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すっぴん召喚のヤマナさん  作者: 座敷犬昼寝中
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131. ランチタイム


「テレシア様、テイヤマのイシュナです。お昼、ご一緒してもよろしいでしょうか?」

 大陸会議のお昼休み、代表用の食堂で丸い4人席用のテーブルに座っていると、ブロンドの髪の方がお声をかけて下さったわ。身長は女性にしては高く、男装のキリリとした綺麗な方。


「は、はい! どうぞ、隣空いてますので!」

 リカード王とセルンドが、お昼を食べながら東部諸国の打ち合わせを、とか言ってたけど、知るもんですか!

 お昼ぐらいはお仕事から離れてもいいでしょ。


 それにしても、キリッとした目鼻立で綺麗な方、、

 朝寝坊のおかげで、髪はボサボサのまま丸めて帽子の中、化粧もせずに洗っただけの顔だったのを思い出して、白い大きな帽子を深くかぶり直したわ。


「え? ひょっとして、、テレシア様すっぴんですか?」

「あんまり見ないで〜」

 思わず両手で顔を覆う私。


「ああ、隠さないで下さい。

 綺麗な白い肌、、唇もピンクで、、ああ、なんて可愛らしい目、

 化粧なんて余計なもの、テレシア様には不要です。

 こんなに可愛らしくて美しい方が、大陸東部最強、テレシア騎士団の主君だなんて、、

 ああ、神よ、こんなにも強く美しいテレシア様に会えた事を感謝いたします。」

 そう言って私の手を両手で握るイシュナさん。

 て、照れるわね、、

 ちょっと大げさだけど、


「いえいえ、イシュナさん、私の騎士達が強いだけですから。」

「それもテレシア様の強さです。『救国の英雄、王女テレシア』の物語に出てくる、『テリクス湖畔の演説』 何度読んでもシビれます! 憧れます!」

「あ、あはは、」

 結構熱烈ね、この子。私よりちょっと年上っぽいけど。


「まあ、特に1人、異常に強いのがいるけどね、、

 頭も回るし、仕事できるし、人に仕事やらせるのも天才だし、休ませてくんないし、ショッピングの時間少ないし、二度寝させてくれないし、

 キー、あの鬼〜!」


 あ、なんか腹が立ってきたわ、、


「あ、あはは、ヤマナ様とお仕事出来て羨ましいです。」

「聞いてよ、あいつ! 『転移の石板』使えるようになってから、東部諸国関連の案件、毎日私のところに持ってくるのよ!

 こう、束でバサっと!

 商売や流通、同盟や防衛、人材交流、ホントよくもまあこんなにいろんな種類を、と思うくらいよ!

 うちのダーリンは国内の事しかやってくれないし、父上のデルハルト王も、ヒューレ王のリカードも、『東部諸国の盟主』とか言って、みんな私に押し付けてくるのよ!

 最近はベアダインの案件まで持ってくるようになったわ!」

「そ、それはお疲れ様です。」



「テレシア様がお忙しいおかげで、戦乱に明け暮れていた東部諸国の民は、みんな笑って暮らせるようになったのですよ。」

「そうですよ、私共ももちろんですが、民衆は国を超えて皆テレシア様に感謝しております。」

 グチっていたら、デルハルト代表のセルンドとヒューレ王のリカードもやって来て、席に着いたわ。


「あ、皆さん、

 あ、あの、テイヤマ代表のイシュナと申します。よろしくお願いします。」

「イシュナ様、デルハルト代表のセルンドです、よろしくお願いします。」

「ヒューレ王、リカードです、よろしく。」

「は、はい! よろしくお願いします!

 それで、その、テレシア騎士団のお話とか皆さんに聞いても良いですか?」

 可愛いわこの子、ホッペを真っ赤にして尋ねて来たわ、でも、本当に聞きたいこととはちょっと質問を変えて来たわね。


「騎士団の話かい? 騎士団長の話がメインで良いかな?」

 あら、セルンド、鋭いじゃない。


「は、はい! お願いします!!」


「そうだな、パトナ戦役の話はよく物語になっているから、最近のベアダイン戦役のお話にしようか。

 ゼノーデン平原の戦いには私もデルハルトからの援軍を率いて参加していてだね、そこで敵の竜使いと団長が戦った話からだ、、、、」




「はああ、凄すぎます〜、剣で大波を返し、空を飛んで火を吹く竜を斬る、

 カッコよすぎます〜」


 セルンドの話にウットリするイシュナさん。


「しかも、その後がねぇ、、」

「ええ、そうですね、

 テレシア様、ゼノラウト王都防衛戦は私が話しても?」

「ええ、お願い、リカードさん。」

「お、お願いします!」


「ゼノーデン平原の戦いの後直ぐに、テレシア様やゼノラウト王、デルハルト王、そして私リカードのいるゼノラウト王都は、海から攻めてきたベアダインの別働隊1万に包囲されてしまったのだよ。王都防衛隊はわずか3千名、正直、絶対絶命の状況だった。」

