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すっぴん召喚のヤマナさん  作者: 座敷犬昼寝中
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36. レガト砦防衛戦 -後編- 暗黒剣士と涙の戦士

 ※文中に極めて残酷な表現が入っています、ご注意ください。

「クソが、クソが! クソどもがぁあ!」


 次々と倒れていく兵、

 先鋒のヒューレ兵2千は忽然と消え、パトナ兵もどんどん削られていく。

 山の中へ深追いした兵達も、戻ってくる気配はない。

 後続の軍も切られた。


「使えねーんだよ! てめーらぁ!

 どけ! コラぁ!」


 業を煮やしたクロトが味方を押しのけて前に出る。


『ダークネス、クロー!』


 暗黒剣から黒い5本の巨大な爪が弧を描いて飛ぶ!

 ドワーフ隊に当たり、盾が砕かれる!

 何人かのドワーフが吹っ飛んだ。

 物理防御と魔法防御が共に高い武具を付けているのだろうが、それでも無傷では済まない。

 ダメージを受けたドワーフ隊が更に後退し始める。


「おら、進むんだよ!」


 パトナ軍の進軍速度が上がった。






「クロトが出たら、まともに相手をするな。砦の前まで上手く引いてこい。」

 俺はドワーフ隊にそう伝えていた。

 パトナ軍の後方ではハルバルトとパトナ軍が山中で戦っている。

 ギルファングは何度も突撃しては引き、クロトの周りのパトナ兵を削る。

 山の中に引っ込んだギルファング隊を追ったパトナ兵は、ハルバルトの待ち伏せ兵の餌食となる。


 クロトが砦の前まで進んだ時には、クロトの周りの兵は500名ほどに削られていた。




「よお、ようこそテリクスへ、

 領主としては、招待した覚えは無いんだけどなぁ。」


 俺は国境の門の上からクロトに声をかける、、



「ヤーマーナーァー!

 テメぇ、やってくれんじゃ無いの!

 俺の兵を減らしてくれちゃってヨォ!」


「ん?

 別に普通に戦っただけだぞ?

 パトナ軍の指揮官が無能なだけじゃね?」


「テメぇぇえ!

 ぶっ殺してやっから出てこい!

 召喚戦士同士の一騎討ちだ!」


「やーーだよ、」


 俺はさっと手を挙げる。

 それを合図に右手の山の上からは雪崩のように岩が落ち、砦のシュルトの隊から矢がスコールのように降り注ぐ!


「なっ、あっ!

 クソっ!

『ダークネス スフィアァ!』」


 轟音が鳴り響き、パトナ兵達が岩につぶされ、矢に貫かれる!

 やがて土煙が収まった頃、パトナ兵達がいたところには、黒い球体を残して動くものは無くなった。


「クソっ、クソっ、クソガァあ!」

 球体の中からクロトが出てくる。


 チッ、無傷かよ、、、

 これだからチートやろうは、


 ギラッと後方の兵を睨むクロト。

 切りぬけて逃げる気か?


 こいつはここで仕留めておきたい、

 仕方がない、、、


「しょーがねーなぁ、、

 めんどくせーー、

 お望み通り相手してやるよ!」

 下に降りていき、クロトの前に出る。


「ヤマナぁ、ヤマナぁー!

 やっとその気になったかぁぁあ!

 一騎討ちだぁあ!」

 クロトがめいいっぱい顔を歪めて笑う。


「はぁ?

 一騎討ちぃ?

 何、寝言、言っちゃってんの?

 おまえはフルボッコに決まってんだろ!」

 門の横にデルハルト兵達と共に控えさせていたトモナリに、右手でおいでおいでをする。


「ウオオォォオオ!!!」

 大剣を手にしたトモナリが胸を大きく張り、吠える!!!


「お前だけは!

 お前だけはぁああああ!!」

 ズンズンと地響きを立て、トモナリが出る!


「さ、やろかい、」


「てっ、てめぇ! きたねーぞ! コラァ!」




「女子供老人を背中から斬るお前だけには言われたくない、 ねっ!」

 抜刀!

 横一文字を飛ばす!


「うらぁ!」

 クロトが黒い衝撃波で相殺する!


「オォオオ!」

 トモナリが突っ込む!

 ガギィィイン!


「なっ! ぐっ!」

 トモナリの全力の振りを剣で受けたクロトが吹っ飛ぶ!

 地面をゴロゴロ転がるクロト、


「ぐはっ! がっ!」


「逃げてもいいぜ。」

 言ってやる。


「!!」

 そろりと動こうとするクロト。


「安心しろ、お前がいつもやっているように、背中から斬ってやるから、

 サイコーだろ?

 うれしいだろ?

 はっはっは!」

 そう言って笑う、兵達も爆笑する。


「「ガハハハ!!!」」

「いーひひぃ、逃げる一般人を背中からって、、なっさけねー!」

 バンバンバン! ガンガンガン!

 門の前まで引いてきたグドルトたちドワーフ兵が盾をたたいて笑う、砦や崖上の兵達もはやし立てる。逃さないための演技だ。


「クソがぁぁぁあああ!!

『ダークネスアロー!!』」


 ドシュシュシュ!


 激昂し俺に技を放つクロト、


 ヒュヒュン!


 俺はフィオナを振るい、無数の黒い矢を消滅させる。


「なっ!!」


「こんなもんなん? おまえ、」


「!! うぁぁあああ!!

『ダークネスクロー!』」


 グワッ!と弧を描いて飛ぶ5本の巨大な爪!


