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すっぴん召喚のヤマナさん  作者: 座敷犬昼寝中
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33. テレシア騎士団

 夕ぐれの中、防衛任務についているものを除き、このテリクスに集結している全軍が、テリクス湖畔の広い平原に集められ、整列していた。

 整列した将兵たちの正面には一段高い台が設けられ、中央にテレシア王妃、その左右にゼノラウト王、デルハルト王が座っている。


 国王と王妃の結婚は全ての将兵に伝わっていた。




 国王たちから見て、一番左に位置するは、テリクス軍の騎兵、弓兵、槍兵、歩兵 約2千

 率いているのはテリクス軍副官、デメトリオ

 これまでヤマナと共に戦ってきた精鋭だ。

 これとは別にハルバルトの率いる兵、約1千が、現在、砦の防備についている。

 

 その隣に位置するは、ヒューレ騎兵 約50

 率いているのはヒューレ軍師団長、ディーエ

 トモナリたちを助けるため、ヒューレからデルハルトへと急行したヒューレの精鋭騎兵部隊だ


 中央左に位置するは、疾風の獣人部隊 約100

 率いているのは、南の領主、ガルファングの弟、ギルファング

 ここまでの戦いでも、そのスピードと攻撃力により、要所要所で敵を撃破し、民を救ってきた。


 中央に位置するは、デルハルト王国軍の生き残り、約500

 率いているのは、デルハルトの戦士トモナリ

 ボロボロで破損した装備の者も多く、けが人も多いが、その目はまだ死んでいない。


 中央右に位置するは、ドワーフ重装歩兵隊 約200

 率いているのは、西の領主、ミルドルトの弟、グドルト

 分厚い戦斧に分厚い盾、頑丈な兜に自慢の鎧、魔法すらはじき返すドワーフの精鋭部隊だ。


 一番右に位置するは、ゼノラウト北東軍と王都軍 約2千

 率いているのは北東の領主でありゼノラウト王家に連なる血筋の貴族、シュルト

 位の高い騎士も多く、華美な重装騎士や重装歩兵、長弓隊など、装備に優れた部隊だ。



 整列が完了すると各部隊の隊長は前に進み出て、国王たちの壇上から20歩ほど離れた位置で横一列に整列した。

 ヤマナは部隊長たちから、さらに5歩ほど前に出て、中央に立っている。




 夕暮れに赤く映える真っ白なドレスに、可憐なティアラをつけたテレシア王妃が立ち上がる。

 草原の風に金色の髪がなびく。


 少し、、震えている、


 そして、意を決して口を開き、声を風に乗せて、兵士たちに語り掛けた。


「私はゼノラウト王妃テレシア、

 今日、デルハルトの王女となり、ゼノラウトの王妃となりました。


 でも、中身はただの、、

 ただの何も出来ない小娘です。


 今、私の故郷だったデルハルトの人々は侵略する軍に苦しめられ、そして愛するこの国ゼノラウトにも危機が迫っております。


 兵士の皆さん、

 どうか、

 どうか、

 この無力な小娘にお力をお貸し下さい。


 愛するゼノラウトの人々を守り、

 愛したデルハルトの人々を救うための力をお貸し下さい!!


 おねがいします!!!」


 そう言って涙をこぼし、手を前に組み、兵達を前に深々と頭を下げる。

 夕日に煌めきながら落ちる少女の涙に、将兵たちの心が揺り動かされる。



「ヤマナ様」

 やがて顔を上げた王妃がヤマナを呼ぶ、


「はっ!」

 ヤマナが壇上に登り片膝をつく。

 白い刀、フィオナを抜き、つかを王妃に向けて渡す。


 王妃は刀を右手で受け取り、その刃をヤマナの肩に置いて一度大きく息を吸った後、草原に響き渡る透き通った声で、唱えた。


「フミオ ゼン ヤマナ!

 ゼノラウト王妃テレシアの騎士に任ずる!

 騎士として、其方の心にある正義を貫き、人々の盾となれ!」


 ヤマナが刀の刃に口づけし、宣言する。


「はっ、テレシア様の騎士として!

 この誓い!

 身命を賭して守ります!!」


 テレシア王妃から刀を受け取ったヤマナは一度納刀し、兵達の方を方を向く。

 そして全軍に向かい叫ぶ。


「今、この場にはゼノラウト、デルハルト、ヒューレの兵達が集まっている。

 ヒューレはすでにゼノラウトの友好国となった!


 これより、この軍はテレシア様の騎士団としてデルハルトの民を助け、敵を叩き潰す!!

 敵は暗黒騎士クロトと外道の軍!

 だが恐れるな! 今、テレシア様より暗黒を破る光を賜った!

 見よ!!」


 そう言ってヤマナは愛刀フィオナを抜き、頭上に掲げて魔力を注ぐ!

 フィオナの刀身は、真っ白に輝き、夕闇に覆われようとしていた草原を、夜明けのように照らす!


「「テレシア王妃、万歳!」」

「「テレシア王妃、万歳!」」

「「テレシア王妃、万歳!」」

 兵達が叫ぶ!




「申し上げます!」

 伝令がヤマナの下に騎馬で駆け寄り、馬から飛び降りて膝をつき、伝える。

 このタイミングはもちろん演出だが、伝令内容は本物だ。

「クロトの軍がデルハルト側の草原に布陣! その数、約1万!

 明朝よりレガトの砦に攻撃を仕掛けるものと思われます!」


「きたか!

 王妃テレシアの騎士達よ! デルハルト救済の軍よ!

 これより出陣し、レガトの砦にて、外道の軍を迎え討つ!


 テレシア騎士団! 出陣!!」


「「「うぉおおおおーー!!」」」


 ここにゼノラウト、デルハルト、ヒューレ3か国の兵士によるテレシア騎士団が結成され、決戦の地レガト砦にて暗黒騎士クロト率いるパトナ軍を迎え撃つべく、進軍を開始した。

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