140. テイヤマ城防衛戦 開戦
「異形の軍、いや群れ、ですね、ヤマナ様。」
テイヤマ城の城壁の上で、テイヤマ軍のイシュナ王女が呟く。
「ええ、もはや軍とは呼べませんね、これは。」
『ウワン』『サワン』と交戦してから5日後、テイヤマ城の前の草原には、森から湧き出る様に出てきたビスラ軍がひとかたまりになって集まっていた。いや、それはもはや人の軍隊ではなかった。
軍としての統制はなく、ただひとかたまりになっただけの集団、
数千匹の魔獣たちがウジャウジャひしめく中、所々に人の様な者たちがいるが、、
そいつらも、もはや人の気配ではなく魔族としての気配をさせている、、
「おーい、おーい、獣人のお嬢さんと白い剣の戦士さーん!!」
サワンだ、
集団の前に1人で出てきて、5メートル程に伸ばした左腕をブンブン振っている。
「いるんだろ〜、出てきておくれよー」
とぼけた奴だ、出て行ってやる義理は、、無いな。
「ちぇー、まあ良いか、取り敢えず攻めるか。いたら出てくるだろうし、いなかったら滅ぼせば良いだけだし、、
んじゃ行っちゃって。」
なんだその号令?
2、3匹の魔獣がワラワラと城壁に寄ってきて、登り始める。
「弓隊! 放て!」
ヒュ、ヒュヒュヒュン!!
イシュナ王女の号令で城壁の上から矢が放たれる!
<ガ!><ギャッ!><グガッ!>
矢を全身に受け、魔獣たちが城壁を落ちていく。
草原に待機している魔獣の群が、城壁を落ちていく魔獣の悲鳴を聞き、一斉にこちらを見る!
そして、全軍に怒りが伝搬し、、
<ブフォア!!><ゴアァァア!!>
数千匹の魔獣が全身に赤い筋を浮かび上がらせて吠え、地響きを立てて一気に城壁に向かって突撃を開始した!
「全軍、持ち場にて応戦せよ!」
「「「ははっ!!」」」
城壁の上の兵士たちが応戦する!
矢で、投石で、城壁に取り付いた魔獣達を落とす!
<キィィイ!>
「うわぁぁ!」
1匹、猿の様な魔獣がスルスルっと城壁を登りきって兵士に襲いかかる!
「はあッ!」
シュババッ!
イシュナ王女が細剣で魔獣の腹と頭を刺突した!
ボッボン!!
<ギャプ!>
なんだ?! 魔獣の頭と体内で何かが破裂した様に膨れ上がり、絶命したぞ。
セントレオンからもらった『星河』の 効果か?!
それを使いこなすイシュナ王女もなかなかの腕だ。
<キィ><ギュイ!><グガァ!>
更に数匹、城壁を登りきり兵士たちを襲おうとするが、
『斉城!』
ケビンが叫ぶと、鎧の大袖の様な盾が空中に数枚現れ、魔獣たちを押し飛ばす!
ドムッ! ズンッ!
放物線を描いて飛んで行った魔獣たちが、鈍い音を立てて数十メートル下の地面に叩きつけられる。
<ゴアァ!><ボフォオ!!>
大きめの魔獣が2匹、全身に矢を受けてハリネズミの様になりながらも登ってきた!
「阿刀!」
『ゥオ"ウ!』
レパーラが体調5mほどのアリクイのような魔獣に駆け寄り、片手剣を振るい斬りつけると、斬りつけたところから炎が噴き出した!
<ゴギャア!!>
アリクイの魔獣は弾けるようにのけぞり、真後ろに倒れ、城壁の下へと落ちて行く。
<ブフォア!>
もう1匹の熊のような魔獣が、大きな爪のついた巨大な掌をめいいっぱい広げてレパーラに向かって振り下ろす!
ズルッ、、ドン!
馬鹿でかい熊の魔獣の上半身がナナメに滑り、落ちた。
魔獣の脇をすり抜ける際に、レパーラが吽刀で斬っていったようだ。
「ご主人様は下がって温存していて欲しいニャ! それにフィオナで戦うと白い光で目だつニャ!」
魔獣達は次々に城壁の上に到達し、兵士達と戦闘になる!
最後の一歩をよじ登った瞬間に兵士に突かれて落ちる魔獣、
突かれる前に飛び上がり、城壁の上に着地し、兵士を蹴散らす魔獣、
これに対し、集団で対抗する兵士たち、
テイヤマ城では一進一退の攻防が繰り広げられていた。
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