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すっぴん召喚のヤマナさん  作者: 座敷犬昼寝中
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106. 本陣

「そういえばフミオさん、『大神官』になったんだって?」

 ユウキが俺の顔を覗き込むようにしてたずねた。


「ああ、頼むからラスボスにしないでくれよ、『勇者』。

 俺としては妻と家でゴロゴロしていたいのに、おかげであちこち駆り出される羽目になっているよ。」

「あ、そうだった! 結婚おめでとう! フミオさん!」

「おう、ありがとう、ユウキ。」


「披露宴大変だったみたいだけど、ベアダインぶっつぶして少しは溜飲が下りたかい?」

「……なかなか下りないさ、ゼノラウトの仲のいいダチも、召喚戦士の攻撃を受けて死んだり大けがしたりしたしな。」

「そうか、、」

「ああ、ユウキは俺以外にダチはいるのか?」

「!! ぐ、いるとも! トモナリとか、ヒナコとか! なあ! トモナリ!」

「うん! ユウキ!」

「……召喚戦士以外のダチも作れよ、おまえ、けっこう仏頂面だとかで評判悪いぞ。」

「う、わかってるって、最近は、兵達ともよく話するようになったんだから。」


「おい、最近のユウキはどうだ?」

 周りの兵に聞いてみる。

「はい、ユウキ様は闘技大会の後、ずいぶん明るくなられました。それまでは訓練以外は我々と共にいることは無かったのですが、今は一緒に食事し、飲み、笑われるようになられました!」


「だろ~!」

「いや、ユウキ、それ以前が相当ひどかっただけじゃね?」

「ひどいなー フミオさん、、」

「はっはっは! わかっているよ、今のお前が素だってな。」



 ユウキの案内で、方陣を組んだ中央の一万の陣にたどり着く。

 ここが本陣か。

 小高い丘を囲んで、白い鎧の重装歩兵と重装騎兵が幾重にも並んでいる。

 丘の頂上には、サーカスのテントかよ、と思うほど巨大な真っ白いテントが建っていた。



「馬車はここまでです。騎馬もここで馬を降りてください。」

 馬車から、わらわらと子供たちが下りてくる。


「うーーん!」「やっと着いたーー!」

 伸びをする子供たちとヒナコ、レパーラ、




「ああ、ここから先は、ヤマナ様と関係者だけだ。おまえたち女子供や獣人は待機してろ。」

 俺の後に続いて進もうとするところを、偉そうな兵士に止められてムッとする子供たち、


「ああ、こいつらは俺の関係者で戦士だ、なんなら戦ってみるか?」

「え?」

「吠えろレオル、」


『ヴォォオオオオオオゥ!』


 レオルが兵に向かって獅子の咆哮を放つ!

「うわぁぁぁあ!」

 レオルの咆哮で吹っ飛ぶ兵士、近くにいた兵も硬直している。


 周りの帝国兵たちが構える!

