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すっぴん召喚のヤマナさん  作者: 座敷犬昼寝中
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17. まどろみ

「できたぞ! ミスリルをベースにした、最高の『精霊魔鉱石』だ!!」


 産まれたばかりのあたしは、まどろみの中で喜びの声を聞いていた。


「博士!! やりましたね!」


「ああ! これで最高の剣が作れる! 魔族の作る『暗黒剣』なぞ恐るるに足りん!

 今までは鋼をベースにした精霊魔鉱石だったが、これはミスリルベースだ! 魔法との親和性が素晴らしい!!」


「ミスリルの剣と、魔法をブーストする『精霊の杖』の両方の武器を装備するような感じですか?」


「それだけではないぞ! 魔法剣であれば、その威力は数十倍にもそれ以上にもなる!! そして使い手と一緒にその剣は成長していくのだ!」


 そうなんだ、 あたし、剣になるんだ、


「よし、これは厳重に保管して置こう! 最高の鍛治師を見つけるまでは!」


 そしてあたしは、産まれてすぐ、眠りについた、、




「うわぁああ! 魔族!!」

「ぎゃああ!」


《脆弱なニンゲンどもよ、、無駄なあがきはやめて、

 死ね!》


 あたしは喧騒と血しぶきの中、揺り起こされた。


《ほう、ミスリルが結構あるじゃないか。もらって行こう。 ん? この白い石は?》


 博士たちを殺した魔族は、あたしを持ち上げると、


《なんだ、不純物入りの鉱石か、イラン。》


 ぺっ、

 投げ捨てた、、


 ---ヒドイわ、、


 あたしは暗い部屋で転がったまま、また眠りについた、

 たぶん、何百年も眠った、、




 ある日、あかりに気がついて、目が覚めた。誰かがあたしを覗き込む。


「うーん、これは? 鉱石か? いくらかにはなるかなぁ? 持って行ってみよう。」


 こうしてあたしは外の世界に出ることができた。


 明るい光、まぶしい! でも、あったかい、初めて見た! お日様と言うらしい。

 あたしを連れ出した人たちはその光を見ると安心し、その光を浴びると元気になった。

 いいなぁ、あたしも、お日様みたいになりたいなぁ。

 みんなを照らして、元気づけられる、そんな風になりたいなぁ、、



「おやじ、ちょっとこいつ見てくれよ。いくらぐらいになる?」


「うん? 鉱石か、どれどれ。うーん大体これぐらいかな?」


「なんだよ、これっぽっちかよ。」


「ミスリルにしては不純物が多すぎる。 色も真っ白に濁ってるじゃないか。」


「ちぇっ、それで良いや、、あんまり価値無かったな、これ。」


 あたし、濁ってるんだ、

 価値、無いんだ、、

 泣きたくなった。。


 ---悲しい、、


 悲しんでいるうちに、また眠りについた、

 何年も何十年も眠った、、




「ん? これは?」

 ヒゲもじゃのおじさんがあたしに触った。


「?? なんじゃ? この石は?」

 やっぱり変なんだ、、あたし、


 ---恥ずかしい、、


「!!

 ……おい、オヤジ、この石いくらだ?」

「ん? ああ、それか、、白く濁った不純鉱石だよな、、 ええと、銀貨5枚で良いぞ。」

「そうか、、買った!」


 そうしてあたしは、5日分の食費ぐらいで買われて行った。



「これは良い石かもしらんぞ、なあ、石よ、聞こえるか?」


 ---なあに?


「おお、反応した! わしには分かるぞい! よし、お前はウチのとっておきだ!」


 そうしてあたしはまたしばらくの間、眠りについた、、




「喜べ! 石よ、ついにお前を打ってやる時が来たぞ!」

 良かった! あたし、やっと剣になれるんだ!


「お前を『ニホントウ』にする!」

 えっ、剣じゃないの?


 ---残念


 だけどこれがあたしに与えられた使命、精一杯頑張ろう!



 キィィン! キィン!

 キィィン! キィン!

 キィィン! キィン!


「なんと澄んだ音じゃ! 打つ方も楽しくなるわい!」

 キィィン! キィン!

 キィィン! キィン!


「よし!打ち上がった!」

 シュワーー


 ああ、良い気持ち、、液体の中に入れられて、火照った体をさまされる、、、


「よし!これを研いで、、」

 シャッ、シャッ、シャッ、

 シャッ、シャッ、シャッ、


 長い事、研ぎをかけられた、、、


「おお! 美しい、、」

 裸を見られて、、


 ---恥ずかしい!


「待っていろ、今、(さや)(つか)を作ってやるからな、」

 カチャカチャ、グッ、コンコン、、

 ヒゲのおじさんはあたしの体に色々取り付けていく。


「良し! 『ニホントウ』よ、よく聞け! 今からお前さんを、お前さんの主人(あるじ)となるべき人のところへ連れて行く! その方はこのテリクスの英雄だ! しっかりお仕えするのじゃぞ!」

 え?! あたし、すごい人のところに連れてかれるの?

 あたし、ねぼすけだし、価値ないし、自信ないし、、


 ---こわい。。




「出来たのか?!」

 その人は叫んだ。

 その人はあたしを手に取ると、振った。


 ヒュッ!


 えっ何?

 あたし、今すごく気持ち良かった。

 これが刀としての喜び?

 

 つかから力が流れ込んでくる、

 ああ、なんだか


 ---しあわせ、


信夫しのぶ、』

 今度はその人が物凄く存在感を薄くする。

 わかったわ、あたしもなのね、がんばる。

 その人と同化して、闇にとけ込む。


『追い風!』

 次にその人は風を作ろうとした。あたしにも力を注いでくる、こうね、

 ビュン! と風が巻き起こり、その人とあたしを運ぶ。


 ---楽しい!


『稲妻あ!』

 その人が急に叫ぶ!

 そして一気に流れ込んでくる大きな力!

 ちょ、ちょっと、ちょっと!!!

 いきなりすぎるわ!!


 ドグワァァアン!!


 ---すごい!!


 寝ぼけていたけど、今ので完全に目が覚めたわ!! 何、今の! あたしがやったの?! 力が余ってまだパチパチ言っているわ、あたし。


「さて、名前どうしたものかの?」

「フィオガルド、日本刀は作者と同じ名前をつけることに、、」

 バチッ!


 ---失礼しちゃうわね!


 そんな名前、嫌よ! 『ガ』とか『 ド』とか、ごつい感じの濁点使われるの、絶対嫌!!



「あいたっ! なんだ怒ってんのか?」

「たまげた! 領主、その子、どうやら女の子らしいワイ、、」


「……じゃあフィオガルドの娘ということで、

 『フィオナ』でどうだ?

 『白い』とか『美しい』とかいう意味もあるんだ。」


 ---嬉しい!


 フィオナ! 良いわ!

 白い、とか、美しい、とか、


 あたしのこと、美しいって言ってくれるんだ! 嬉しくって、嬉しさがあたしから光となってこぼれていく!


「今日からよろしくな! 『フィオナ』」

 ---こちらこそよろしく! あるじさま!


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