝付きでお願いね!」
「いや、昼寝は無しだ、しっかり働いてもらうぞ。」
「うにゅ~、ダーリンのためなら仕方ないなぁ、ガンバル☆」
「あの、、 わたしは、、」
「アユミはもちろんテリクスに連れてくよ。
それともどこか行きたいところでもあるのか? 行きたいところあればどこに行ってもいいぞ。」
ぶんぶん首を横に振りながらアユミがしがみついてきた。 回りきっていない手で、がっしりベアハグしてくる。
「ゴメンうそだよ、 いやだといっても連れてくよ」
そういって撫でてやる。
ヒナコが
「あ、あざとい、 アユミ、恐ろしい子、、」
とか言ってたけどなんのことやら、、




