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すっぴん召喚のヤマナさん  作者: 座敷犬昼寝中
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15. 道場へどうじょー

「でやぁー!」

「なんのぉー!」

 カン!、コン!、カカン!


 ……騒がしい、、

 まぁ、練兵場に活気があるのは良いんだが、どうもこの世界の連中は、勢いでなんとかしようとする。

 ちょっと見てやるか、、


「うりゃあー!」

 ひょい、ぴしっ!


「とおー!」

 ひょい、ぴしっ!


「……あのなあ、なんでそんな大ぶりなんだ? お前ら」


 集団でかかってきながら、一本も俺に当てられず、疲れて倒れた兵士たちを見ながら言う。


「ハァ、ゼェ、て、敵の甲冑を割るためです!」


「いやいや、こないだのデルハルト軍もフルプレートなんて、数える程しか着とらんだろ? 俺も今そんなもん着とらんし、、そもそも硬いところ狙ってどうする? ちょっとそこのお前、真剣で振ってみろ。」


「は、はい!」


 ブォーーン!


「……なんだ、そのメリハリのない力みっぱなしのフルスイングは、、、

 あのなあ、剣ってのは当たる瞬間に絞るんだよ! それ以外はリラックスするの。」


 スッ、パァン!

 木刀でレンガを割ってみせる。


「「おおー」」


「な? インパクトの瞬間が大事なんだよ。あと、そこのお前、ちょっと俺の前に立て。」


「は、はい」


「今から2本振る、俺に隙があったら体当たりしろ」


 ヒュオーン!


 さっきの兵士のマネをして、目一杯ケサ斬りをフルスイングで振り抜くと、兵士がタックルしてきた。


 ドンッ、


 タックルを吸収し後方へ飛ぶ、『飛び受け身』で回転すると、パッと剣を構える。兵士はそれ以上追撃できない。


「2本目だ、いくぞ」


 ヒュッと同じようにケサに斬る、 が、今度は腰の高さでピタッと切っ先を相手に向けた状態で木刀を止める。振り抜かない。


 兵士はタックルに入ってこれない。


「な? わかったか?

 1本目はお前らの振り方の真似だ


 1本目はなんで体当たり出来たか、

 2本目はなんで入ってこれないか、

 あとは自分で考えろ。


 今日は体使った練習はいいから、みんなで話し合って考えてみろ。無駄な動きの練習なんぞ、下手になっていくだけだ。ちゃんと解けたら明日から教えてやる。」


「「ありがとうございました!!」」


 兵士達が直立して礼をする。

 うん、これだけ真面目なら、すぐに上達するだろう。


「頑張れよ、期待してる。」


 それだけ言って練兵場を後にした。




「兵の育成に、計画とかあるのか?」

 砦の執務室で仕事しながら、副官のデメトリオに聞いてみる、


「いえ、具体的なものはないですね。毎回、そこで一番上位の兵が、やることを決めて訓練してるようです。そういえば練兵場に行かれたそうですね、いかがでしたか?」


「まっっったく、ダメだ。技とか戦法とか言う以前の問題だとは思わんかった。明日から俺が見て良いか?」


「ぜひお願いします! トモナリや魔獣を打ち破ったヤマナ様の剣に皆、憧れております! 兵達も喜びますよ!」



 次の日、、、


「なんだ、この人数は、、」


 おいおい、千人ぐらいいるぞ、俺は練兵場ではなく、砦前の広場に連れて来られていた。


「北西と北東の砦を除いた常駐兵6百と、非常駐兵5百を集めました!」

 と、ドヤ顔のデメトリオ。


「……非常駐兵は普段の仕事どうしたんだ?」

「休ませて動員しました!」


「アホかー! テリクスの生産力落ちるだろうが! 守備兵まで動員しやがって、町の警備もスッカラカンじゃねーか!」

 怒られて、泣きそうな顔の副官、


「まあ、今日は初回だからいい、街中で大規模練兵やっている最中に喧嘩売ってくるやつもおらんだろう。 昼間働いている連中のために、明日から3日に1回、夜も指導してやるよ。 ほら、早く号令かけろ。」

「は、はい!」


「諸君! 本日より『剣神』ヤマナ様に剣の指導を行っていただくことになった!」

 ブフォォ!

 ……お茶ふいた、やめてくれ


「また、昼間、仕事や任務のあるものは、明日より夜間に教えていただけることになった!

 皆、訓練に励むように! ではヤマナ様、お願いします!」


 はぁ、やるかぁ、

 なんかステージみたいな一段高いところ作っているし、ここでやれと、、


「あー、みんな、張り切っているところ悪いが、頑張んなくていい。肉体的に、と言う意味でだ。不真面目になれ、というわけじゃない。

 俺の剣は9割の『ゆるみ』と一瞬の『絞り』が基本だ。

 そこのお前、打ってこい。

 全力でだ。」


「!! は、はい、うぉぉお!」


 ひょい、と『入り身』で避けて後ろに入り、兵士が振り向いた瞬間に、コツンと(ひたい)をうつ。


「な、ほとんどゆるみっぱなしで、いいんだ、ただし気持ちは抜いてないぞ。

 今は手加減したが、実際は打つ瞬間だけ、ギュッ、と絞る。

 今度はそこの5人、俺を囲んで構えろ。」


「「「はい!!」」」


「いつでもいいぞ、」


 と、言いつつ、一人に、打つと見せかけた気をぶつける。


 ぶつけられた兵士はフライング気味に打ちかかる、ので、振りかぶった剣の内側にスルリと入ってノドを突く、もちろん怪我しないよう手加減して。

 そこから反時計回りに、スルスルと一人ずつ、脇、首すじ、内股、面、と木刀で斬りながら兵士の間を抜けていく。


「そこの兵士、今のを見てどう思った?」

 見ていた一人に問いかける。


「凄いです! いずれも真剣なら致命傷です!」

「違う!!」


「!?」

 びっくりする兵士。


「他の国の将軍なら、満点の回答だろうよ、

 だが俺は違う。

 切ったことより、生き残ったことを重視しろ。


 いいか、最初に言っておく。


 俺にとっては、お前達が

 一人敵を斬り殺してくることより、

 一人生きて帰ってくることの方が

 はるかに価値があることなんだよ!!」


「「!!!」」


「優しいこと言っているつもりはないぞ!

 むしろ何より厳しく、辛く、難しいことだ!

 生きて帰って、また自分の信じるもののために戦え!


 テリクスのために生き残れ!

 家族のために生き残れ!

 何度も何度も戦って生き残れ!


 俺の兵になった以上、安易に死ぬことは許さん!

 生きるために必要な技は、俺が教えてやる!

 いいな!!」


「「「はいっ!!!」」」


 ……俺は、あっちの世界では生き残れなかったからな、、悪いな、お前らに押し付けて、、


「よし、ではまず、右の『袈裟(けさ)斬り』から。

 振りかぶり、そこからまっすぐ剣を立て、ここから相手の左肩に入る。そして腰の位置に下りて来た時は剣の先が外に逸れるのではなく、相手の方に向けるように。気持ち的にはここからすぐ『突き』を入れる感じだ、絶対に剣先を自分の体の外にそらすんじゃないぞ。

 やってみろ!」


「「「はいっ!!」」」


 こうして俺の練兵が始まった。

 始めたらついつい熱くなってしまった。


 早いとこ上手いやつ出て来んかなー

 そしたらそいつに任せて俺は楽が出来るのに、、、




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