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すっぴん召喚のヤマナさん  作者: 座敷犬昼寝中
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35. レガト砦防衛戦 -中編- 二人の将

※文中に極めて残酷な表現が入っています、また水に関する描写があります、ご注意ください。

 処刑部隊をやられ、さらに鉄壁のドワーフ隊にまたもや進軍を止められ、パトナ軍は怒り狂っていた。

 しかしここまで、テレシア騎士団はまだその力を伏せていた。 


 そしてついに、テレシア騎士団がパトナ全軍に対して牙を剥く!


 ハルバルトが山の上で手を上げると、青い旗が次々に上がって信号が送られる!

 それを合図に、山道上に蛇のように連なるパトナ軍に対して、テリクス兵が無数の牙のように山の上から襲いかかったのだ!

 間隔を置いて配置された弓隊が、弓矢で敵の指揮官を狙い撃つ。

 無数の部隊が山の上から突撃し、あちらこちらで横から敵の隊列を食い破り、兵を崖下に叩き落とすと、さっ、と山の上へ引く。

 今度は別の場所からまた現れ、隊列を食い破り、引く。

 同時に多数の小部隊が頭上より、岩を落としたり、木の枝を編んで作った直径1~2mほどのボールに火をつけて、敵が密集しているところへ次々に落とす。

 

 山道を進軍していた後続のパトナ軍は大混乱に陥った。


 ハルバルト率いる約50名の部隊が、クロトの周りにいたパトナ軍の大隊に、崖の上から突撃を敢行する。

 左右から矢や投石の援護を受けながらの頭上からの突撃に、パトナ軍は混乱し、切り伏せられ、崖下に叩き落される。

 少数ながらも、これまでで最も激しい突撃だ。暴れるだけ暴れた後、山道の横にある間道に引いていこうとする。


「てめぇら! 左の山ん中だ! 追え、追え!」

 クロトが叫ぶ。



 ハルバルト達が逃げていく間道は、山道に沿った川へ流れ込む支流となる小さな川沿いにあった。やがて、道らしき道はなくなり、ハルバルトたちは沢の中を登っていく。皮鎧のハルバルトたちに比べ、パトナ軍の兵士たちは金属製の鎧のため、追いかけようにも非常に足が遅い。


「おい、ちょっと肩を貸せ。」

「た、隊長、足をひきずって、、やられたのですか!」


「ばか、演技だよ。あいつらおそいから俺たちを見失わないようにゆっくり行くためだよ。待ちながら余裕で逃げたらばれるじゃないか。ほら、俺をかばうように逃げろ。」

「ははあ、役者ですねぇ」


 支流の小川には千人を超えるパトナ兵が入ってきていた。そして、先頭のパトナ兵が、ハルバルトを追って大岩を右に回りこんだところで見たものは、、

 丸太を組んで川の水を止めているせきだった!!!

「よお、お疲れ! じゃあな、あばよ!」

 右の崖の上からハルバルトが声をかけ、手を上げる!

 ハルバルトの横には引き上げられたハシゴがある、これで登ったのだろう。合図とともに兵たちが堰の中央に伸びているロープを斧で切り始める!


「う、、、うわぁぁあぁ!!」


 堰を見たパトナ兵たちが逃げ惑う。が、後続が来ているために後ろへはすぐに詰まり逃げられない!そして左右は断崖だ!


 ゴバァ!!

 ロープが切られ、堰の中央が音を立てて崩壊する!


 バキバキバキ!!

 堰の崩壊は中央から徐々に左右に伝わっていき、濁流が谷を埋め尽くして流れていく!


「うわぁぁぁ!」

「助けてぐべッエ!」

「ひぃ、ひぃいい、、、」


 重い鎧のパトナ兵たちは次々におぼれ、水の中に飲み込まれていく。土砂や丸太、パトナ兵を巻き込み、濁流は谷をいっぱいにして更に流れていく。それは支流の横の山道を通っているパトナ兵達にも襲い掛かった!

 

 ドズズズズズズ、、


 山を振るわせて濁流が、千を超えるパトナ兵を飲み込みながら流れていく。


「よし! 次に行くぞ!」

 ハルバルトは隊を引き連れ、次の罠に誘うべく、またパトナ軍への突撃準備を始めた。




 山道の先頭では、クロト軍の先鋒を務めていたヒューレ兵の生き残り達が、前後を挟まれ、もう諦め切っていた。崖上にも多数の兵が見え、完全包囲されていることが一目でわかる。この状況、自分たちはここで全滅するんだろう、、

 谷あいに見える後方のパトナ軍も、蹴散らされ、次々と谷底に叩き落とされている、、


「お前達!!」

 はっと顔を上げる。ドワーフ隊の後ろに、ヒューレの軍服と旗を持った騎兵?!

 なぜゼノラウト側に?!


「ヒューレ王国南方軍、第2師団長、ディーエだ! 知っているものもいるだろう!!」

 馬上のディーエが叫ぶ、


「ヒューレは国王がリカード様に変わり、ゼノラウトとは友好関係となった! 我が国はデルハルトとも停戦した! 頼む! 武器を捨て投降してくれ! もう戦わなくていいんだ!」


「本当に、

 本当に、

 戦わなくていいんですね、、」

 兵達が武器を落とす。


「ああ、もういいんだ!

 国へ帰ろう!

 俺は必ずおまえたちを連れて帰るぞ!!」

 兵達のほおに涙が流れる。


「国へ、、帰れるんだ、

 帰るんだ、、

 うぐ、 うっぐ、、」

 兵達はその場に座り込み泣き出す。


「まだだ!

 ここは戦場だ!

 立て!

 武器は捨てて俺に付いてこい!

 ここから離れるぞ!

 ヒューレへ帰還する!」


 ドワーフ隊が道を空けてやる、

 ディーエは武装解除した2千名を連れ、レガト砦の後方へ下がった。

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