44. 披露宴
テリクスを出発して3日、ゼノラウト王都に到着した。
皇太子の軍勢が王都郊外に布陣する。
徒歩の兵士や物資の移動も含め、この距離を3日か、、
改めてこの軍の凄さを思い知らされる。
王都は披露宴と各国の代表の歓迎でお祭り状態だった。
みんなの顔もとても明るかった。
帝国の皇太子殿下の一団がパレードしながら王都の大通りを進み、王宮へと到着する。
デルハルト王にリカードと俺も皇太子殿下に続いた。
王宮の入り口ではゼノラウト8世自らが皇太子を迎えた。
「結婚、おめでとう。ゼノラウト8世、そしてテレシア妃よ。」
「このような辺境の小国にお越しいただき、誠にありがとうございます、フリード殿下。」
「ありがとうございます。」
「そなたが『救国の英雄、テレシア』か、会ってみたかったぞ。
なるほど、柔らかながらも、芯はしっかりしていそうな、そして大きな器を感じるぞ。
一軍を率いるだけはある。」
「はい、ヤマナさんに鍛えられましたので。」
「はっはっは! そうか、それは厳しかったであろうな!
今、私の兵も稽古をつてけてもらっているところだ。」
「ええ、それはもう厳しくって、、
鬼かと思いましたよ、本当に。」
にっこり笑ってテレシア妃が答える。
「はっはっは! ヤマナは鬼か! はっはっは!」
……着くなりこれかよ、まったく。
披露宴は明後日だ、それまで色々、公務をこなすことにした。
関係機関を回っての、テリクスの経済状況、軍事状況の報告、各種提案書の提出、領主達と会っての情報交換、などなどだ。
南の領主、ガルファングに、今回の戦役の礼を言いに行く。
「ガルファング、ありがとう。兵糧は助かったがそれ以上に、ギルファングはすごいよく働いてくれたよ。」
「そうか! そりゃア良かった! ギルを送った甲斐があったな!
ケンタにクロトとの戦い、聞いたぞ!
両方とも見たギルの奴に嫉妬したゼェ。」
「ああ、ギルは使えるからな、
主に俺の周りで遊撃隊やってもらってたんだよ。
たまに子供のジャングルジムやってたけどな!」
「はっはっは!
あいつが子供と!
誘拐犯と間違えられそうだァ!」
「ああ、『どこで攫ってきた?』と言ったらマジで怒ってた。
いい奴だな、子供を救って回ってやがったよ。
今度テリクスの孤児院に顔を出せと言っといてくれ。」
「ああ! ジャングルジムが足んねェって言ってたと伝えとくゼェ!」
「「はっはっは!」」
「そういやギルの奴、いきなり全身チリチリの毛になっていたが、なんだありゃア?
テリクスではあんなん流行ってんのかア?」
「さ、、さあ、
一部では流行っているのかもな、、」
こんどは西の領主、ミルドルトのところへ行く。
「ミルドルト! ありがとう!
武器の支援も助かったが、ドワーフ隊には本当助けられた!
『テレシア騎士団の先鋒』たちに感謝してると言っといてくれ!」
「おお! そうか、ヤマナ!
あいつら喜ぶワイ、
グドルトの奴、最近元気なくってな。」
「?? なんか有ったのか ??」
「いやな、あいつ、自慢のミスリル合金製の兜が砕けたらしくってな、、、
それ以来落ち込んどるワイ。」
「う、、そうか、、」
「クロトの技を受け止めたと思ったのに、数日後に砕けたと言っとったワイ」
「そうか、、、今度元気づけの酒でも送るよ。」
「おお! グドルトも喜ぶじゃろう。」
「ヤマナ殿!」
お! 北東の領主、シュルトだ。
「おお! シュルト! 元気か!」
「ええ! やっと鼻が治りました!」
「鼻 ??」
「ええ! あの宴会の夜にヤマナ殿の裏拳で曲がった鼻です。」
「す、、、スマン!」
「いえいえ、ヤマナ殿の一撃食らったなんて騎士にとって勲章ですよ!
それにしてもエリスさんはヤマナ殿に物凄く愛されてるんですね!」
「 !! 」
隣のエリスが真っ赤になる。
「だってエリスさんがからかわれて、テレシア騎士団を素手で壊滅させるってどんだけですか!
お二人はいつ結婚するんです?
結婚式には呼んでくださいね。」
「あ、ああ。」
うう、頼むからこの辺で勘弁してくれー、シュルト、
そして披露宴の日、、
「テレシア様、きれい、、」
「ああ、本当にきれいだな、」
重臣や領主たちが、順に陛下と王妃の前に進み出てお祝いの言葉を述べる。
俺の番が来た、エリスと一緒に陛下の前に進み出る。
「陛下、テレシア様、本当におめでとうございます。」
「おお、ヤマナ!
今日という日があるのもそなたのおかげじゃ!
この国を救い、テレシアの国を救い、ワシらを結びつけてくれた!
ありがとう!」
「いえ、もったいないお言葉、身に余る光栄にて、」
「ヤマナ様、本当にありがとう、貴方には感謝してもしきれません。」
「私はテレシア様の騎士ヤマナですから。」
「これからもよろしくね、結婚式には呼んでね。」
と言ってエリスに微笑む。
俺たちは一礼して退場した。
控えの部屋に戻ると、どっかと椅子に座った。
「ふう、緊張したなぁ」
「あなたが緊張するなんて、珍しい。」
「いや、そりゃおれだって、、、」
「今までで一番緊張した?」
「いや、、
今が一番、緊張してるかも、、」
「 ? 」
俺は立ち上がり、エリスの目をまっすぐ見て、
「あのさ、エリス、、
結婚しよう!」
「 !! 」
「俺と、結婚してくれ、
エリスとずっと、ずっと一緒にいたいんだ!」
「はい、はい!」
エリスは涙を流しながら笑ってはっきりと答えてくれた。




