1. 残念召喚
「やった! 召喚成功だ!」
「おお、おお、ついに召喚戦士が!! これで我が国も救われる!」
白い建物の中で、歓喜が湧き上がる。
ここは小国にある神殿、と言っても小さな教会程度の大きさで、そのことからも国力がうかがえる。
集まっている100人ほどの国の関係者たち。
祭壇が設けられ、真っ白い服を着た神職らしき4名が祭壇を囲んで祈っている。
光が祭壇の中央に集まり、
やがて縦長になり、人のかたちを成していった。
そして現れたのは…
剣も杖も持っていない、とても戦う格好には見えない中肉中背のくたびれたスーツのおっさんだった…
「はぁ~…」
白い口髭、赤いマントに小さな冠をかぶった、いかにも王様という感じの背の低いちょっと小太りなじいさんが、盛大なため息をついてがっくりする。
「今度はただの村人か、 我が国では、屈強な戦士や華麗な魔法使いを呼ぶことはできぬか…」
と俺を見てつぶやく。
なんと失礼なやつだ、と思って周りを見回すと、みんな一様にがっくりしている。
なにこいつら?
おれ帰っていい?
ってどこへ?
一人ツッコミを入れつつ、状況を確認する。
空気は、ある。なきゃ即死しとるか。
言葉は、わかるみたいだ。なんか俺をディスるつぶやきがあちこちから聞こえる。
服は、いつものくたびれスーツ。
体は、正常。ぐしゃった車の中の俺の体は『みせられないよ!』って感じなんだろうけど、今は擦り傷もない。
手をグッパしてみる、うん、動く。
周りを見渡す。
「とりあえず、この状況について、いろいろ説明してほしいのですが?」
と一番近くにいる白いローブで白髪のじいさんに話しかける。
「あ、、は、はい、ではこちらへお願いできますじゃろうか?」
と小さな部屋へ案内された。
他の人たちは「はぁ、終わった…」とか言いながら、ぞろぞろと出口から出ていくのが見えた。
テーブルをはさんで白いゆったりとした服を着た、白髪に長い白ヒゲのじいさんと向かい合って立つ。じいさんの隣にはこれまた白い服の女性の神官がいる、アラサーぐらいの栗毛の美人さんだ、スタイルもなかなか。二人とも、ちょっとホリは浅めな西洋系の顔立ちだ。
「この『ゼンの神殿』で神官長をやっておりますロドニーですじゃ。」
「神官のエリスと申します。」
二人がおじぎをして挨拶をした。
「はじめまして、ヤマナと申します。よろしくお願いします。」
ビシッとおじぎをして挨拶をすると二人とも目をまん丸にする。
お、懐に名刺がある、一枚ずつ丁寧にお渡しする。
「驚きました、召喚した異世界人たちは尊大な態度の方々が多いというのが一般的なので…」
「やはりあなたたちに呼ばれたのですね。 よろしければ状況をご説明ください。」
てきぱきと話を進めていく。
「まずはこの国について、この国はアルストア大陸にあるゼノラウト王国と申しますのじゃ。
アルストア大陸には大小の国々が20ほどありまして、ゼノラウト王国はその中の小国の一つですじゃ。」
なるほど、弱小国なのね、
「召喚の理由は、国を救ってもらうために異世界人のお力を借りること。お察しの通り、窮したがゆえに召喚の儀式を行いましたのじゃ。召喚の儀式を行うには多くの魔力と資材を必要とします。ゼノラウト王国の国力ではそんなに頻繁には行えないのですじゃ。」
で? あえて召喚の儀式を行ったのは?
「この国は国境の紛争に負け続け、もうぎりぎりなのですじゃ、そこで打開策として最後の召喚儀式を行ったのですが、、」
「で、残念なおっさんが召喚されてがっくりと」
「「あ、いえいえ、そういうことでは… 」」
ロドニーとエリスがぶんぶん首を振るがそういうこととしか思えん、
中小企業戦士なめんなよ…
「いくらなんでも一人ぐらい召喚したところで、戦争には勝てないのでは?」
「そういうことはないのですじゃ! 例えば隣りのデルハルト王国は我が国と同じ小国でしたが、召喚戦士トモナリの力でメキメキと強国になりつつあるのですじゃ!」
と言ってA4ほどの肖像画を見せるが…
なんじゃこりゃ? モン〇ンか?
必要以上に筋肉を強調したような肉体、不必要にゴテゴテした鎧、のわりに隙間だらけ、武器はばかでかい剣、
え? これが普通の召喚戦士なの? 俺、すっぴんで召喚されているんだけど?
「ヤマナ様はこのトモナリのような武器とかお持ちではないのですかな?」
「持っているように見えますか?」
「いえ、、もしかしたら我々にはわからない武器を持っているかとは思ったのですが、、」
「残念ですが、武器など何も持っていません。ただの平凡ないち市民です。」
「そうですか、、ところでヤマナ様にはこの戦士トモナリと戦ってほしいのですじゃ。」
「はぁ?」
「実は3日後、デルハルト王国との決闘がありまして、、我が国の砦がかかっておりますのじゃ。」
「…くれてやれば?」
だんだんと応対が雑になって素が出てきたな、俺
「無理ですじゃ! その砦からこの都までは馬で半日の距離!
砦が取られれば我が国はもはや…」
「いやいや、勝てないとわかってんでしょ!
くれてやんなさいよ、俺も死なずに済むし!」
「万に一つ、いや億に一つの可能性に賭けさせてほしいのですじゃ!」
…このやろう、、俺の勝率0.000001%とか言いやがった。
ちょっと腹が立つ。
「…まあいいわ、で、この後どうすればいいの?」
「おお! やってくださるか!
では別室に『力読の石』がありますので
まずは能力を図らせてくだされ!」
…やってやんねーよ、スキ見てとんずらしてやる。
まあその前に能力計るぐらいはいいか。