 ……ふん、これも消してやるよ。

 ヒュヒュッ! パパン!!

 フィオナでクロトの技を斬り消す。

 俺がクロトの相手をしている間に、


「ヌゥン!」

 突進してきたトモナリのタックルを受け、クロトが吹っ飛ばされ、岩壁に叩きつけられる!


「ぐべっ、ガッ、はっ!」



「ひっ、ひひひっ、

 ぶっ殺してやる!

 みな殺してやんよ!

 テメーらぁ!!

 カルマの消費なんか知ったことか!

『ダークネス、ブラインドぉお!』」


 ブワッと黒い煙が谷に立ち込める!

 視界を奪うクロトのスキル、それを砦周辺の谷一杯に展開した!

 俺もトモナリも闇の中にとらわれる!


 ……やれやれ、闇の中で動けるのが自分だけだとでも思っているのかね?


信夫(しのぶ)

 闇の中で気配を消し、敵を察知し、斬りつける居合の技だ。

 技を発動し、すうっと闇に同化する。

 ボタンひと押しでできる、おめーのスキルごときと一緒にすんな、

 何年も稽古して身に着けたスキルは、薄っぺらいキャラスキルとはレベルが違うんだよ、

 幸いこの世界においてスキルというものは、熟練度を大きく加味してくれるということが分かっている。


 そして俺の愛刀、フィオナも闇と同化する、いい子だ、愛してるよ。


 右に大きな気配を感じる、トモナリか、、


 クロトは、いた! きょろきょろしている、、

 俺の気配を見失ったのか焦ってやがるな、諦めてトモナリの方に向かおうとしている。


 スーッと刀をクロトの側に向け、パチン! と石を剣先で弾く!


 驚いてこちらを向き一瞬身構えて固まるクロト、その正面に、、

 斬りつける!!


 ガシュッ!

 浅いか?!


「ぐガァアアアァ!」


 ブラインドがとけた!

 3人の姿があらわになる!




 クロトは顔の右目から胸にかけ、縦に斬られていた。

 まだ致命傷ではない。


「いけ! トモナリぃ!」


「ウォオ、『岩砕突ぃい!』」


「ぐぅ、『ダークネス、スフィア!』」


 ガギャギャギャギャ!

 互いに無敵技で削りあう!


「ウオオォォオオ!」


「ガァアアアァ!」


 頑張るな、二人とも、



「ぐっ、」


 痛みからか、クロトのスフィアが緩んだ!


「ウオオォォ!」


 ドガッ!


「ギャアア!」


 トモナリが勝った!

『岩砕突』に吹き飛ばされるクロト!!




 そして、、


「オォオ、『爆裂剛打百烈斬!』」


 うお、出た!

 トモナリ必殺の5連撃!

 当たらない必殺技も今なら当たる!


「ウオォォォオ!」


 ギギン! ギン、ギン!


「ぐ、が、っぐぐ、」


 剣で受け続けるクロト、


 1、2、3、4、5、6、7、、

 あれ? あれれ? この技、確か5連撃じゃ、、


「ウオオォォォオオオオ!」

 ギギン! ギン! ギャギン!

 暗黒剣が折れた!!


「ぎゃっ! ががっ、、ぎぃっ!」

 剣で受けられなくなったクロトを鎧の上から斬り付け、ボロ雑巾のようにしながら、技はまだまだ続く!




 ?


 ?


 あれ?


 ……トモナリ、おまえ、、


 泣いているのか?


 カッと見開いた目から涙を流し続けながら、トモナリがクロトを斬り続ける。

 一振り一振りにデルハルトの民の怒りと悲しみを込めて斬り続ける。

 デルハルトの兵達も、目を見開きながら涙を流している。



「オオォォォオオ!」

「グガッ!、ギぃッ、ガァアぅあッ!」


 いま何十発目だ?

 なまじ硬いと大変だな、クロト、

 カルマの集めすぎで暗黒鎧の防御力が上がりすぎているのか、楽には死なせてもらえないみたいだな、、

 同情するつもりはないが、

 おまえ、、、

 苦しめた分、苦しんでんだぞ、

 分かってんのか?



「オオォォォオオ!

 ウオォオ!

 オォオオオオ!!

 ウオォォオオオオ!

 ウオオオオオ!!」


「がっ、、

 ぐ、

 、、、っ!


ぎ、!

 、!

  、、、、っ!

 !

 ぅ、、

 。

 。



 。」



「百うぅうう!!」

 ドゴオォオン!!


 おっそろしい、本当に百回あったよ、、

 完全にオーバーキルだよ、

 クロトはグシャグシャになって地面にめり込み、、

 原型をとどめていない、、

 当然息絶えている。

 暗黒剣も暗黒鎧も粉々に砕けていた。


「はぁ、はぁ、、、

 う、

 ううっ、

 うわぁぁああああん!!

 わああああぁあぁぁ!!!」


 トモナリが両膝をついて天を見上げ号泣する。デルハルトの兵たちも共に涙を流している。


 よくやった、ここからは俺がやるよ、



 ズグシュ、


 

 俺はクロトの首、らしきものを斬り取って掲げ、叫ぶ!


「敵将クロト、テレシア騎士団の将トモナリが討ち取った!」


「「「ウオオオ!  エイエイ、オー!!」」」

 レガト砦の戦いは、終わった。

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よろしければこちらもどうぞ。 え? 職業ですか? ガテン系ですけど、、
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