50. 昼メシ会議
テリクスについた次の日、テリクスの教会でデルハルト王とヒューレ王リカードと三人で昼食を取りながら、今後の3カ国の事について話をしていた。内容は、流通や経済をどう回して民を潤していくか、といったことだ。
「テリクスで店を用意しよう。そこでデルハルトやヒューレの特産品を売ってくれないか?
もちろん儲けは全て出品側のものだ。
ただ、人気のでた品があれば、そこを拠点に、ゼノラウト国内で流通させたいから、うちに安く卸してほしい。」
いわゆるアンテナショップだ。
「それは良い話なのだが、輸送の経費がかかりそうだな、、」
「そうじゃな、テリクスから一番近い街でも、歩いて3日はかかるからのう、、」
「街道沿いに宿屋を作るとか?」
「それは良いかもしれんのう、最近はテレシア人気で、テレシア騎士団結成の地を見るために、テリクスを訪れる者も増えてるとの事じゃ。」
「そうなのか? エリス、何か知っているか?」
「はい、『テレシア様が結婚した教会はここですか?』と訪れる方達が最近増えてます。
その後必ず『テレシア様が騎士団を結成した草原はどこでしょう?』とか聞かれますね。」
なんと、、、そんな事になっていたとは。
「すみませーん!」
お客さんか?
「はいはい、なんでしょう?」
エリスが応対する。
「あのー、テレシア様の教会ってこちらでしょうか?」
「エリス! エリス!
ちょっとその人たち、入って来てもらって!」
すかさずアベックらしき二人の旅人を捕まえて席についてもらう。
「すみませんねー、お忙しい中、お時間頂いて。
ま、ま、お二人ともお座りください。
あ、お昼まだでしたらパンとスープですがいかがですか?」
「あ、ありがとうございます。」
「ありがたいですわ、いただきます。」
「実はの、テレシアの足跡を辿る旅をしている方々の意見が聞きたいのじゃ。」
「はあ、あの、あなた方は?」
「これはすみません、申し遅れました。
私はテリクスの領主でテレシア騎士団団長のヤマナ、
で、こちらがテレシア様のお父様のデルハルト陛下、
で、こちらがヒューレ王リカード陛下です。」
「うっ、ごふっ!」
あ、男の旅人がパンを喉に詰まらせた、、
「だ、大丈夫ですか?! エリス、水を!」
「はぁ、はぁ、、 へ、陛下!!」
「「は、ははぁー!」」
二人とも床にひれ伏す、やっぱりデルハルトからの旅人らしい。
「困ったのぉ、話を聞かせてもらいたいのじゃがのぉ。」
「ど、どのような話をですか?」
「あのですね、今、私と王様たちで、ゼノラウト、デルハルト、ヒューレの人達のために何をするべきか話をしてたんですよ。
その中の1つに人や物の流れの話がありましてね。
デルハルトからここまで旅をするのに苦労した事とか、ここがこうだったら良いのに、という話を聞きたいのですよ。」
「そ、そうでしたか、、」
「というわけで、席にお付きください。」
「は、はい、ここまでの旅でですか。
一番不便だったのは、デルハルトの最後の町からここテリクスまでの間が長すぎる事ですかね。」
「と、言いますと?」
「はい、私を含めて、結構な数の旅人がいるのですが、デルハルト国内は町や村を経由して旅が出来るのですが、このテリクスの前だけは2、3泊ほど野宿になってしまいます。魔獣や盗賊も怖いですし、この間に町や宿があれば凄く嬉しいのですが、、」
「なるほど、、
ちょっと旅人がどれぐらいいるのか、どこに宿を作るのが良いか、調査して見ようか。
調査の結果、行けるようでしたら、デルハルト陛下、テリクスの大工と工兵隊を出してデルハルト領内の街道沿いに建物作るから、後の運営は任せても良いですか?
もちろん宿の儲けはデルハルトのもので。」
「いい話じゃの、是非とも乗らせてもらうわい。良い調査結果が出ることを期待しているのじゃ。」
「ちょ、ちょっと、ヒューレ側もお願いしますよ!」
リカードが慌てて割り込んでくる。
「そうだな、テリクスとの交易を行うヒューレの行商人にも聞いて見ようか。行けるようならこちらにも宿場を作ろう。
ヒューレ国内でのニーズ調査はリカードの方でやってほしい。」
「わかった、調査した上で、王国として交易を推奨している事を示す様な何かを考えるよ。」
「そうだな、宿場にデルハルトやヒューレの公営の宿があれば、国が本気だと民も安心するだろう。」
「そうじゃな、そうじゃな!」
「他にももっとありませんか?」
「そうですね、テリクスの町で案内板があると嬉しいです。
後は、、、、、」
こうして旅人たちからいろんな意見をいただいた。
やっぱり当事者たちに話を聞くのが一番だ、今後もヒアリングを続けよう。
「お二人ともありがとう!
いろいろ意見もらえて助かったよ!」
「あのー、ここでの話は当然、他所で話しちゃいけないですよね、、」
「口封じが怖いって?
はっはっは、いいよ、むしろどんどん言ってくれ。
この3人が仲良く昼メシ食ってたって。
話していた内容も構わないよ、同盟に関して最高の宣伝だ!」
「「は、はい!」」
「今日は本当にありがとう!」
そう言って握手をすると、
「か! 感激です!!」
「ええ! テレシア騎士団の団長さんと握手できるなんて!」
「おお、そうか、じゃあトモナリとも握手していけ!
おーい、トモナリ!ちょっと来い。」
教会の外で薪を割っていたトモナリに窓から声をかける。
「おじちゃん、なに?」
と言って入ってくるトモナリ。
旅人を見ると、、
うお、トモナリを見て滂沱の涙を流している!
さすが人気者だな。
「この人たちと握手してやれ、」
「うん、いいよ。」
と言って両手を差し出すトモナリ。
男の方は両手でトモナリのでかい左手を握り、女の方も両手で挟み込む様にトモナリの右手をしっかと握る。
「「トモナリ様、ああトモナリ様、トモナリ様、」」
松島かよ、、、
皆様のおかげで50話まで続きました。
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