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すっぴん召喚のヤマナさん  作者: 座敷犬昼寝中
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34. レガト砦防衛戦 -前編- 鋼の盾と怒りの剣

 ※文中に極めて残酷な表現が入っています、ご注意ください。




 レガト砦は、南のゼノラウトと北のデルハルトを結ぶ山道の峠付近に、国境の大きな門と共に築かれている。

 デルハルトからレガト砦まではずっと川沿いの山道を登っていく。レガト砦を過ぎればゼノラウトまでは下りの山道になる。

 山道は、馬車が1台通れるぐらいの幅があり、ゼノラウト側から見ると左側は崖となって落ちておりその下には川が流れている、そして右側は山へと登っていく急峻な斜面となっている。


 夜がうっすらと明け始めようとするころ、レガト砦でヤマナは各隊に出撃命令を出す。


「グドルトよ、頼むぞ!」

「騎士団長! 先陣を賜り、誠に光栄の極み!

 しっかりとお役目、果たして参ります!」

「ああ、だが無理はするな。打ち合わせた通りにな。」

 魔法すら跳ね返す、重武装ドワーフの一団、200が出発する。

 途中で2隊に分かれ1隊は右の山の中へ、1隊は砦より約2km先の山道を塞ぐように布陣した。



「ギルファング、頼むぞ、タイミングを見誤るな。」

「騎士団長、お任せを!」

 ギルファング達の一隊は山道をデルハルト側へ下っていき、そこから右手の山の中へ分け入って行った。



「ハルバルト、頼むぞ!」

「はっ! 団長、お任せ下さい! 今日まで訓練して参りました! 我らがこの山の中で遅れを取ることはありません!」

 レガト砦の防衛隊長であるハルバルトは2千の兵を率い、砦の指揮ではなく、ギルファングと同じく山の中へ入っていき、布陣した。



「ディーエ、その時が来るまで砦で待機だ、おまえの働き次第で戦況は大きく変わる。」

「はっ、騎士団長! このディーエの願い、聞き入れていただき、ありがとうございます! 必ず成功させて見せます!」

 ヒューレ軍のディーエは砦で待機、機を見て任務にあたる。



「シュルトは私と砦で待機。文字通り、ここが最後の砦だ、死守する!」

「わかりました、騎士団長!」

 北東の領主シュルトは砦で待機、ゼノラウト北東軍はここで弓を中心とした防御を担当する。



「トモナリたちもここで私と待機だ。合図があるまで待ってろ!」

「わかった!」

 デルハルト軍は国境の門の内側でいつでも出撃できる状態で待機となった。




 夜が明けるころ、峠への山道は真っ白な霧に覆われていた。

 大軍勢の進軍が、遠くから地響きのように伝わってくる。

 霧が晴れてくると、、

 先陣を務めるドワーフ隊のグドルトからは、山道を登ってくる1万の大軍が眼下に見えた。


「ガハハハ!!

 いっぱいおるのお!

 壮観じゃわい!!

 100で1万をせき止めろとは、正気の沙汰じゃないわい、

 さあいくぞ! ゼノラウトが誇るドワーフ隊の硬さ、見せつけてやろうではないか!」

「「「ゥオ”ウ!!!」」」




「ちぃ、固そうな奴らがいるな、、

 数は、、たったの100程度か?

 まあ押し通れば良いか。」

 クロトは重装ドワーフの一隊を見て舌打ちする。


 情報ではゼノラウト北方軍はたったの3千、3倍強の自分の軍なら力押しで行ける! と考えていた。

 クロトは誰も信用していない、別動隊などを用意することも全く考えなかったし、出来なかった。

 ゆえに全軍を一塊にしての力押しかなかった。


「オラァ、お前ら突撃だあ! 遅れたら斬り殺すぞ!」

 そう言って先鋒のヒューレ兵たちに突撃命令を出す。


「「「ワァァアアアアア!!」」」

 先頭のヒューレ兵たちが走る!

 背の低いドワーフ兵たちがさらに低く構え、ぶ厚い盾をがっしり構える!


 ドガァァァァアン!!


 すさまじい音をたてて先陣と先陣が、激突する!!!

 低く構えていたドワーフ兵にはじかれ、何人かの兵が勢い余ってドワーフ隊の中に上から落ちる。

 ドワーフたちが重量級の戦斧や大剣を振るう!

