142. テイヤマ城攻防戦 足長
「フン!」
『名前持ち』の魔族『地を砕く脚』が、長い脚で地面ごと蹴り抜いてくる!
「ちぃっ! りゃあっ!!」
奴の蹴りの内側に入り、軸足に斬りつける!!
ガキィィン!
硬ってえな! チキショウ!
すでに『龍王の気』を発動し、聖の気を纏わせたフィオナで斬りつけてもこれかよ!
蹴りの外側は蹴り飛ばされた土砂と衝撃波でビスラ兵と魔獣達が吹き飛ばされ、潰され、大惨事になっている。
その場を動くことを許されていないのか出来ないのか、ビスラ軍の兵士達と魔獣達はその場に伏せたままなのだが、、俺と奴が数合打ち合っただけで、地割れに飲み込まれ、吹き飛ばされ、壊滅状態になってきている、、、
こいつの蹴りの波動はトンデモねえな、、と思えば、
「稲妻ぁ!」
スッ、トットットン、
俺の技を軽量級を思わせる様なバックステップで軽やかに避けやがる!
「少し、力を入れるぞ、ヌゥン!」
ゴバアァァァアアアア!!
テイクバックした奴の足が急激に膨れ上がり、真っ正面から真っ直ぐ蹴って来やがった!!
蹴りの波動が、土砂ごと襲いくる!!
早くて範囲が広い!
回避の時間は、無い!!
「真っ向!!」
真っ正面への斬撃を放ち、波動を切り裂く!!
致命傷になる波動は切り裂けたが、、
「ぐぁぁあああ!!」
巻き上げられた土砂に巻き込まれ、城とは反対方向の森へと吹き飛ばされる!
奴の波動を切り裂いたからだろう、俺の左右は幅10m、深さ3mほどにえぐれていた。
「ほお、あれを凌ぐか! では次は本気で蹴るぞ!!」
「!!」
やべえ!!
この位置、ティーアップされたゴルフボール状態じゃないのか?!
早い!!!
一瞬で俺の右横へと詰めてくる『地を砕く脚』!!
えぐられた地面に軸足を置いて踏み込み、蹴り足を水平に、、
って、ボレーシュートかよぉぉお!!!!
急激に巨大化し、膨れ上がる奴の足で辺りが暗くなる!
何だこのでかさと魔力密度!
大型タンクローリーの様な脚が横になって迫ってくる!!
「うおおぉぉぉお!!」
回避不能! 逆らってはダメだ! 龍王の気を全開にして体の強度を上げ、フィオナで受けながら後ろへ飛ぶ!!
ゴッ!! バアアアアアアァァァアアンンン、、、、、、
凄まじい力の直撃を受け、周りのすべてのものと一緒に吹き飛ぶ!!!
「ぐう、ううう!
フィオナ!! 無事か?」
ーーあるじさまこそ!
衝撃波と魔力の渦と土砂と森の木と、大地を切り裂くいろんなものの奔流に巻き込まれながら飛ばされ続ける!!
ーーあるじさま! あるじさま!! 気をしっかり!!
「ぐっ
、
やっ
べぇっ
、
っ、
、 、
、
、
ぁが、
、
ぐ、
、
、
、
くそ、
、」
「もう終わったか、、つまらん、この程度か、」
「『アシ』様、城攻めを再開しますか?」
「いや、興を削がれた。
今日のところはこの城を貰うことにしよう。
攻めるのも面倒だ、退去勧告をしてさっさと去らせろ。」
「ははっ!!」
「先生!!」「ご主人様!!」「ヤマナ様!!」
我々は城壁の上から先生の戦いを見ていた。
先生が森へと蹴りこまれた後、足長の魔族も一瞬で森の中に消え、そしてすぐに大爆発が起きた。
森は爆発の中心から数百メートルにわたって扇状に木々がなぎ倒され、さらにまっすぐ数キロにわたって木々はもちろん、地面まで裂けていた。
凄まじい威力だったのであろう、真っ直ぐ伸びた帯状の破壊の跡からは、黒煙と火の手が上がっていた。
そして、、
森の中からあの足長の魔族がゆっくり歩いて出てくる!
ビスラ軍の魔獣たちは更に震え上がり、地べたにくっつくように平伏していた。
「くそっ、先生!!」
「待つニャ!!」
城壁から降りて先生を探しに行こうとするとレパーラに止められた。
「なぜ止める!」
「頭を冷やすニャ!!
ご主人様はこの戦いの後、すぐにあたいが探しに行くニャ!
それより目の前の敵に集中するニャ!」
「しかし先生が!!」
「守りのかなめのケビンが抜けたら、イシュナ様や兵士たちは誰が守るニャ!!
自分の感情でご主人様のためだから、と思って動くんじゃニャく、ご主人様が本当にやって欲しいと思っていることをやり遂げるほうがご主人様のためだニャ!
ケビンの師匠はこの人たちを放っておいて俺の元へ来い、とケビンに言うと思うのかニャ?」
「……先生は、先生なら、、、
この人達を守れ、と命令するはずだ、、」
「その通りニャ!
一番弟子なら、わかるはずニャ!」
「レパーラは、、若いのにすごいな、、」
「年齢は関係ニャイニャ、
あたいは、ご主人様に命を救われたニャ、
あたいも、仲間も、国も、みんな救ってもらったニャ。
だからご主人様にすべてをささげる覚悟ニャ、
そしてその意味を毎日考えているニャ、、」
敵の兵士が一人、城門前にやってきた。
「テイヤマに告ぐ!!
全員、今すぐにこの城を立ち去れ!
明日の朝までは追撃をかけぬ!
もし去らぬ場合は、、
総攻撃をかける!!!」
「?!! どういうことだ?」
「罠なのか?」
ざわめく兵達。
「どちらにしろ、ご主人様がいない以上、あの足長の化け物には勝てニャイニャ、、
城壁もボロボロに破壊された状態で、足長と共にビスラ軍の総攻撃を受けたら全員確実に死ぬニャ、
イシュナ様、どうするニャ?」
「……申し出を受けましょう。ここで全員死ぬわけにはいきません、、、」
イシュナ様は真っ青な顔で、先生が飛ばされたであろう方角を必死に見つめながら答えた。
味方の兵士が返答する。
「わかった!
城を明け渡す!!
撤退まで1時間待ってくれ!!」
「ダメだ!!
『アシ』様を待たせるわけにはいかぬ!!
今すぐ反対側の門から走って出ていけ!!
さもなくば今すぐ総攻撃をかける!」
「全軍撤退!! 速やかに西門より退却せよ!!」
イシュナ王女の声が響き渡る!
兵士たちは、傷ついたものには肩を貸しながら、速やかに撤退を始めた。
ビスラ軍は東門より入ってはきたが、足長と先生の戦いに巻き込まれて壊滅状態であったためか、追撃は一切なかった。
西門から出たところで、
「ケビン、この人たちの事は任せたニャ。
うまくいけばコウガ城でアルストア大陸軍と合流できるはずニャ。」
「ああ、任せられた。レパーラも気を付けて。先生を、、よろしく頼む!」
「任せるニャ、森の中は一人の方が動きやすいニャ。
必ずご主人様を見つけてくるニャ。」
そう言ってレパーラは、日が暮れかけ、暗くなっていく森の中へと消えていった、、
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