↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
すっぴん召喚のヤマナさん  作者: 座敷犬昼寝中
65/155

64. 帝国闘技大会準決勝 VS勇者

『勇者』


 ファンタジー系では最強の存在だ。


 ラノベでは引き立て役とかいじられる系の脇役が多いが。

 準決勝の相手の勇者ユウキは、帝国の召喚戦士で勇者だ。

 なんのゲームの勇者かは知らんが、剣と魔法を両方使う、王道勇者というのは分かってる。


 帝国の勇者、ユウキの試合はやはり特別らしい。

 ロイヤルボックスには皇帝とフリード皇太子殿下はじめ各国の王族が入っており、幾重の警備と防御魔法が張られている。



 うちの王様と王妃様の席は、かわいそうに一番隅っこだ、テーブルもなく、ただの箱に座らされている。



 そんな中、闘技場に入った時に、寝不足のせいか堪えきれずあくびをしてしまった。


 う、めっちゃニラマれている。

 ユウキからとんでもない闘気が吹き出した。


「ダーリン頑張って☆

 合図したらいつでも援護射撃するからね☆」


 ヒナコが指で、バキュン☆ のポーズをとる。


 冗談でもやめれ、

 ミサイル誤爆のフラグにしか思えん。

 とりあえず、ヒナコとその隣のアユミに手を振る。


 うわ、勇者の闘気がまた上がった。なんだこいつ?

 イラチなのか?



 観客のものすごい『ユウキ』コールの中、試合開始が告げられる。

「準決勝第一試合、ユウキ アル カトウ 対 フミオ ゼン ヤマナ はじめ!」



「雷竜召喚!」

 いきなりかよ。

 勇者が叫ぶと上空に雷雲が現れる!

 真っ黒な雲に幾筋もの雷が走る!


「雷神剣!」

 大上段で雲から極太の雷を受けて勇者の剣が青白く輝く!


「喰らえ! サンダァーア、スマーッシュ!」

 あ、そこは横文字なんだ。


 まっすぐ縦に切ってくる。

 勇者の左、シールドがある側に『入り身』してかわす。

 うお、すこし近づいただけで少しバチっときた。あちっ、

 勢い余って地面を攻撃する勇者、大爆発が起きる。


 威力、やべぇな、俺の『稲妻』より上かも。


 あ、フィオナがバチバチ言っている。

 いや、フィオさん?

 こんなのに張り合おうとしなくていいからね。



「女連れのチャラ男が、よくぞ避けたな!」


 なに?

 こいつ、若者が40過ぎの地味なおっさんにチャラ男とな?

 よし、乗ってやる。


「チャラくないですぅ~

 緑髪で、額に宝石つけて、金銀装飾の入った剣と盾のチャラ勇者に言われたく無いですぅ~

 あれぇ??

 そのピアス、チャラチャラ音がするんですけどぉ?」


 刀をヒラヒラ振りながら挑発する。

 フィオさんもピカピカ光で挑発しとる、、


「うぐぐ、ぬが、がぁあ!」


 勇者が歯ぎしりしながら向かってくる、

 今度は相手してやるよ。


「スラッシュ!」

「スラッシュ!」


 威力は大きいし振りは早いけど、単発じゃあねぇ、

 単調だし技の間が隙だらけだし、当たらなければどうということもな、、


「飛燕剣!」


 おっと、2連撃だ、ヒュンヒュンと振られる剣を右へ左へと受け流す。


「シールドチャージ!」


 お、うまい、近づいて接近戦を試みたらハジかれた。


 チャージの後、突っ込んで来たところをかわし、すれ違いざまに盾を腕に固定していたベルトを切る。


 驚いて向きを変えようとする勇者に、こっちも2連撃だ!

 ヒュヒュッ、と飛燕剣とやらより早く正確に刀を振り、右の肩当のベルトを切って飛ばす。


 ずっと早く、正確な剣だということが分かったのか、勇者が目を見開く。

 ベルトだけ切るなんて真似、ゲームキャラにはできんからね。



 ババッと後ろに下がった勇者が盾を捨て、地面に手のひらをあてて叫ぶ!


「おおお!『炎狼召喚!地狼召喚!雷狼召喚!!!』」


 勇者の前に岩の狼、右に炎の狼、左に雷の狼が現れる!

 いずれも体長2mほど、大型で威圧感も半端ない。


「いけっ!!」


「「「ゴァァァアア!」」」


 3匹の狼が襲ってくる!

 雷狼がジグザグに突っ込んできた! 早い!!


 ガシュッ!


 何とかいなす。


「ブオォォォオオ!!」

 

 炎狼が口から極太の炎を吐く!


「ぬぅ!!」


 フィオナで薙ぎ払い、炎を消す!


「グルゥァァアアア!」


 岩狼の突進!

