55. 道場にどうじょ!
ふう、執務でオーバーヒートした頭を冷やすために夕方の道場に来ていた。
お、レオルがやってきた。
「師匠! 勉強してきたぞ! わかったぞ!
いちにち7つで、7にちだから必要なパンは49個だ!」
「お、わかったか!」
「ああ! 勉強したらルルをつらい目にあわせなくてすむこともわかった!
ぜんぶエリスせんせーに教えてもらった!
明日から勉強もがんばる!」
いいなー、おれもエリスせんせーに、いろいろな事教えてほしいよ、、
「いまからは剣を教えてくれるんだろ!」
「ああ、いいが、、おまえ、」
後ろにくっついてきているルルを見る。
「ルルも通いたいって言ってるんだ、頼むよ師匠!」
「よし、じゃあ二人とも並べ、
道場に入るときには『おねがいします』と言って礼をして入れ、
帰るときは『ありがとうございました』だ。」
『『おねがいします!』』
「よし、じゃあ基本の足さばきからだ、ドット分隊長!」
「はっ!」
「まっすぐ打ってこい」
ドットは右足を前に両手で中段に構え、そのまままっすぐ木剣で打ってきた。
俺はドットの背中側にまっすぐ進んで『入り身』してかわす。
ドットの背中を見るような形で背後に立つ。
「つぎ」
今度は打ってきたのをドットの背中側に180度回転するような動きで『転換』してかわす。
ドットと背中合わせになるような形で立つ。
「当り前だが、おまえたちは体格的にまだまだ劣っている、だからまずはよけ方からだ。
まあ、基本は相手の背中側によけろ、相手もこれ以上切りかかるのは難しい。
背中側に入って、そのまま走って逃げることもできる。
これも相手は追いかけるのに一つ遅れることになる。
みてろ。」
相対している状態から、背中を見せて逃げようとすると、ドットがたやすく追いついて木剣をあてる。
「つぎ」
今度はドットが打ってくるのを、180度回転して背中側に転換、さらに180度回転し、ドットが向いている方向と逆の方向にダッシュで逃げる。
「な、いざ相対したら背中を見せて逃げるより、よけて相手の進行方向と逆に逃げることがいい場合もある。
じゃあ、交代で木剣をよける練習だ。最初にやった2つのよけ方を練習しろ。
ドット、木剣を振ってやれ、最初は優しくだぞ。」
「はっ!」
レオルとルルが交代で剣をよける練習をする。
なかなか筋がいい。
さて、俺の稽古だ。
「ハルバルト、相手してくれないか?」
「はっ! お願いします!」
ハルバルトはときどきレガト砦から降りてきて稽古に来る。
実践経験も豊富でこの中でもかなりの手練れだ。
背も低く、力も強くないが、剣技とスピードと何より機動力に優れている。
木剣を互いに構えて向かい合う。
5mほど離れたところから、、、ハルバルトがドンと袈裟に打ってくる!
こちらも突っ込む! すれ違いざまに更に加速、こちらも斬り付ける!
がハルバルトも加速してよける!
互いにすれ違い10mほど離れた地点で、ハルバルトが軸足を中心にぐるっと回転してこちらを向く。
が、俺は、その場で足を動かさずかかとの回転だけで瞬時に体の向きを変え、そして再度突っ込む!
ハルバルトが体勢を整える前に、1拍早く袈裟で打ちかかる!
後ろへ飛んでよけるハルバルト!
しかし切り上げてくる返しの2刀目にとらえられる。
「まいりました。」
「ふう、さすがだな、ハルバルト。俺も結構ぎりぎりだよ。」
「もう一本お願いします!」
「ああ! いざ!」
この後、5本打ち合い、1本とられた、
ふう、いい汗かいた、、
執務でかく汗よりやっぱりこっちのほうが気持ちいい。
ん? いつの間にかみんな輪になってギャラリーになっていた。
「師匠! すごいや!」
「ししょー! すごいすごい!」
「はっはっは、1本とられたけどな、
ハルバルトはうちで一番強い部隊の隊長だ、おまえたちも今度稽古をつけてもらえ。」
「「はい!」」
「さ、稽古の続きだ。ドットに相手してもらえ。」
「「おねがいします! ドットさん!」」
「ああ、お願いします! じゃあ今度はルルのほうからだな、いくぞ。」
「はい!」
あ、道場に童女、、、
いかん、おやじギャグ言ってる場合じゃない、さ、俺も稽古しよう!