 俺は子供たちの前に出て、帝国兵に両手のひらを上げ、戦意はないことを伝える。


「ああ、悪い、やりあうつもりはない。だが、この子たちをあまりなめない事だ。

 こう見えてこの3人の子供たちは召喚戦士を討ち取っている。

 こっちの獣人の娘、レパーラは剣技なら俺に劣らず強いぞ。

 ヒナコは知っているな? 俺やユウキが2人がかりでも手も足も出ないだろうよ。

 で、この子アユミは、俺の右腕だ。」


「俺が許可するんだ、通るぞ。」

 ユウキもフォローしてくれた。


「よし、行くぞお前たち。」

「「「はい!」」」


 そのまま進もうとするが、、あれ? ベアダインの将校たちが来ない。


「何やってんの、おまえら?」

「あ、あの、ヤマナ様、、我々はここで、、」

「さっさとついてこい! 来なきゃぶっとばすぞ。」

「「「は、はい!!」」」

 ベアダインの将校3名がおどおどした情けない顔でついてくる。

 まったく何のために連れてきていると思ってんだ、、ビビりが、ルルの爪垢飲ますぞ。



 丘を上ると、巨大なテントの前で、装飾の入った白銀の鎧に、これまた金の刺繍の入った真っ白いマントを羽織った人物が待っていた。フリード皇太子殿下だ。


「おお! ヤマナよ! 久しいな!!」

「殿下こそ、お元気そうで何よりです!」

 互いに両手で握手をし、そしてハグをする。

 結構がっしりハグしてくるな、殿下。


「さあ! 中へ入りたまえ! 昼は食べたか?」

「いえ、殿下と会食できるかも、と思い食べておりません。」

「はっはっは! それは気を使わせたな。会食の場はこっちだ。」


「はい、殿下、その前にこの大陸軍に加えていただきたい軍があります。」

「おお、紹介してくれるのか。」

「はい、ベアダインの将校を連れてまいりました。ぜひ、この大陸軍に加えていただきたく。」

「ほう、、、ベアダイン。」

 殿下が鷹のような鋭い目でベアダインの将校3名を見る。直立のまま、震えあがる将校たち。


「最後の1国、ベアダインが加わってこそ、大陸は一つとなり、この軍は真のアルストア大陸軍となります。」

「そうだな、流石はヤマナ、よくぞ連れてきてくれた!」


 殿下はベアダインの将校たちの方を向き、一人ずつ肩をたたく。

「よく来てくれた、ベアダインの将校たちよ! 軍務卿、彼らを各国武官の控室へ案内せよ!」

「はは!」



「さて、会食は何名かな?」

「はい、私、トモナリ、ヒナコ、そしてこの子はアユミ、まずは召喚戦士が4名、

 レオル、ルル、シェリー、この3名は私の弟子です。

 そしてレパーラ、ベアダイン政府を相手に民を守って戦いぬいていた戦士です。

 合計、8名ですね。」

「おお、そうか! ずいぶんと心強いな! じつは8人で10万の軍を相手にできるのではないか?」

「またまた御冗談を、はっは。」




 フリード殿下との会食が始まった。長い長方形の机の正面にフリード殿下、その右にはユウキが座っており、俺たちはその反対側に並んで座っている。


「ほお、アユミは召喚戦士なのか、見たところ剣などの武器は持っておらぬが、魔法使いなのか? それともヒナコのように変身するのか?」

「いえ、私は戦えませんので、、、」

「どういうことなのかな?」

「……殿下、アユミは自身は戦えずとも、軍略で勝つのですよ。」

「ほお!」

「まぁ、、いずれ分かってしまうでしょうから先に言いますと、アユミは軍師なのですよ。」

「なんと! 『大神官』に加え、『軍師』とな! すばらしい!」

「加えて『勇者』もいますしね。」


「はっは、そうだな! このテーブルだけでとんでもないことになっているな。それに、レオルと言ったか? 獅子獣人だな、君は。」

「は、はい!」

 レオルが椅子に座ったまま背を正す。

「うむ! 『大神官セントレオン』は多くの仲間や弟子と共に魔族と戦ったが、その中に確かに獅子獣人もいたそうだ。獅子獣人は獣人の中でも最強になりうるからな。しっかり修行に励めよ。」

「はい! 殿下!」


「その隣は、ルルであったか?」

「はい! でんか、ルルといいます!」

「おお、元気だな! レオルの妹ということは君も獅子獣人か、うむ、しっかり修行に励めよ。」

「はい、でんか、ありがとうございます!」


「その隣は、シェリーか、エルフであるな。出身はどこだ?」

「はい、殿下、私は『エルフの島』出身です。」

「なんと、、やはり魔族侵攻で島を離れたのか?」

「はい、弟と二人で島を離れました。父と母は侵攻を食い止めるために島に残りました。」

「そうか、そうであったか。」


「そして一番端は、レパーラであったか。」

「はい、ベアダインのレパーラですニャ。」

「うむ、美しい獣人だな。」

「にゃっ!! 美しいとか言われたのは初めてですニャ。」

 照れるレパーラ、

「実はな、、レパーラの情報は入っていたのだ。国家間の関係もあり、大々的にはできなかったが、誰にもわからぬように、民を匿う反政府組織に少しずつ食料を送らせておったのだ。」

「!! あ、ありがとうニャ! フリード殿下!」

 がば、と頭を下げるレパーラ、どうやら心当たりがあるようだ。

「いや、あの量では到底足りぬであったろう、だがあれ以上は送れなかったのだ、許せ、、」

「いえいえ! 本当に助かったニャ! ご主人様の次に救世主だニャ!」

「ご主人様?」

 あいたーー、こめかみを抑える俺。


「ほう、、あ、結婚おめでとう、ヤマナよ。」

 ついでのように言いやがった。


「ありがとうございます、殿下。」

「ところで、、新婚で外にこんなに愛人を増やすのは良くないぞ。」

 ニコニコしながら俺の顔を見て話す、楽しそうだな、おい。。


「いえいえ、彼女たちは優秀な戦士でして、、」


「……ヤマナの愛人になりたい人!!」

「「「はい!」」」「はい、はい☆」「はいにゃ!」

 おまえら、、、ルルまで手をあげるなよ、、


「殿下、あのですね、私は新婚でしてね、、」

「ほう、だが『大神官セントレオン』は亡くなるまでに12名の妻をめとったそうだぞ。」


 なにやってんだ!

 セントレオンーーーー!


「はぁ、、とにかく私は妻はエリス以外にめとる気はないので。」

「みんな、頑張れよ。私のバックアップが必要なら、いつでも言うのだぞ。」

「「「 はーい! 」」」


 こーうたーいしぃ―!

 俺の話はガン無視かよ!



 こうして楽しい(?)会食は終わり、


「さて、日が暮れるまではゆっくり休んでくれたまえ。」

「日が沈んでから演習ですか?」

「いや、、皆の前で『力読み』の儀式を執り行う。」


 おいおい、、まさか全軍の前で『力読み』させる気じゃないだろうな?


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よろしければこちらもどうぞ。 え? 職業ですか? ガテン系ですけど、、
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