18. ヤマナさんは最近変だ
最近あの人が変だ、、
いえ、無茶で変な人なのは知っていたけど、最近は独り言を言うようになった、
それも実に楽しそうに!
大丈夫かしら、心配だわ、、
「エリス! 肉持って来たぞ! 子供達に食わせてやってくれ! お昼はバーベキューだ!」
「ありがとうございます! きっと喜びますよ!」
「じゃあ、バーベキュー用のマキ割ってくる!」
ヤマナさんは、そう言って教会の裏のマキ置き場に行った。
「いやいや、フィオナにマキなんて切らせられないよ、斧で割るから。」
フィオナって誰!!
女の人?!
こっそり覗いてみたけど、、
誰もいない!
心配だ、、
「「「りょーしゅさま、いただきまーす!」」」
「おう! ほら、肉食え! 肉!」
良かった、子供達も楽しそうだ。
でも、
気になる、、
「ヤマナさん、ところで」
「ん? 何だい? エリス?」
「フィオナって誰ですか?」
何、ド直球で聞いてるの、私!!
「え?」
固まるヤマナさん、
やっぱり! 女の人なのね!
ヤマナさんは頭をポリポリかきながら、
「この子だよ。」
と腰の黒い木刀を指す。
「え?」
「新しい刀さ、ドワーフのフィオガルドが作った、フィオナさ。刀だけど女の子らしい。」
また変なことを、、
よく見ると、、 え?
わかる! 木刀じゃない! 魔力?
いえ違う、もっと意志を感じるような、気配!
もしかして、、精霊?
間違いなくこの子がフィオナだ!
「フィオナさんこんにちは。」
私があいさつをすると、ぽやっと光ったような。
「ヤマナさんは無茶ばっかりするから、お願いね。」
力強い気配が、『任せて!』と言った気がした。
バーベキューから数週間後、王都の神殿からの帰還命令が届いた。
私がテリクスに来て1年あまり、復興もひと段落ついたろう、後任者を送るので代わるように、との事だった。私は、もっとここに居たかったけど、神殿の命令には逆らえない。後任が着き次第、直ぐにここを発つことになった、、
そして、その日が来てしまった。
「初めまして、エリスさん、ヘレンと申します。引き継ぎ、よろしくお願いします。」
ヘレンは神官見習い、礼儀正しい良い子だ。
「よろしくね、ヘレン」
そう言って引き継ぎを進めて行く。
「ここの領主さん、すごい人らしいですね。デルハルトの戦士に大きな魔獣まで倒したって。怖い人なんですか?」
「りょーしゅさま、こわくないよー」
「やさしーよー」
子供達が答える。
「え? そうなの?」
「いっつも、アメとか、おかし、もってきてくれるよー」
「こないだ、でっかいにく、もってきたよー」
「そうなんだ、優しい方なんですね。」
「エリスねーちゃんに、あいにきてんだよー」
「カレシだからー」
子供達が笑う、でも、今日の私は笑えなかった。
子供達にも、、、帰還の話はしていない、、
「エリスさん、領主様に紹介していただけませんか?」
「2、3日、出かけるといってたから、今日は紹介できないわ、後で紹介状書きますから、、」
私は、会えない、
会ったら、、きっと決心が鈍るから、
王都に帰る話も、、 とうとう言えなかった、、
荷造りをしていたら、騎馬の音が聞こえてきた、、
鼓動が、、早くなる、
あの人であって欲しい、 いえ! 違ってて欲しい、、
どっちなんだろ、私、、
「エリス! 帰ったぞ!
お土産あるんだ! 子供達と食べよう!」
あの人だ!
馬上の姿を見上げながら、、
何か言おうとして、
言えなくって、、、
涙がツーとこぼれた、、




