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すっぴん召喚のヤマナさん  作者: 座敷犬昼寝中
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29. ヒューレ王都

 ※文中に極めて残酷な表現が入っています、ご注意ください。

 ケンタを倒したヤマナは、ヒューレ軍を武装解除させ、それを伴ってヒューレ王都へと向かっていた。王都まではわずか2時間ほどの距離であった。


 王都の門の外では、立派な身なりの青年が迎えた。


「ヤマナ様ですね、私はヒューレ王国第一王子、リカードと申します。」

 そう言って胸に手を当て、流麗なお辞儀をする。


「軍部の勝手な行動とはいえ、ゼノラウトへの侵攻及び、ヤマナ様に剣を向けたこと、誠に申し訳有りませんでした。 足りぬ事を承知でお願いします、私の首一つで許していただけませんでしょうか? 何卒、ヒューレの民にお慈悲を。」

 そう言って頭を垂れる。


「ゼノラウト北方軍総司令官、フミオ ゼン ヤマナと申します。」

 ヤマナも下馬して名乗る。


「リカード王子、国王は如何されましたか?」


「国王は、、

 恥ずかしながら、先ほど国を捨てパトナに逃げました。

 パトナと組んでデルハルト侵攻を開始し、

 ケンタにヤマナ様を倒せと命令し、

 ケンタが敗れたと聞くや、逃げ出す、

 我が父ながら恥ずかしい限りです。」


「リカード王子、貴方は私に、貴方を討てと言われるのか?」


「正直もっと生きて居たいのですが、それで我が国の民が救われるなら。」

 ヤマナはリカード王子の目をじっと見る。

 本気だ、、


「王子の首はいただけません。

 が、貴方にはケジメをつけて頂きたい。」


「ケジメとは?」


「この国を統治者の居ない無法地帯にするつもりはない。

 貴方が王位についてください。


 デルハルト侵攻軍を引き上げて欲しい。そしてゼノラウトと友好を結ぼう。

 デルハルト、パトナの国境を封鎖し、パトナ軍が通らないようにして欲しい。もちろんデルハルト侵攻を命令し国を裏切って逃げ出した者達も帰ってこないように、だ。


 私の条件はそのぐらいだ。私は別に賠償金や領地は要らない。ただ、この戦争が終わったら、デルハルトの民には償いを。」



 リカード王子は驚く。


「それで良いのですか? それではあまりにも条件が良すぎるのでは、、」


「ああ、あと頼みがある。これを。」


 大きな白い包みを取り出す。


「これは?」


「俺と正々堂々と戦った、ケンタの首だ。」


「!!」


「最後までヒューレの民の事を思っていたよ。丁重に葬ってやってくれ。」


 リカードは震える手で首の包みを大事そうに受け取る。


「デルハルトで民を虐殺していることを『外道の軍』呼ばわりした時、本当に苦しそうな顔だった。心底嫌だったんだろうな、パトナ軍と(くつわ)を並べて、民を苦しめたことが、、」


「ケンタ殿、、、

 すまない、

 本当にすまない、、


 われら王族の愚かな命令で、、


 ううっ、

 うぁぁぁあ、」


 リカード王子がケンタを抱きしめながら崩れ落ち、号泣する。


 ひとしきり泣いた後、リカードはスックと立ち上がった。


「私は、決めたぞ! 王になる!

 王になって、ケンタが守ろうとしたものを、私が守って見せる! 良いな!」


 ヒューレの兵達が一斉に敬礼する。


「ヤマナ殿、どうかこの愚かな王の、師になって欲しい!」


「リカード陛下の師になどとんでもない、私はそんな大層な人間では有りません。

 ですが、友であれば喜んで。」


「おお、ありがとう、わが友、ヤマナよ!」


「わが友、リカード、こちらこそよろしく!」


 そう言って二人は硬い握手を交わす。



「ヤマナ殿はこれからどうされるので?」


「もちろん、デルハルトの救援に向かいます。」


「であれば、道案内に我が国の者をお連れください。

 ディーエ!」


「はっ!」


 国境で会ったディーエだ!


「ヤマナ殿の道案内をして差し上げろ!」


「はっ! リカード様!

 ヤマナ様、回答ができず、申し訳ありませんでした!」


「いや、いいけど、今までどうしてたんだ?」


「ヤマナ殿、ディーエを許してやってください。ヤマナ殿に誠意を尽くすべきだと前王の前で説き、牢屋に入れられておったのです。」


「そうか、悪いことしたな、ディーエ、」


「いえ、ヤマナ様は何も! それより、我が師団より、精鋭の騎兵50、ヤマナ様のもとで働かせていただくことをお許しください!」


「いや、こちらこそよろしく頼むよ、ディーエ、頼りにしている。」


「では、向かいましょう! デルハルト南部の平原まで、一日で到着して見せます!」


「そうか、では半日で行こう! 俺が風魔法を使う!」


 こうしてディーエの案内で、テリクスとディーエの騎馬200がヒューレからデルハルト南部の平原に向けて、ヤマナの『追い風』に乗った疾風の進軍を開始した。

 そして半日後、急行したデルハルト南部の平原でヤマナ達が見たものは、、




 全身血だらけになって、たった一人で数千の民を守ろうと奮戦するトモナリの姿だった。


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