143. テレシア艦隊
「ハルバルト団長代行! 『グランデルハルト』と『キングリカード』への人員並びに物資の積み込みが完了しました!!」
「よし! 時間通りだな!
予定通り出航準備に取りかかれ!!」
「「「ははっ!!」」」
ヤマナが『地を砕く脚』と交戦する数日前、、
ゼノラウト王国の北にあるヒューレ王国の港町で、ゼノラウトを出港したテレシア王妃とその軍は、セルンドが率いるデルハルト軍、ディーエが率いるヒューレ軍と合流していた。
「ホッホッ、テレシアよ、気をつけるのじゃぞ」
デルハルト王が目を細めながら娘の出陣を見送る。
「私も行きたいところなのだが、後方支援に専念させて貰うことにした。頼みますよ、テレシア様」
ヒューレ王リカードがテレシアと握手する。
「お父様、リカードさん、2人ともありがとう。行ってきます!」
「デルハルト軍とヒューレ軍を加え、テレシア騎士団の全軍が揃った!!
旗艦『クィーンテレシア』に騎士団旗を掲げよ!!
テレシア艦隊、発進!! 」
テレシア王妃の号令で紺地に暁の太陽を描いた旗が『クィーンテレシア』に掲げられる!!
そしてヒューレの港からテイヤマに向けて4隻の船が出港していった。
沖に出た4隻の大型船は単縦陣を組み、一列になって北へと進んでいた。
アルストア大陸東北部諸国の沿岸を北上し、その後西へと転進してテイヤマへ向かう。
先頭は『ゼノラウトⅧ(エイト)』
乗っているのは、ゼノラウト王国のガリア地方の領主ギルファングと獣人部隊、それにグドルトが率いる鉄壁のドワーフ隊にゼノラウト王都軍から選りすぐった精兵たち。
2番目に続くのは『グランデルハルト』
乗っているのは、デルハルト王国の一領主にして重臣であるセルンドと、戦士トモナリ、そして彼と死線をくぐり抜けたデルハルトの精兵たち。
3番目に続くのは『キングリカード』
乗っているのは、今やヒューレ王国の将軍となったディーエと、彼が率いるヒューレの精兵たち。
そして最後尾に旗艦『クィーンテレシア』
ハルバルトをはじめとしたテリクスの精鋭にヤマナの弟子たち、そしてロドニーやエリスを始めとしたゼノラウトの神官たちが乗っている。テレシア王妃もこの船に乗っていた。
「アユミちゃん、船の速度を上げる方法があるって?」
「はい、テレシア様、精霊の力を借ります。」
「精霊?」
「はい、私の『アズリ』ちゃんは水の精霊だし、シェリーの『ビリディエット』は風の精霊です。海の流れと風の流れを読み、船を押してもらいます。」
「え? そんなことができるの?」
「はい、出来ます、これで計算では3週間の船旅が10日になります。」
「うーん、だけど、スピードが上がると危険じゃない? 船同士がぶつかったり、岩礁に突っ込んだり。」
アユミの提案に少し心配するエリス。
「そこは私の『盤面掌握』の出番です。地形を読み、各船の船長と連絡を取り安全に進めます。」
「……よし! わかったわ!
何かあったら私が責任をとる!
アユミちゃん、おやんなさい! 」
「ありがとうございます!
テレシア様! 」
「ロイス、今から私が精霊『アズリ』を、シェリーが精霊『ビリディエット』を呼ぶわ。
あなたは精霊にお願いして、水と風を導いて船を進めて欲しいの。
いけるよね? 」
「うん! 『アズリ』ちゃんと『ビリディエット』ちゃんはいつも一緒に遊んでいるから大丈夫! 」
艦橋の先で何やらブツブツ言って始める、アユミ、シェリー、ロイスの3人、
やがて船の後ろからまっすぐ風が吹き始め、ザバザバ波を切っていた舳先からは音が消えた!
スーー、と海面を滑るように加速を始める4隻の大型船、
雲が、遠くの大陸沿岸の風景が、ものすごい速度で後ろへと流れていく!!
「うふふ、うふふふ、
待っていてくださいね、フミオ様!
今すぐ助けに行きますからね、、」
ヤマナがピンチであることを前提としたアユミの妄想、
妄想とはいえ、あながち外れてはいないところがまた恐ろしい、、、、
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