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すっぴん召喚のヤマナさん  作者: 座敷犬昼寝中
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47. ヤマナせんせー

 私はケビン、剣を持って帝国に仕える軍人だ。

 皇太子殿下の親衛隊長であるとともに、親衛隊員に剣を教えている。


 剣の技術においては誰にも負けぬという自負があった。

 高威力の技を持つ召還戦士であっても、剣術そのものの技能はそれほど高く無いと感じていた。

 帝国の勇者、ユウキであっても、木剣であれば私の方が上だ。


 正直、虚しさを感じていた。


 だが! この年になって師と仰ぐ方に出会えようとは思わなかった。



 テリクスに着いた夜、就寝前にフリード殿下にお声をかけていただいた。


「ケビン、明日、ヤマナに頼んでみるから、木剣で手合わせしてみないか?」

 殿下、なんと勿体無いお言葉、、


「いえ、そのようなことで殿下のお手を煩わせては、」


「お前、剣で悩んでいるだろ、私は私の兵に強くなって欲しいのだ。」


「!! それほどの方なのですか?!」


「ああ、剣士でありながら、このテリクスをここまで繁栄させている。

 これが剣の延長にあるものだとしたら、、

 期待しても良いのかもな。」


「……是非に、お願い致します。」



 最初馬鹿にしているのかと思った。

 ゆるみっぱなしの構え、気迫も何も無い。

 草原の枯れ木の方がまだ存在感がある。


「フンッ!」

 額を打ち砕かんばかりに打ち込む!


「?!」

 ゆらりと避けられた、だけでなく、私の剣の上にそっと木刀を乗せられる。


 ぬっ! ぐっ! 重い!

 力を入れてもビクともしない!

 相変わらず楽に立って、木刀を差し出しているだけ、なのに何故こんなに重い!

 怪力? 違う、

 魔法? いや何も発動の気配は無い、

 すっと離されると、木剣は元の重さになった。


 これは、本物なのか?

 その後、何度も投げられ、急所に寸止めをもらい、確信した。

 本物だ!

 これこそが技術なのだと!

 速さじゃ無い、力じゃ無い、先生は私に、私が今まで見たこともない高いレベルの技術を見せてくださっているのだと!

 1万回1人で剣を振ることよりも、この一本を頂くことがどれほど価値あることか!


 私はやっと師と仰ぐ方を見つけた!



 ゼノラウト王都からテリクスへと帰る途中、先生が木の下に立っているのを見かけた。

 愛用の白い『ニホントウ』を抜刀している。


 相変わらず楽に立って、刀は片手で持ち、ダラリと下に垂らしている。


 先生の周りを落ち葉が舞っている、が何か違和感を感じた。

 木の上から落ちてくるより、地面に落ちる葉の数の方が多い。


 よく見ると、、先生の近くに落ちて来た葉が、全てハラリと2つになって落ちていく!


 先生は葉を全く見ていない、目はボーッと半眼のまま遠くを見ているようだった。

 剣は、時々フッと消えている、

 上、前後、左右、全ての方向において、寄って来た葉を全て切っていた、、



「先生、、」

「お、ケビンか。」


「先生、今のはどういう技なのですか?

 近くに寄った葉を全て切っていましたが、、」


「技、というか魔法を試していた。」


「え? 剣で切っていたように見えましたが?」


「うん、『空間掌握』という認識系の魔法さ、

 一定空間にある物を完全に認識することが出来るのさ。

 昨日王都で習った。

 それと居合の合わせ技さ。」


「なんと!

 習ったばかりの魔法に剣技を組み合わせた、出来たばかりの新しい技だというのですか!」


「うん、使いこなすには、俺がまだまだ未熟なんだけどね、、」


 驚いた、、


 この方は自分の技を研鑽し続けている、

 そして自分自身のことを「未熟」と言う、


「自分には、、自分には到底新しい技を編み出すなど出来ませぬ。

 目標とする先生に近づきたいのに、どんどん遠くへ行かれてしまう、、

 虚しくなってしまいます、、」


「? 何故そんな風に思うんだい?

 ケビンはケビンの剣の道を行けば良いじゃないか?」


「先生は、先生はやっと見つけた私の憧れなんです!

 先生に近づきたいんです!

 今は先生と同じことをしたいのです!

 今、私にはこの思いしか無いんです!」


「……そうか、すまん、

 だが俺は両刃のブロードソードは教えられんしなぁ、」


「その 『ニホントウ』 はどこへ行けば手に入れられるのでしょうか?」


「良いのかい?

 今までの剣技を捨てることになるよ?」


「構いません! 先生の技が習いたいのです!」


「そうか、、ではこの木刀をやるから、テリクスに着くまでは練習に使いな。

『ニホントウ』 の振り方の基本を教えてやるよ。

 テリクスに着いたら俺の馴染みの鍛冶屋に行って刀を打ってもらおう。」


「ありがとうございます!」


 こうして、私は20年以上振り続けたブロードソードを捨て、ニホントウの振り方から学ぶことになった。



「殿下、ヤマナ先生に『ニホントウ』の使い方を学ぶ事になりました。

 親衛隊の装備を変えるのは規則違反なのですが、『ニホントウ』を手に入れたら武器を変えてもよろしいでしょうか?」


「そうか、可愛がってもらっているようだな、もちろん構わんぞ。

 ん? その木刀は?」


「ヤマナ先生に、頂きました。これで練習しろと。」


「ヤマナがいつも持っていた木刀をもらったのか、 これは私も礼をせねばな、、

 本当に可愛がられているようだな、良かったな。」


「それはどういう事でしょうか?」


「ヤマナはこの世界に来た時、木刀一本でトモナリを破ったのだぞ。」


「!!  そうでしたか、この木刀が、、」



 そんな大事なものを私に、、


 ああ、ヤマナ先生、

 ありがとうございます。


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