139. テイヤマ城防衛戦 誓約
「イシュナ王女、今すぐ民衆をテイヤマ城から避難させてください!
ここは、魔族との戦場になります!」
「え? ヤマナ様、それはどういう事で、、」
テイヤマ城に戻った俺は、すぐにイシュナ王女に会い、民衆の避難を求めた。
「敵の狙いは魔族に対抗できる戦力を潰す事です! 先ほどの交戦で魔族が現れ、私がテイヤマに来たことが知られてしまいました。シンガットに向かったビスラ軍もこちらへ転進して来ます。
すみません、ここで迎え撃たせて下さい。」
「お前のせいか!!」
青い立派な軍服を来た青年が俺に詰め寄って来る。
前を塞ぐように立ったケビンに掴み掛かりながら、俺を睨んで来る。
「イルア! やめなさい!」
「しかし、姉上!! こいつのせいでテイヤマが!! 母上が!!」
「やめなさい! この大陸は魔族の脅威にさらされているのです! いつかはテイヤマも戦わなければいけない、それが今だという事なのです!
ヤマナ様は、この大陸の人々の為に最前線で命をかけて魔族と戦って下さっているお方!
あなたはわが王家に伝わる、誓いを忘れたのですか!
今こそわが王家も『英雄の時代』に大神官セントレオン様から受けた恩と交わした誓約を果たすべく、今の大神官、ヤマナ様をお支えする時なのです!!」
「あ、あんたが、、大神官ヤマナ、」
呆然とする青年、
「はい、ゼノラウト王国にあるテリクスの領主、フミオ ゼン ヤマナです。
すみません、この城を私に明け渡して下さい。
数日中に敵の組織的な攻撃があります。
あなた方、テイヤマ軍も民衆と共に避難していただきたい。」
「あ、あんた1人で戦うつもりか?」
「人同士の戦いとは違うのです。魔族と戦える人材は限られております、一刻も早い避難を。アルストア大陸軍が間に合えば良いのですが、、」
「……お、俺も戦わせてくれ!!
俺も城に残るぞ!!」
「ケビン、」
「はっ!」
「イルア王子の力量を見て差し上げろ、、」
「はっ!」
「この黒い鎧の男を倒せば良いのだな!!
うおおおぉぉお!」
ケビンに突撃するイルア王子、
ひょい、とかわされ、襟首を掴まれ放り投げられる。
ドゴン、ゴッ、
石畳みの上を転げるイルア王子、
「ぐっ、ガハッ、、」
「すみません、イルア王子、力量不足です。民衆と避難して下さい。」
「ぐっ、、、」
「イルア、お願い、テイヤマ王家存続の為にも貴方は避難して頂戴。これは普通の戦いじゃないの。」
「!! 姉上! まさか城に!」
「イシュナ様、いけません!」
「王女様!」
「テイヤマ軍と王家は誓約により、大神官を支えなければいけません、
それに、、この国で私以上の剣の使い手はいるのかしら?」
「「「……」」」
「ヤマナ様、テイヤマ軍はこれよりテイヤマ城防衛と、避難する民衆を守りつつ、コウガ城へ移動する部隊と二手に分けさせていただきます。
テイヤマ城防衛はわたくしイシュナが、コウガ城移動はイルアが率いさせていただきます。
よろしくお願いします。」
「……ここは、危険ですよ、
セントレオンと何の誓約を交わしたかは知りませんが、、
命を大事にする行為を私は咎めるつもりはありませんよ。」
「覚悟しております!
それに、ここは、、
私たちのふるさとです!
私たちの手で守りたいのです!」
まっすぐなイシュナ王女の目に、俺は受けざるを得なかった。
「わかりました、ではよろしくお願いします。」
「はい! ヤマナ様、お願いします!」
「それではすぐに軍の編成に入ると共に、民衆の避難誘導を進める!」
「急げ! コウガ城までは1日の距離だ! 荷車は道を塞いでしまうから許可するな!」
「歩けないもの、足の遅いものを優先させて馬車に乗せろ!
健康な者は貴族、王族であっても歩かせろ!」
こうしてテイヤマ城から民衆を避難させ、そして5日後、、
数千匹の魔獣を引き連れたビスラ軍がテイヤマ城前に現れた。
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