4. 召喚戦士
「召喚戦士は見た目でわかるようなのばかりなのですか?」
翌朝、朝食をとりながら、神官長のロドニーに聞いてみる。
「そうなのですじゃ、召喚戦士トモナリなどは、荒々しい見た目に隆々とした筋肉、背丈もわしがこう手を上に伸ばしたより大きいのじゃ!」
2m超えてそうだな、、名前からして日本人だがそんなやつはいないよな、見せてもらった絵の顔も、日本人離れしていたし。
「あら、西の方の王国にいる召喚戦士のユリコは小さくて可憐な少女と聞きましたわ」
とエリスが教えてくれる。 ユリコ? こっちも日本人なのか?
「ブロンドのウェーブがかかった髪で、黒いローブに短いステッキを持って、魔法を自由自在に使うそうですわ。」
…そんな女の子、どこかの世界的大ヒット魔法使い映画で見た気がする。
まさかとは思うが、この世界の召喚システムは召喚時に、一番好きなゲームや映画のキャラクターの姿とかが反映されるのか? さらに姿だけじゃなく武器やスキルも。
やばい、趣味で武道やっていただけで、すっぴんで召喚されてしまった俺には、彼らの空想物による圧倒的火力には、太刀打ちできない気がする。
いかんいかん、ネガティブなほうへ考えが行ってしまう、思考を切り替えよう。
「ところで、召喚はどこから連れてくるとかは決まっているのですか?」
「……ここからは内緒の話ですぞ。
儀式では召喚する魂を呼ぶためのゲートをひらくのじゃが、その座標はだいたい決まっているのですじゃ。座標を大きく変更して召喚できた試しはないのですじゃ。このアルストア大陸で行われている儀式ではヤマナ殿がいた世界からしか召喚していないはずなのですじゃ。」
なるほど、それがだいたい日本上空なのかもしれない。
日本上空なら当たりだろう、ゲームや漫画、アニメ、そういったカルチャーはあの世界では最も優れた国だろうし。
「今回、トモナリに対抗するために、召喚の言葉に、剣に関する言葉を多く乗せたのじゃが、、それで剣を持たないヤマナ殿が現れて、最初、皆がっかりしたのじゃ。ふつう、召喚戦士はすでに剣や鎧や杖などを持っているものなのでのう。」
「そりゃ、普段から俺、剣なんて持ち歩いてないですし。」
普段から持っていたら、銃刀法違反でつかまってまうわ。
「いろいろ分かりました、ありがとう、ロドニー神官長、エリスさん」
「いやいや、たいしたことはないのじゃ、少しでも戦いのためになったのであればよいのじゃが。」
「ご武運をお祈りしますわ。」
朝食後は支度を整え、決闘の賭けの対象となっている王都北方の砦へと向かう予定だ。
戦いへ向かうのに、さすがにスーツのままいるわけにいかないので、冒険者の服を用意してもらった。
フルプレートメイルなどではなく、青いシャツにグレーの丈夫なズボン、その上から革のベスト、足も外側を覆う革の防具、革の小手といった具合である。
太い革のベルトには背中側にナイフが一本だけ装備されている、左手を後ろに回して抜く感じだ。
ピッタリな革のブーツはありがたかった、しっかりと足をホールドしつつ動きやすい。
馬は今まで乗ったこと無かったが、王国の馬術指南の者から色々と教えてもらい、馬任せだがなんとか進めるようにはなった。
夕刻、砦に到着、ピリピリとした雰囲気の中、無言で砦の中を見て回る。
砦と言っても、学校のグラウンド程度の広さを囲う高さ5mほどの石壁、そして北側に塔が一本立っているに過ぎない。
外へ出ようとすると止められた。もう日が暮れるので、外は危ないとのことだ。逃亡防止のためもあるだろう。砦の内側に設営されたテントの一つで寝る。
決闘前日の朝、兵士2名の付き添いのもと、砦の周りを散策する。
決闘の場は砦前の草原らしい。草原と言うが、大きな木も生えているし、人より大きい岩もゴロゴロしている。
ただの散歩ではない、戦闘が発生すると考えられるフィールドにおいて、木一本、石一個、水たまりやぬかるみにいたるまでチェックする。罠などはるつもりはないが、こういった下調べは必要と考える。
その後は昼まで木刀を振る。抜刀しての横一文字を繰り返す。
ん?
なんか飛んだか?
もう一度、剣先より気を飛ばすイメージで振ると、、
おお、草を切り裂いて何かが飛んで行った!
これは新しい武器だ、スキル名はやはり『横一文字』かな?
練度を上げておこう。
昼頃、王国軍が到着する、数千の軍勢が野営の準備を始めた。国王はじめ、王家や重鎮がすべて揃っているようだ。
夕刻、敵国の先遣隊が砦の2kmほど先に到達し陣を張る。数百名程度、全滅させられなくなないだろうが、やると全面戦争になるので、そのままらしい。
そして決闘当日、こちらが朝食をとった後ぐらいに敵国本隊が到着した。
「ぐぁははは! ゼノラウトの戦士よ出て来い!!
おれがトモナリだぁっ!」
…うるさい奴だ、めんどくせーけどやるか、
逃げそびれちまったなぁ、、