 スッと少し左へかわし、喉笛に左手を添えぶん投げる!


 ゴ、ガガッ、ガガガン!!


 岩狼がもんどりうって転がっていく。


「もらったぁ!!!」


 ……叫びながら斬るなよ、勇者、、

 サラリとかわす。 



 勇者と3匹の狼が俺の周りを囲み、機会を伺う。

 やれやれ、、


 右足を少しだけ前に出し、楽に立つ、

 両手をだらりと垂らし、右手だけでフィオナを持つ、

 目は半眼、焦点はぼかし、、、

「『空間掌握』発動……」


 弛緩して立つ俺に一瞬戸惑い……

 狼どもが襲い掛かってくる……

 

 雷狼か、ジグザグに動きフェイント入れまくりだな……

 分かるぞ、右前方から入ってくるところを斬る……

 フィオナの力で雷狼が消滅する……


 岩狼が正面から突っ込む……

 領域接触……

 唐竹割からたけわりで真っ二つになり消滅する……


 左後方から炎狼か……

 一段と体を燃やし、大きな炎の塊となって突っ込んでくる……

 問題ない……

 スウッと後ろを切り上げ、炎狼をかき消す……


 分かってるよ……

 炎狼の陰から斬りかかるの……

 勇者が炎の中から斬りかかってくる……


 そこは入って来ちゃいかんだろ?

 剣線が見えんのか?

 炎狼を斬って返す刀が勇者を襲う……

 斬りかかった剣を引っ込め、とっさに首を守る勇者……

 

 ガギィィイイン!!


 後ろに飛びのきながら回避する勇者……


『空間掌握』を解除する。


 観客には訳が分からなかっただろう。

 ぼーーっと立っている男に、狼が次々に飛び掛かっては消滅していき、勇者もかかっていったがはじかれた、そんな感じだろう。



 後ろに転がっていった勇者は、体勢を立て直して片膝をつき、剣を握りながら歯を食いしばって俺を見上げる。

 が、冷静な表情になっていく、切り替えたようだ。


「お前、強いな、、」


 勇者の気がスウッと収まり、穏やかに収束していく。


「頭冷えちゃったかい? 残念、」


「剣で勝負してくれないか?」


「それ、君の方が不利じゃない? さっきの雷撃や召喚は凄かったよ。」


「どうせ効かないんだろ?

 剣の名手が目の前にいるなら、剣で勝負したいんだ。

 こんな大会より俺は強くなりたい。」


「……約束はしないよ。」


 と言いながら剣を中段に構える。

 真っ直ぐな奴、嫌いじゃ無いから相手してやる。


「ありがたい、」


 勇者が上段でジリジリと詰める。

 俺も中段のまま詰めていく。


 あれだけユウキコールしていた観客も、黙って見つめている。



 一足一刀の間合いになる、



 フッ、と打ち気を出した勇者に対し、、、


 サービスだ、俺が一足を詰めてやるよ! 一歩出る!!


 一瞬で互いを一刀で殺せる距離になる!


 お互いもう斬るしか無い!



 勇者と剣!、俺とフィオナ!

 より一本となれたのは、


 俺たちのほうだった。



 上段から振り下ろす勇者の剣と、中段から振り上げた俺の刀が

 頭上で交差する!


 俺たちが中心をとった!


 頭上で刀の『(しのぎ)』一枚分、角度をずらされた勇者の剣は、

 下に降りてきた時には、俺の体をわずかに外して振り下ろされた。


 俺の刀は真っ直ぐに降りて行き、


 勇者の額当ての真ん中にある大きな宝石を砕き、、


 額の上で止まった。


 真っ向から打ってくるのを真っ向から打って勝つ剣術の極意


合撃がっし


 フィオナと一つになれた分、、、

 俺たちが勝った!!




「参った、、」


 ふう、いや強かったよ、この勇者、正統派で勤勉な奴だ。

 伸びるだろうな。


 互いに『残心』しながら納刀、

 手をさし出したら、グッ、と強い握手が帰って来た。


「いや、実際は紙一重だったよ、ユウキ。」


「俺にはとてつもなく厚い一枚の紙に感じるよ、フミオさん。」


「勝者! フミオ ゼン ヤマナ!」


 一瞬の攻防に呆気に取られていた観客が、ワーッ!と湧いた。


 うちの王様もガッツポーズで喜んでいる、かわいい奴だ。


 サービスだ、王様のところへ行き、腕をあげさせ、ガシッとクロスさせる。

 王妃様には騎士の礼をとり、手の甲にキスをする。


 俺が去った後、二人とも周りの他国の王や皇族にちやほやされていたようだ。


 

 さて、明日は決勝か。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
よろしければこちらもどうぞ。 え? 職業ですか? ガテン系ですけど、、
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。