 コクコクと頷きながら話を聞くイシュナさん。


「宵闇に覆われた草原で、敵の突撃の合図のドラがなり、敵兵が走り出して城壁や城門に取り付いた瞬間、敵陣の左翼を強力な雷が切り裂いたのだよ。」

「おお、」


「私やテレシア様は城門の上のヤグラにいて見ていたのだが、それは100kmの道のりを早駆けし、たった一騎でたどり着いたヤマナだった。」

「おおお、」


「他にも数騎たどり着いていたようだが、自分の技に巻き込まれないよう、戦闘への参加は許さなかったらしい。

 刀を振っては敵陣を吹き飛ばし、雷を放ってはいくつもの部隊を薙ぎ払い、蹴り1発で敵の防御を崩していく、1人対1万人なのに、敵の方が哀れに思えるぐらいだったよ。

 召喚戦士を一撃で倒され、陣形を粉砕されたベアダイン軍は、恐慌状態に陥ってバラバラになって逃げていったのさ。」

「おおおお、」


「ホント、あの時ばかりは、『この騎士の主君で良いのかしら?』と思ったりしたわ。でもね、この話は続きがあるの。」

「続きですか?」


「ええ、ヤマナさんが激怒して、たった1騎で1万の軍を相手にするなんて無茶をした理由、わかる?」

「えと、、テレシア様たちが居たから。」

「いいえ、そこまで私達は思われてないわね、きっと。

 それはね、彼の奥さんのエリスが王都に居たからよ。」

「!!奥さんが!」


「ええ、彼、奥さんの事になると人が変わるから。」

「はああ、愛妻家なんですね、、奥さんが羨ましいです、

 ふう、」

 スプーンで紅茶をクルクル回しながら溜息をつくイシュナ。


「そうそう、イシュナさん、週刊誌で読んだけど、ヤマナさんに憧れてるんですって?」

「あ、憧れ、、そ、そんな、、えと」

 可愛い、くねくねしだしたわ、この子。


「今日の会議が終わったらちょっと付き合わない? 一緒にショッピング行きましょう!」

「え? 良いんですか?」

「勿論よ! 女の子同士で楽しんできましょう!」




「先生、テレシア様が本日の会議後、ブティックに行きたいと、、」

「なに?」

 会議の昼休み時間に、サンドイッチ片手に午後の議題の整理をしていると、ケビンが申し訳なさそうに言ってきた。今朝の朝寝坊の後でいい度胸だ。


「それが、イシュナ様と一緒なので大丈夫だと、、」

「…護衛としてお前とレパーラも付いていけ。夜更かしさせるなよ。」

「はい、わかりました。」

「了解ニャ!」



 翌朝、、

「おはようございます、議長、オホホ、」

「おはようございます、テレシア様」

 会議の15分前に入ってくるテレシア王妃、今日は遅刻しなかったようで何よりだ。


「ほら、入ってらっしゃい。」

「は、はい、、おはようございます、ヤマナ議長、、」

 ??

 大会議室にさっと風が吹いたような気がした。

 誰だこの爽やかな水色ドレス姿の美女は?

 あ、イシュナ王女か?

 いつも男装の軍服姿から一変、初めてドレス姿を見た。一瞬見とれて、思わずペンを落としてしまった。


「イ、イシュナ王女、おはようございます。」

「イェーイ! 大成功!!」

 ハイタッチをする、テレシア様とイシュナ王女とレパーラ、、ってお前もか!


「ほら、議長、なんか言うことあるでしょう?」

「あ、ああ、、

 凄くお綺麗ですよ、イシュナ様」

「ありがとうございます、ヤマナ議長。」

 はにかむイシュナ王女の美しさ、可愛らしさに各国の代表達の目が釘付けになった。



「それでは、会議3日目を始めます。よろしくお願いします。」

 今日も大陸会議が始まる。昨日までと違うのは美しい花が一輪増えたことだった。



 その日の午後の会議中、

「失礼します、議長、、」

 紛争担当のカルバオーレだ、代表達が通商関係の議論を行なっている中、静かに入って来て俺に耳打ちをした。

「新たな紛争の発生です! 議長!」

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