121. セントレオンとの修行
バキッ!!
「ぐあっ!!」
ゴロゴロゴロ、ドガッ!!
ごろごろ転がって壁にぶつかり、もんどりうってノックダウンする俺、、
「はっはっは! どうしたフミオ! 刀がなきゃそんなもんか?」
「…………ぶっ飛ばす!! このクソセントレオン!!」
「はっはっは!! よかろう! かかってこい、フミオ!」
「うおりゃーー! 氏ねやー!! もう氏んでるけど、もっぺん氏んでこいやー!!」
ドガガガ! バキッ! ガゴン!
ベシャッ!
「 …… 」
「はっはっは!」
「……くぉんぬぉーー!」
これで3日目、、俺は『セントレオンの大神殿』で修行という名のフルボッコにあっていた。
この世界に来て、素手での戦いでここまで一方的にボコられているのは初めてだ。正直、召喚前に身につけていた柔術などのスキルは、この世界に来てからかなりのチート補正がかかっていたが、セントレオンには全く通用しなかった。
帝国のフリード殿下と勇者ユウキはあれから神殿を出て、帝都アルバードへの帰路に着いた。俺は殿下が出発してから15日後に、転移の石版を使って帝国の神殿に顔を出すことになっている。
俺に着いて来ていた弟子のケビンたち、レオル、ルル、レパーラはトモナリと共に、アルパウト山脈を北に迂回し、デルハルト経由でテリクスに帰還するルートで帰路に着いた。旅の途中での修行はレパーラに任せてある。頑張れよ、、
で、俺とアユミとヒナコは大神殿に残っている。とは言っても、毎日転移の石版でゼンの神殿に帰っているので、あまり残ったという感覚がない。
ヒナコは祭壇の上で座禅を組んでいた。セントレオンが言うには、気を練り上げ、魂を感じ取り、それを少しずつ強化する修行らしい。ヒナコは元々強力なスキルを持った戦士だが、魂の方が耐えきれないため、この修行が良いとのことだ。
アユミは基礎体力、ということで、膝つき腕立て伏せ、や、縄跳び、などの運動をやっている。何も大神殿でやらんでも、と思うが、どうしても俺に着いて来たがるのだ。
それにしても、、なんで二人ともアズキ色のジャージなんだ? どっから用意した?
で、俺はと言うと、、
ドゴン!
「はっはっは! 俺の拳から『後の先』なんて取れると思ったか? もっと攻めてこないと、タコ殴りにあうぞ!」
「…… ぢぎしょーー!!」
クソ、何だこのバケモンは!
反応を鍛えるという点では武器より体術で戦う事が一番鋭敏だ、特に超接近戦で。 且つ、この修業は戦いながら聖闘気を練り上げ、爆発させる訓練も兼ねている。 普段偉そうに余裕ぶって指導している俺が、ひたすらボコられるセントレオンとのこの修業はこの上なくレベルアップを感じられるのだが、、、
「ほらほら、手数が少なくなっているぞ! ほい、脇が空いた。」
ゴスッ!
「!!(痛ってーーーー!)」
「ほら、足が止まった!」
ビシッ! バシッ!
「っ!」
「あ、防御に回った、だからダメだって。」
ドゴン!!
「ぐあっ!!」
くっそーー、またぶっ飛ばされた!!
10日の修行の内に、ぜってー、一本取ってやる!!
「よし、今日はここまでにするか。」
「ありがとうございました!!」
久しぶりだな、、こうやって教えを受けて、礼をするの。
先生だの、師匠だのと呼ばれて、最近思い上がっていたな、、
ああ、生きてた頃に通っていた道場の先生を思い出した、、
「ふう、アユミ、ヒナコ、今日は帰るか、」
「はい! フミオ様!」
「うん☆ ダーリン!」
「ああ、そうだ、フミオ。」
「なんだ、セントレオン。」
「ウィスキーあったら持ってきてくれ。」
「わかった、ゼノラウトに帰ったら探してくるよ。」
「おお! 頼んだぞ! 樽で!!」
まさか明日は酔拳の手ほどきじゃないだろうな?
ゼンの神殿の祭壇が光り輝き、ヤマナとアユミ、ヒナコが現れる。
「あなた、お帰りなさい。」
「エリス、ただいま。」
神殿の仕事が終わってから、祭壇の前の椅子に座ってずっと待っていてくれたようだ。
うう、俺なんかにこんなに尽くしてくれる嫁、、涙が出そう、、やばい、
「今日もいっぱいぶっ飛ばされた、、あいつひどいんだよーー、」
「よしよし、こんなに顔腫らちゃって、『ヒール』、、」
エリスが俺の頭を抱きしめて、青タン作った顔を撫でながらヒールをかけてくれる、
ああ、安らぐ、、なによりエリスの柔らかい胸が一番の癒しだ、、、
こっちをちらちら見ている若い神官たちが、『爆発しろ!』とか心の中で呟いてそうだが知ったことか。
「アユミちゃん!! おかえり!」
「シェリーちゃん! ただいま! おなかすいたー!」
「うん! ご飯出来てるよ! ヒナコさんもこっちこっち!」
「ありがと☆ シェリーちゃん! ダーリンご飯だって!」
「ああ、わかった。 行こう、エリス。」
「はい、あなた。」
ゼンの神殿の食堂でちょっと早い夕食を取る。神殿の神官長、ロドニーも一緒だ。
「なあ、ロドニー、ウィスキーを樽で売っているところ知らないか?」
「ウィスキーですか? 樽売りは、見たことないのですじゃ、あ、樽から瓶に詰めて売ってくれる店はありますがのぉ。」
「うーん、そうか、、セントレオンが樽で欲しいと言ってるんだが、、瓶で我慢してもらうかぁ、」
ガタッ!!
「神官を集めよ! 酒屋を回って、樽で売ってくれることを見つけるのじゃ!!」
「「「はい! 神官長!!」」」
「明日の朝、ヤマナ殿がセントレオン様のところに行く前に、いい酒を見つけてくるのじゃぞ!」
「「「はい!!」」」
なんか大事になっているな、まあいいか、ロドニーに任せよう。
翌朝、、
「じゃあ、エリス、今日も行ってくるね。」
「はい、あなた、これお弁当。みんなの分もありますから。」
「ああ、ありがとう。」
「ヤマナ殿、お酒、お願いしますのじゃ。大樽は手に入りませんでしたがのう、、」
そう言って一抱えほどの小さめの樽を3つ渡してくれるロドニー
「ああ、十分だロドニー、神官の皆もありがとう。」
「じゃあ、行ってきます。ああ、今日は飲むかもしれないから、、」
「わかってるわ、気長に待ってるわ。 行ってらっしゃい、あ、な、た。」
エリスが俺の頬にキスをしてくれる。
今日も俺とアユミ、ヒナコの3人は光に包まれ、、セントレオンの大神殿に飛んだ。
もちろん酒樽3つとお弁当を持って。