 ドワーフ隊の中に落ちた兵達がずたずたに切り刻まれる。


 ヒューレ軍の内側から、援護の矢や魔法による火球が飛んでくる。

 が、ドワーフの盾や鎧にはじかれ、たいした効果はない。


「ヌゥゥウウ! 流石にハンパないのおぉぉ!!!」


 それでも数に勝るヒューレ兵の生き残り2千に押され、ドワーフ隊はジリジリ下がっていく。

 道が狭いこともあり、攻め手はギュウギュウ詰めになって前に出てくる。


 ヒューレ兵達の後ろにはパトナの処刑部隊が距離をとって付いて来ていた。

 兵が逃げたり消極的なら即座に味方を攻撃するつもりだ。




 山道を見下ろす山の中では、ギルファング隊の100名が、じっ、と待っていた。

 眼下ではドワーフ隊がヒューレ軍と交戦しながら山道をゆっくりと後退していく。

 やがてヒューレ軍をやり過ごし、パトナ軍の先頭が真下に来たのを確認すると、


「おかしら、そろそろ、、」


「……おまえら、、 全員一回、目ェつぶれ、、」

「「「へい。」」」


 全員が目をつぶり、灰色狼の獣人ギルファングが、押し殺したような低い声で語る。


「……デルハルトで見た光景を思い出せ、


 母を殺されて、その遺体にすがりついて泣いていた子供を、

 親を探してさまよっていた子供を、子供を探してさまよっていた母親を、


 子供をかばうようにして覆いかぶさり、もろともに貫かれて死んでいた母子を、

 手をつないだまま、背中から斬り殺されていた姉妹を、


 俺たちが走っても、間に合わなかった!

 見えていたのに、目の前で助けられなかったあの人たちを!


 あの外道たちは、、絶対に許しちゃなんねぇ!


 あいつらを片っ端から切り殺せ!!

 一人も生かして返すんじゃねぇ!!


 テメェら!

 目ェ開けろォ!!! 」 


 ギルファング隊の全員がカッと目を見開く!

 助けられなかった人たちへの涙と、パトナ軍への怒りで真っ赤になった目を見開く!


「行くぜ、テメェらぁ!!」

「「「ウ”オ”オ”ォオ”!!!」」」




 ドワーフ隊が1kmほど下がり、砦が見え始めた頃、、、

 進軍するパトナ軍の頭上から突如部隊が現れ、獣の咆哮を上げながら、雪崩のように襲いかかる!

 ギルファング率いる獣人部隊による、山の上からの急襲だ!

 狙いはヒューレ軍の後ろについてきているパトナの処刑部隊!!


「「ゴァァァアアアア!!!」」

「えっ?!」「上から?!」


 ギルファング隊の先頭で大柄な猿人系獣人やさいの獣人たちが、丸太をイカダのように束ねた巨大な木の盾を両手にもって突進する!


 ドガァァァアアアン!!!


 激突して押しつぶされ弾き飛ばされるパトナ兵!


「ウォォオオオオラァァアア!!!」

「ゴォォオオアアア!!」


「ぐあっ!」「ひいっ!!」「ぎゃっ!」


 隊列が崩れたところに、後続のギルファングたちが斬り込む!

 弓と剣だけで大した防御力も持たない処刑部隊は、怒りに燃えるギルファング隊の奇襲を真横から受けて一撃で粉砕され、次々に斬り伏せられ、谷底に叩き落とされた。


「な!!! あいつらをぶっ殺せ!」


 処刑部隊の後ろにいたクロトが叫ぶ。

 数名の獣人がクロトに気づき、怒りのあまり襲い掛かる!


「「ガァァァア!!」」


「なめんな犬コロども! 『ダークネス アロー!』」


「グァ!」「ギャン!」


 クロトの剣から無数の黒い矢が飛び、襲ってきた獣人たちを貫く!


「ち! 一旦、引くぞテメェら!」

 ギルファングたちがクロトの攻撃を受けた仲間を担ぎ、山へ引こうとする。


「逃すかぁ! 追え! 追え!」

 クロトが追撃の命令を出す、が、すかさずドワーフの別の一隊100名が山側より現れ、また山道にがっしり蓋をする! ヒューレ軍とパトナ軍の間を分断した形だ。


 クロトの目は獣人部隊を逸れ、そちらに向く。

 

「またこいつらか!! 潰せ! 行くんだよ!」


 そう言って今度はドワーフ隊の壁にパトナ軍を突撃させた。

 ドワーフ隊はまたガシッとせき止めながら、じりじりと後退を始めた。



 

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よろしければこちらもどうぞ。 え? 職業ですか? ガテン系ですけど、、
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